2018年04月09日 17:22 弁護士ドットコム
首都圏で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズは4月9日、東京地裁に対し、民事再生法の適用を申請し受理されたと発表した。信用調査会社の帝国データバンクによると、負債総額は約60億円(2018年3月末時点)。
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スマートデイズは、「目下、オーナー様とご契約頂いておりますサブリース賃貸借契約に基づく賃料のお支払いができない状況が続いており、本年2月下旬以降、オーナー様との間でご契約の合意解除を進めて参りました」とし、資金繰りが悪化し入居者に対する水道や電気、ガス、インターネットなどの生活インフラの確保が難しくなる恐れがあると指摘した。
約700人いるとされるオーナーの大多数が、地方銀行のスルガ銀行から1億円以上の融資を受け、その借金でシェアハウスなどを建てて投資を始めた。賃料収入がなく、借金返済の負担が重くのしかかる状況が続いており、複数のオーナーがスマートデイズを相手取り損害賠償を求める裁判を起こしている。
民事再生法の適用を申請し受理されたことで、今後はどうなるのか。民事再生手続きは、「債務者が債務の返済ができない状態になった場合に、裁判所が関与して事業の再生を図る手続き」のこと。現実的な、新たな債務返済計画(再生計画)を作り、債権者が賛成して裁判所も認めれば、債務の一部を免除してもらえたり返済期間を長くしてもらえたりする。
スマートデイズは2018年1月に保証賃料の支払いを一方的にゼロにしている。今回、東京地裁が再生手続きの申し立てを受理し、返済をいったんストップする「保全処分の決定」も出されたことで、これまで未払いだった保証賃料の全額をオーナーが受け取ることは極めて難しくなった。
未払いの保証賃料がいつ頃、どの程度の弁済率で支払われるのかはオーナーにとって最大の関心事といえる。スマートデイズは「今後の手続きの中で定まることとなりますので、現段階では、その内容は全く未定です」とのみ回答。民事再生手続きの申し立てをした理由については「多くの関係者、とりわけ入居者様への悪影響を最も低減できるものと考えた結果でございます」とした。
東京地裁の標準的スケジュールによれば、申し立てから再生計画案の認可まで約5か月程度とされる。スマートデイズの再生計画の策定がどのように進むかは不透明で、オーナーら関係者が抱く不信感がおさまる気配はない。4月12日と4月14日、東京都内でオーナー向け説明会が開かれる予定。
(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama
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