トップへ

ポルシェ、ル・マンカーでF1レコードをブレイク。改造スペックは「とんでもない!」

2018年04月10日 15:01  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

耐久レースには必要不可欠なヘッドライトが廃された姿はかつてのSWC、JSPCマシンを彷彿とさせる。
ポルシェは4月9日、WEC世界耐久選手権のチャンピオンマシン『ポルシェ919ハイブリッド』に大規模な改修を施し、2017年のF1ベルギーGPで記録されたスパ・フランコルシャンのコースレコードタイムを更新する試みを実施。ニール・ジャニのドライブによってこれを達成したと発表した。

 2017年を最後にWECの最高峰LMP1クラスから撤退したポルシェ。2018年は、レースから“引退”することとなったポルシェ919ハイブリッドを世界各地のモータースポーツイベントに参加させ、WECのルールにとらわれないマシン本来のポテンシャルを披露するとともにファンにお別れを告げる『ワールドツアー』を実施するとアナウンスしていた。

 そんななか行われた今回のチャレンジでは、昨年ルイス・ハミルトンがメルセデスW08でマークしたスパ・フランコルシャンのサーキットレコードタイム、1分42秒553を打ち破ることを目標とし、ポルシェは2015~2017年までに3度のル・マン優勝を果たしたLMP1マシンを大胆に改造。

 グラウンドエフェクトの効果を高めるサイドスカートや、ヘッドライトを廃しエアロダイナミクスを最適化させたフロントフェンダーを装備するとともに、車両前後のディフューザーの拡大、DRS付き大型リヤウイングをかつてのグループCカーのようなスタイルでマウントするなど、その見た目はWEC参戦時の姿から大きく変更された。

 また、パワートレインにも手が加えられ、シリーズで規定されていた燃料流量制限から解き放たれた2.0リッターV4ターボエンジンは最高出力が従来の500馬力から720馬力に向上。さらにハイブリッドシステムも出力が10%高められ、440馬力となっている。

 9日に行われたチャレンジでは、大改造を受けた『ポルシェ919ハイブリッドEvo』にポルシェ・ワークスドライバーのジャニが乗り込みアタックを開始。

 シーズン中はラップあたり6.37MJに制限されていたエネルギー回収量をフルスペックの8.49MJとし、最大レベルのハイブリッドブーストを使用したラップのベストタイムは1分41秒770となり、史上最速と言われる2017年規定のF1マシンが記録したレコードタイムを0.783秒上回ってみせた。平均速度は245.61km/h、最高速度は359.6km/hをマークしている。

「ポルシェ919ハイブリッドEvoは『とんでもない!』という他ないよ」と語ったジャニ。

「このマシンは間違いなく僕がこれまでに乗ってきたなかで最速のクルマだ。増大したダウンフォース(とミシュランが用意したタイヤ)によるグリップレベルはまったく新しい次元で、これほどまでのグリップレベルは事前に想像できなかった」

「また、要求される反応速度もWECとはまったく違っていた。今日のラップは、去年のWECのポールタイムより12秒も速かったんだ! このチャレンジに関わらせてくれたポルシェに感謝しているよ」

 ポルシェは今後、5月12日にドイツで開催されるニュルブルクリンク24時間の決勝レース前にデモンストレーションラップを披露するほか、イギリスのグッドウッド・フェスティバル、ブランズハッチで開催するポルシェ・フェスティバル、アメリカのラグナセカで行われるポルシェ・レンシュポルト・リユニオンでも919ハイブリッドEvoを走らせる予定だ。