FIA-F4選手権の2018年シーズンが岡山国際サーキットで開幕した 4シーズン目にあたる2018年のFIA-F4選手権が4月7~8日、が例年どおり岡山国際サーキットで幕を開け、予選は2戦とも角田裕毅(HFDP/SRS/コチラレーシング)がポールポジションを獲得するも、第1戦は1周目のアクシデントで早々にリタイア。名取鉄平(HFDP/SRS/コチラレーシング)が初のフル参戦で、初戦からいきなり優勝を飾る。しかし、第2戦は角田が他を寄せつけずに圧勝、雪辱を果たしている。
2年連続でチャンピオンを獲得した宮田莉朋を筆頭に、昨年ランキング入りしたドライバーのうち、実に8人がシリーズからの卒業を果たしたFIA-F4。となれば、一気に混戦模様になるかと思われがちだが、継続参戦のドライバーのなかには角田の名前が。昨年は3勝を挙げてランキング3位、3月上旬に行われたスプリングトレーニングでは他を圧していただけに、ひとり勝ちになるのではと予想するものも少なくなかった。
しかしながら、木曜日と金曜日に行われた専有走行では、角田を含めて3人しか存在しない優勝経験者のひとり、川合孝汰(DENSO ルボーセF4)が気を吐くこととなり、両日ともにトップタイムをマーク。打倒・角田の急先鋒に立つことが予想された。
そして迎えた予選は、未明まで降り続いていた雨が路面に残り、セミウエット状態からの計測開始となった。ただでさえ厳しい条件であったにも関わらず、途中二度も赤旗中断があり、誰もが納得のいくアタックが許されぬなか、終了間際の2周を「引っかかったりしているので、もっとタイムは出たと思います」と語りながらも、しっかり決めて第1戦、第2戦ともに角田がポールポジションを獲得することになった。
2番手、3番手は2戦とも細田輝龍(DRP F4)と名取が獲得。第1戦はこれに大滝拓也(SRS/コチラレーシング)と澤田真治(MediaDo ADVICS影山F110)が、そして第2戦は澤田と金澤力也(SPASHAN Works Racing)が続くこととなった。
一方、注目の川合は2戦とも5番手相当のタイムを記録していたが、最初の中断で赤旗を無視したと裁定され、ベスト、セカンドベストともにタイム抹消のペナルティで21番手、23番手に沈んでしまった。
決勝レースの第1戦はようやくドライコンディションに恵まれ、駆け引きなしのガチンコ勝負に。しかし、オープニングラップから波乱の展開となってしまう。ポールシッターの角田がスタートに出遅れ、1コーナーで細田の先行を許したばかりか、アトウッドでチームメイトもある大滝に追突されてコースアウト。復帰はかなわず、早々のリタイアとなってしまったからだ。
このアクシデントでスタートの遅れを取り返し、ひとつ順位を上げる格好となったのが名取だった。トップを行く細田にピタリと貼りつき、すぐにでも逆転を、という構えを明らかに見せる。だが、「オフの間にフィジカルだけでなく、メンタルの強化もはかりました。そのへんに今までの自分は弱さがあったので」と語る細田は、なかなか隙を見せず。
中盤までは2台で逃げていたものの、11周目のヘアピンで名取が細田のインを刺してトップに立つと、そこから先は徐々に逃げていくことに。逆に細田には澤田が迫り、ふたたび逆転を許すかと思われたものの、そこは細田がしっかりガードを固め続け、初めての表彰台を獲得することとなった。4位は金澤が、5位は小川颯太(FTRSスカラシップF4)が獲得。ここまでの5人は、澤田以外いずれも自己ベストを更新した。一方、川合は14台抜きを遂げて、8位でゴール。
「抜くのはヘアピンしかないと思っていましたが、なかなかチャンスが訪れませんでした。でも、ワンチャンスをうまく逃さずとらえられました。正直、運もありましたね。スタートがあんまり良くなかったんで、予選よりもひとつ順位を落としてしまったので、先輩たちの後ろについていって、何かあればと思っていましたが、まさかあのタイミングで起こるとは(苦笑)。抜ける自信はありましたが、岡山はなかなか抜けないコースなので、ちょっとだけ苦労しました。これで流れを一気に変えることができれば!」と名取。
第2戦もドライコンディションで争われ、角田がしっかり雪辱を果たすこととなった。「スタートは悪くなかったと思いますが、2番手の(細田)の方が上手でしたね」と語るも、今度はしっかりホールショットを決める。ここから先は完全にひとり舞台。第1戦を半周と走れていないこともあり、たっぷりタイヤは残されたから、オープニングの1周だけで細田に1秒7もの差をつけ、その後もファステストラップの連発でひたすら引き離しにかかってみせる。
一方、細田は序盤こそ名取、澤田、金澤と第1戦も入賞して、勢いのあるドライバーたちを背後に置いていたが、やはり2位でゴールできたという自信の方が優ったようだ。中盤からは単独走行に持ち込んでいく。逆に名取のペースが今ひとつ、「何が悪かったのか分かっているつもりなので、次までには」というが、11周目のヘアピンで澤田の逆転を許していた。
その間にもトップの角田は逃げ続け、15周で実に16秒差の圧勝に。「昨日、タイヤを使っていないのはありましたけど、それ以上の速さを見せつけたかったので、最後までアクセルを緩めようという気持ちはまったくありませんでした。気持ちは完璧に切り替えられました。完全にではなかったんですが、走っているうちに、走ることで(切り替えられた)。次回はスタートをもっと良くする、これが課題です」と角田。
2戦ともに細田、澤田が表彰台に上り、4位は名取。そして川合はまたも8位で、16台抜きを果たしていた。もし、ペナルティを受けずにいたら、果たしてどうなっていたことか……。また、今年から新設されたインディペンデントカップは、第1戦を仲尾恵史(TCS Racing Team)が、そして第2戦は植田正幸(Rn-sports制動屋F110)が制している。