2018年04月11日 14:52 弁護士ドットコム
「席をお譲りください」「次の駅から、敬老者が16名乗車します」
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宮城県仙台市の老人クラブのメンバーが、このような内容を書いた紙を、JR東北線の電車内の座席に置いて、座席を確保していたとして、インターネット上で批判にさらされた。仙台市老人クラブ連合会が、ホームページ上で謝罪する事態に発展している。
同連合会によると、仙台市内の老人クラブのメンバー1名が4月9日午前9時ごろ、JR仙台駅で乗車して、「席をお譲り下さい」「敬老者が16名乗車します」と書いた紙を座席に置いて、席を確保しようとした。老人クラブのメンバーは、同県大河原町へ花見に向かうところだったという。
JR東日本によると、発車前の点検のために、車掌が車内を巡回していたところ、座席に置かれた紙を見つけた。老人クラブのメンバーに対して「座席の占有は遠慮ください」と伝えて、その場で撤去してもらった。当時、電車内は、大変混み合っている状況だったという。
JR東日本は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「個別に対応して解消した問題なので、コメントを差し控えたい」と述べた。
一方で、仙台市老人クラブ連合会によると、「席をお譲り下さい」と書かれた紙は、車掌の注意後も座席にあったという。次の駅から、老人会の複数メンバーが合流して、確保された座席に座って、花見に向かったそうだ。いったん「撤去」された紙は、ふたたび座席に置かれたということになる。
同連合会は4月10日、ホームページ上で「当連合会会員が座席を不適切な対応で確保した事により、大変ご迷惑をおかけいたしまして本当に申し訳ございません」「今後、このような不適切な行為が行われないよう、会員に指導してまいります」と謝罪した。「高齢者とはいえ不適切な行為だった」(関係者)。
今回のように、電車内で紙を置いて席を確保しようとする行為は、あまり見かけないかもしれない。だが、バッグなど荷物を置いて確保している人は少なくない。座席の確保(占有)はトラブルの元にもなりやすいため、JR東日本では「膝の上、棚の上をご利用ください」と車内放送で呼びかけるなどの対応をしている。
こうした座席確保についてルールはないのだろうか。JR東日本の広報担当者によると、「新幹線など指定席については『1人1席』ということになるが、今回のように在来線の場合は、占有(席確保)について、禁止するようなルールはもうけていない」ということだった。
(弁護士ドットコムニュース)