トップへ

3分で緑内障を診断できるペン状カメラ「GonioPEN」、シンガポールの大学が開発

2018年04月09日 21:02  Techable

Techable

写真
日本人の20人に1人が罹るといわれる緑内障。視神経に障害が起こり、見える範囲が狭くなる症状が出てくる。失明原因の第一位でもある。

この緑内障を、わずか3分で診断できる機器をシンガポールの南洋理工大学と眼科研究所の共同研究チームが開発した。素早い診断で患者の心身的負担が減るのに加え、デバイスそのものの値段も従来タイプに比べかなり安いというメリットがある。
・原因を正確に見極め
眼球の内部は房水と呼ばれる液体で満たされているが、緑内障では何らかの原因で房水が過剰になり、そのために眼圧が高くなって視神経を圧迫することで症状が出てくる。

さらに掘り下げると、その眼圧が高くなる原因にもいろいろとあるのだが、そこを見極めるためには専用機器を使って眼底などを検査する。

この検査過程では、患者の目に直接光をあてるのだが、それは決して快適な体験ではない。しかし、GonioPENなら検査がわずか3分で終わるのだ。
・診断サポートのソフトも
GonioPENには高解像の画像を撮ることができるカメラとLEDライトがついていて、USBケーブルでコンピューターとつながっている。

医師は4つの角度からGonioPENで眼球の写真を撮り、その映像でもって診断ができる。また、診断をサポートするソフトウェアも用意されているとのこと。

研究チームが実際に、緑内障の患者の診察にGonioPENを使ったところ、いずれの患者も従来の検査より負担が少ないと答えたという。

また、研究チームによると、従来の機器は2万5000ドル~12万ドル(約270~1300万円)もするが、GonioPENは実用化されれば5000ドル(約53万円)以下になることが見込まれる。

緑内障は初期段階では自覚しないことが多いが、早期に治療を開始することで失明などを回避できる。そのための検査環境を整えるという意味で、GonioPENの実用化は意義深いものとなりそうだ。

南洋理工大学