アウディは4月10日、ドイツ・インゴルシュタットでイベントを開催し、好評発売中のプレイステーション4用ソフト『グランツーリスモSPORT』向けのマシン『アウディ e-tron ビジョン・グランツーリスモ』を発表。また実際にサーキットを走行可能なプロトタイプもお披露目した。
『ビジョン・グランツーリスモ』はグランツーリスモと自動車メーカーがコラボレーションしてさまざまなコンセプトカーを作り上げるプロジェクト。2013年からホンダやトヨタ、メルセデスなどがマシンを発表しており、アウディは5年の歳月を費やして同プロジェクトに取り組んできた。
今回、アウディが発表したのはハイブリッド仕様の『アウディ・ビジョン・グランツーリスモ』と、完全なEV仕様の『アウディ e-tron ビジョン グランツーリスモ』の2モデル。どちらも「アウディの描く理想のグランツーリスモ像を具現化した」としているほか、随所に1989年のIMSAを戦った『アウディ90IMSA GTO』へのオマージュが散りばめられている。
ハイブリッド仕様のビジョン・グランツーリスモは、3.4リッターのV6ターボエンジンとモーターユニットを組み合わせ、合計で1292馬力を発生させる1台で、フロントグリルがブラックなのが特徴。EV仕様は200kWを発生させるモーターをフロントに1基、リヤに2基搭載しているモデルでフロントグリルがホワイトとなっている。
どちらもソフトウェアアップデートによって発売中のグランツーリスモSPORT内に登場する。
■“リアル”プロトタイプもお披露目。フォーミュラEローマ戦でデモラン予定
また、あわせてアウディは実際にサーキットを走行できるレーシングカーとしてアウディ・ビジョン・グランツーリスモのプロトタイプも公開した。これまでビジョン・グランツーリスモに携わるメーカーが実車スケールのモデルを公開したことはあったが、実際に走行できる状態のマシンを作り上げたのはアウディが初めてだ。
このプロジェクトでチーフデザイナーを担当したマルク・リヒテックは「走行可能なモデルを公開できたことは、我々の誇りだ」と述べている。
「バーチャル世界でコンセプトカーを作る際は、実際には不可能なことでも盛り込める自由があるが、我々は空想上にしか存在しないクルマを作りたくなかった。我々の目標は実際に走行できる車両を作ることだった」
「アウディ e-tron ビジョン・グランツーリスモは、アウディが目指す電動モビリティの象徴なんだ」
このプロトタイプは4月13~14日に行われるフォーミュラE第7戦ローマE-Prixに登場してデモ走行を行うほか、以降も世界各地のイベントに登場する予定となっている。現時点で日本国内でデモ走行が行われるか不明だが、続報に期待したい。