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中居正広&木村拓哉は今も仲間を見守り続ける ラジオから伺える“新しい地図”への思い

2018年04月11日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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「なんだこの歌、これは売れないな。僕も以前にちょっと音楽に携わることがあったんで、詳しいわけじゃないですけど、これはダメですね。かすれ声とかもうちょっと雑な声が入ってないと、これは売れないですね(笑)」


(関連:稲垣、草なぎ、香取の映画『クソ野郎と美しき世界』、エンドロールにある“5本目のドラマ”


 ラジオ『中居正広 ON & ON AIR』(ニッポン放送)4月7日放送回で、中居の天邪鬼な言動がファンを喜ばせた。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾によるプロジェクト“新しい地図”の楽曲「雨あがりのステップ」を流したのだ。ファンの間では、“かすれ声”は歌が得意ではないと公言している中居自身の歌声、“雑な声”はアレンジを加えて歌う木村拓哉の歌声を連想させ、“5人じゃないと売れない”という意味なのでは? と話題になった。


 中居が悪態をつくときは、いつだって愛情の裏返しだ。自らプロデュースを買って出た、Kis-My-Ft2の派生ユニット・舞祭組に対してもそう。歌やダンスについて「全然ダメ」とダメ出しをしてイジっていくスタイルは、一見するといじめっ子のガキ大将のよう。だが、その真意は自分が悪役になってでも、相手にスポットライトが当たることだ。「ダメ」だから「好き」だし「応援したい」。それが中居なりの愛情の示し方なのだろう。


 番組では、いつもトークテーマに沿って曲が流れるというパターンをとっている。この日のオープニングトークは、無人ビジネスについて。中居は「便利になりすぎて、人と接しなくても生きていける世の中になるのはどうなんだろう」と反対の姿勢を示した。人と接するからこそ“ありがとう”も“ムカつく”も覚える、学びがある、と。そして人のぬくもりこそが人を助けるのだと主張した。「よく手当てをするって言うでしょ? 病院の先生だけじゃなく、僕は誰でもできるんじゃないかって思ってる。手を当てるだけでも、人は安心するんじゃないかなって」。その言葉の後に流れた「雨あがりのステップ」は、中居が今できる3人への最大限の手当てに感じた。


 2016年末のSMAP解散をもって、SMAPを連想させるテレビやラジオの番組名は次々と変わった。彼らの口からSMAPというグループ名が語られることもほとんどなくなり、稲垣、草なぎ、香取が事務所を独立した後は、よりデリケートな話題になってしまった印象だ。だが、そのなかで唯一SMAPの名前を守り続けているのが、木村だ。


 木村がパーソナリティを務めるラジオ『木村拓哉のWhat’s UP SMAP!』(TOKYO FM)では、今も変わらずに毎回SMAPの楽曲を流し続けている。3人が事務所を卒業したタイミングでは「前に!」を、新しい地図を発足させた日には「はじまりのうた」を選曲。そして、新しい地図による映画『クソ野郎と美しき世界』の公開日に合わせて木村が流したのは「ススメ!」だった。この曲の作詞は、新しい地図の発足人のひとりであり『クソ野郎と美しき世界』の企画を手掛けたCMプランナーの多田琢だ。


 エンディングでは「曲って、やっぱり大きいですよね」と、好きな映画のワンシーンについて語り始めた木村。お互いを熟知した男性同士が、かけた曲から真意を察するというシーンだ。「わかる? ああ~、こいつ絶対本気だったよなって、見てる自分たちにも思わせてくれた。そういう選曲、ワッツでもできたらうれしいな」という言葉に、やはり彼の選曲に意味を見出したくなる。


 素直じゃない言動から愛情が透けて見える中居と、曲を媒介してホンネを伝えようとする木村。ふたりのラジオからは、今も仲間を見守り続けていることが伺える。しかし、SMAPというグループはつくづく不思議な存在だ。まるで彼らの歴史そのものが、ひとつの映画のように見えてくる。彼らの一挙手一投足が、見ている側にドラマを感じさせるのだ。アイドルが夢を見せるプロなのであれば、まさに彼らはプロ中のプロなのだろう。今、また私たちは新たな夢を見させてもらっているのだろう、彼らがまたいつか……そんな夢を。(文=佐藤結衣)