スーパーGT第1戦岡山は4月8日、岡山国際サーキットで82周の決勝レースが行われ、GT300クラスは予選9番手からスタートしたUPGARAGE 86 MCがトップチェッカーを受けた。
いよいよ開幕した2018年のスーパーGT。この週末の岡山国際サーキットは6日(金)から雨絡みのコンディションとなる。7日(土)に行われた公式練習や予選もセッション中に本降りの雨に見舞われている。
迎えた8日(日)は午前中に行われたPCCJポルシェカレラカップジャパンの決勝レース中に雪混じりの雨が降ったものの、その後天候は回復。決勝は太陽が顔を覗かせ、気温11度、路面温度27度というるコンディションのなか、定刻の14時40分にスタートを迎えた。
スタート前のパレードラップ中にGULF NAC PORSCHE 911がいったんマシンを止めてしまうハプニングがあったものの、レースは定刻にスタート。GT300はポールシッターのマネパ ランボルギーニ GT3を先頭に、GAINER TANAX GT-R、HOPPY 86 MCと続いていく。
トップを走るマネパ ランボルギーニの平峰一貴がペースを上げていく一方、追いかけるGAINER GT-Rの安田裕信はじりじりと後退。後方に迫るHOPPY 86の坪井翔から攻め立てられる展開となる。
しかし、9周目に突入したころ、マネパ ランボルギーニのペースが落ちてきたところに、GAINERの安田が急接近すると、アトウッドコーナーへの進入でイン側へ飛び込む。
マネパのイン側に鼻先をねじ込む形となったGAINER GT-Rは、バックストレートで並びかけると、ヘアピンへの飛び込みでオーバーテイク。トップに浮上した。
その後もマネパは1分30秒台のタイムしか刻むことができず、HOPPY 86、Hitotsuyama Audi R8 LMSに交わされると、12周目のヘアピンコーナーでペースを上げてきた31号車TOYOTA PRIUS apr GTにも交わされて5番手まで後退してしまった。
代わってトップに浮上したGAINER GT-Rの安田は2番手HOPPY 86の坪井とのギャップを0.6秒前後として周回を重ねていく。14周目にはアトウッドの立ち上がりでは坪井が安田のスリップに飛び込んだが、ここはストレートスピードで勝るGT-Rに軍配。ポジションを奪うことはできなかった。
トップ2台がバトルを繰り広げていると、後方からHitotsuyama Audi R8 LMS、31号車プリウスが接近してきて、トップは四つ巴の争いに発展する。
ここで速さをみせたのは予選2番手からスタートしたHitotsuyama Audi。まずはHOPPY 86を攻略すると16周目のホッブスでGAINER GT-Rにクロスラインを仕掛けて、マイクナイトへの進入でイン側からオーバーテイクし、トップに浮上した。
これで前が開けたアウディのリチャード・ライアンは、ペースを上げ2周後には約3秒までリードを拡大。このままライアンがリードを広げていくかと思われたが、その後方からハイブリッド車である31号車プリウスの嵯峨宏紀がじわじわと接近。24周目の1コーナーでは背後にぴたりとつけテール・トゥ・ノーズのバトルに発展する。
タイヤの摩耗が進んでいるのか、アウディのライアンは思うようにペースを上げられず。バックストレートではイン側ラインをキープするなど防戦一方の戦いを強いられる。
2台は5周に渡ってテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げていたが、29周目のホップスでアウディが周回遅れの30号車TOYOTA PRIUS apr GTを交わそうと背後についた際に30号車のリヤに接触。さらにアウディのリヤには31号車プリウスが接触する玉突き事故が起きてしまう。
この接触が影響したのか、翌周のインフィールドセクションで31号車プリウスが突如ペースダウン。緊急ピットインを強いられて、トップ争いから後退を余儀なくされた。
これで2番手にはARTA BMW M6 GT3が浮上。しかしトップのアウディとは6秒以上のギャップがついている状況に。
また、このトップ争いからは引き離されていたHOPPY 86は30周目にピットイン。“お家芸”とも言えるタイヤ無交換作戦を敢行して松井孝允を送り出した。
そしてGT500が41周目に突入した36周目、トップのアウディがピットインし、ライアンから富田竜一郎へドライバーを交代する。
ステアリングを受け取った富田はコールドタイヤを履いていたことも影響したか、アウトラップのアトウッドへのアプローチで止まりきれずにコースオフ。幸いコースには復帰できたものの、大きくタイムをロスしてしまったほか、43周目にはマシンが突如スローダウン。ピットレーン出口でマシンを止めてレースを終えてしまった。
上位陣がルーティンのピットワークを終えた時点で、暫定トップはタイヤ無交換に打って出たHOPPY 86。2番手には28周目に同じくタイヤ無交換のピットを済ませていた小林崇志がドライブするUPGARAGE 86 MCが続き、マザーシャシーがワン・ツーを占める形に。
46周目にはGT300クラス全車がルーティンのピット作業を終えて、HOPPY 86が見た目上でもトップに浮上。その背後にぴたりとUPGARAGE 86が続いていく。3番手にはLEON CVSTOS AMGがつけたが、トップとは約11秒のギャップだ。
2台は10周に渡ってテール・トゥ・ノーズのバトルを展開。迎えた56周目のダブルヘアピンのひとつ目、HOPPY 86の松井が後方から来たGT500にラインを譲ろうとしたタイミングをUPGARAGE 86の小林が見逃さずにマシンをねじ込みサイド・バイ・サイドへ。
ホッブスをアウトから立ち上がる形となった小林だが、立ち上がりで車速を乗せて松井の攻略に成功。今年からチームに加わった小林が初戦でクラストップに浮上してみせた。
その後方ではLEON AMGとD'station Porscheのドイツ車同士がバトルを展開。D'station Porscheのスベン・ミューラーはバックストレートエンドやダブルヘアピンで勝負を仕掛けるが、前を走るLEON AMGの蒲生尚弥も巧みにブロックし、一進一退の攻防が繰り広げられる。
両者の争いは70周目まで続いたが、この周の最終コーナー、マイクナイトの立ち上がりでLEON AMGがわずかにオーバーランして体制を崩す。ミューラーはこの隙を見逃さずにLEON AMGを交わして表彰台圏内に飛び込んだ。
勢いに乗るD'station Porscheは、またたく間に前を走るHOPPY 86 MCに接近すると、ストレートスピードを生かしてバックストレートエンドのヘアピンでHOPPY 86を攻略。2番手にポジションを上げる。
レース残り5周を切った時点でD'station PorscheとトップのUPGARAGE 86とは約3.5秒。UPGARAGE 86の小林はこのマージンを守りきってトップチェッカーを受け、GT300移籍後の初戦を勝利で飾ると同時に、チーム、そして僚友の中山友貴に初勝利をもたらした。
雨の予選に翻弄され20番手からスタートしたD'station Porscheが2位、予選5番手だったHOPPY 86 MCが3位でチェッカーを受けている。