WedsSport ADVAN LC500の坂東正敬(通称:マサ)監督の、山下健太に対する育成方法が徹底している。
「若いときって、自分もそうだったけど、『お前できんのか』って言われると『やってやりますよ』ってなる。山下は口数は少ないけど、内に秘めた負けず嫌いなところがある。だから常に、チームメイトの国本雄資だけでなく他チームの大嶋和也とも比較して、タイムを意識させるようにしている」
「それと昨年まで在籍していた関口(雄飛)はすごいドライバーだ、関口がいなくなって寂しい。関口はスーパーフォーミュラ参戦2年で4勝、お前はスーパーフォーミュラ初年度でPPを獲ってみんなから速いって言われてるけど、オレは思わない。たまたまボレーシュートを蹴ったら入っただけで、それでワールドカップで活躍できるかと言えばそんなことはない。お前はあいつの代わりができるのかってずっとプレッシャーをかけていた。そしたら『できます!』って。だったらそれをオレに示せ、態度でもなんでもいいからって。そうしたら茶髪にしてきた。あれはあいつなりの僕への優しさなんです」
「関口は金髪だったよなあ」というマサ監督の愛あるプレッシャーを受けて、「生まれて初めて髪を染めた」という山下は、スーパーGT開幕戦の予選で見事にQ1を突破。見た目だけでなく走りでも証明したはずだったが、「物足りない」とマサ監督の目はまだ厳しい。
山下自身も、「タイヤの発動に合わせてタイムをまとめられなかった」と悔しそうに語る。ただし、セットアップがかなりオーバーになってしまっており、さらに公式練習での山下の周回数が少なかったことも影響していたことは確かだろう。
決勝ではスタートを担当し、ペースも良かったので前半スティントを引っ張る作戦を遂行。GT300のマシンの追い抜きでもタイムを大幅に落とすことなく、林エンジニアは「完璧」と絶賛する。「もともと今年、山下が加入するって聞いたときから安心はしていた。すでに新人以上の仕事をしているし、だからこそ関口並みの働きを求めりれるのでは。今後はびっくりするようなタイムも出して欲しい」と期待を寄せる。
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