天候と路面コンディションの問題で、難しいレースとなったアルゼンチンGPに関して、MotoGPシリーズを運営するドルナスポーツのカルメロ・エスペレータCEOが見解を示した。
Moto2クラスの決勝はドライコンディションで争われた。しかし、Moto2クラスの決勝レース終了後に雨が落ち始め、MotoGPクラスの決勝は、ポールポジションスタートのジャック・ミラーのみがスリックタイヤを装着、他のライダーはレインタイヤをチョイスしてグリッドに向かった。
ところが、スタート進行の短い時間の間に路面状況が急速に改善。これを見たレインタイヤをチョイスしたライダーたちは、ドライセットのマシンに変更するため、次々とグリッドからマシンを押してピットに戻り、ミラーのみがグリッドに残った。
エスペレータCEOはMotoGPクラスのレーススタート前に起こった状況について、次のように見解を語った。
「MotoGPクラスの決勝レースは、気象状況が原因で、他のクラスと同様に非常に困難なレースとなりました」
「ポールポジションのミラーは、スリックタイヤを選択。他のライダーたちは状況を考慮して、競技規則の範囲内で、ピットに入り、バイクを交換することを決断しました」
「困難かつ危険な状況は、数年前のザクセンリンクに酷似していました。当時、このような状況に対応することを検討し、安全上の理由から正しい判断を下しました」
2014年のドイツGP、MotoGPクラス決勝でも、似たようなシチュエーションが起こっていた。このときもウエット宣言がなされて、各車レインタイヤを装着してグリッドに並んだのだが、天候が急速に変化し、グリッド上で数台がスリックタイヤに交換した。
そのままウオームアップラップがスタートしたが、ウオームアップラップを終えて、レインタイヤを履いたままの多くのライダーが、ピットに戻り、スリックタイヤを履いたマシンに乗り換えて、ピットスタートすることを選んだ。
このときはグリッド上についたマシンが通常の手順でスタートし、ピットスタートのマシンは、グリッド上からスタートしたマシンに続いて、ピットロードのシグナルグリーンの点灯とともに、狭いピットロードからコースインし、非常に危険な状況だった。
このことがあり、今回のアルゼンチンGP決勝では混乱を避けるために、一旦レースディレイとなった。そして、ピットに戻ったライダーはマシンを乗り換えてグリッドに向かい、そのままグリッドに止まっていたミラーに対して、5列分グリッド後方に整列してスタートを切ることになった。
最初からスリックを選択していたミラーに対して、5列分のアドバンテージが与えられた形だ。こうしてスタートした決勝だが、路面にはウエットパッチが多数残り、走行ラインは1本分しかない状況で、パッシングが難しい状況で、ラインを外して先行車をパスする際のアクシデントが起こった。
「天候条件が原因で、アスファルト上の乾いた走行ラインはわずか1本だけで、困難なレースとなり、だれもが起きたことはテレビで観たと思います。ドルナは、スチュワードの任命に関与していません。FIM(国際モーターサイクリズム連盟)とIRTA(国際レーシングチーム連盟)によって指名された人々によって構成され、彼らが裁定を下します」
「私は彼らの決定に関与しませんが、スチュワードの決定を尊重します。次回のセーフティ委員会で全ライダーたちとともに、この状況を協議し、これらの問題に対処する規制を設定することができます」とエスペレータCEOは説明した。