7日、ISMスピードウェイでインディカー・シリーズ第2戦決勝がナイトレースで開催され、昨年の王者ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が今季初勝利を飾った。佐藤琢磨は(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は11位に終わった。
開幕戦でラッキーな優勝を飾ったセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング)が、フェニックスでの第2戦ではポールポジションを獲得した。
オーバル予選は前戦リザルトの逆の順番でアタック……という新ルールはウイナーに与えられるボーナスとも言えるもので、それを今回は見事に活用したかたちだ。その前にポールポジションを狙えるマシンを作り上げるという点で彼らはライバルたちを上回っていた。
チーム・ペンスキーでも、チップ・ガナッシ・レーシングでも、アンドレッティ・オートスポートでもなく、デイル・コイン・レーシングが新しいユニバーサルエアロキットのマスターで一歩抜きん出た状態にある。経験豊富なブルデーというドライバーの能力と、彼が信頼するエンジニアリングチームの仕事ぶりはキッチリ歯車が噛み合っているのだ。
予選2番手はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。昨年のフェニックス勝者は、2ラップ合計タイムでブルデーに0.0811秒及ばず。しかし、彼は決勝用のマシンセッティングに大きな自信を持っていた。
予選3番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で、4番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。5、6番手にはジェイムズ・ヒンチクリフとロバート・ウィケンスのシュミット・ピーターソン・モータースポーツのコンビが並び、昨年度チャンピオンのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は7番手だった。
2月の合同テストで最速だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は13番手。チームメイトのグラハム・レイホールも12番手。2月に良かったマシンは、高温のコンディションでその力を発揮できず、その修正を進めることができなかった。2デイイベントでプラクティス時間が少ないためだ。
レースは夜の7時前にスタート。気温は高いままだが、太陽が沈むと路面の温度は下がり、レース観戦を楽しむのには最高のコンディションとなった。
フロントロースタートだったフランス人ドライバーふたりだが、最初のピットストップでパジェノーはホイールをロックさせて左フロントタイヤチェンジャーに接触。ブルデーもピット作業に時間がかかって優勝争いから脱落した。
■上位陣が脱落するなか、カナダコンビが躍進
ライバルたちのミスでトップに立ったパワーだったが、狭いラインを外れてコントロールを失って壁にヒットし、レースが半分もいかないところでのリタイアを喫した。
これでレースのイニシアチブはシュミット・ピーターソン・モータースポーツのふたりが握ることとなる。彼らに挑んだのは、ニューガーデンとインディカー2年目のエド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ・レーシング)。
しかし、もうゴールまで25周を切ったところでジョーンズがクラッシュ。これでレースの行方はまったくわからなくなった。フルコースコーションが出されると、ピットに大半のマシンが滑り込んだが、ウィケンス、ヒンチクリフ、ロッシの3人はステイアウトし、1-2-3番手へとポジションを上げた。
ロッシは1回目のピットストップでパジェノーと同様にクルーに接触してペナルティを科せられたが、驚くべきスピードで次々マシンを抜き去り、自力で周回遅れを解消。その勢いは優勝目指して一直線という印象だった。前を走るふたりをパスしてキャリア3勝目を飾ることは十分に考えられた。
ところが、彼のすぐ後ろの4番手にはフレッシュタイヤを装着してきたニューガーデンがつけていた。彼はリスタートが切られるやロッシにアタック。グリップの高いタイヤをアドバンテージでロッシ、ヒンチクリフをすぐさまパスし、トップのウィケンスを追った。
開幕戦セントピーターズバーグでは残り2周でロッシと接触して優勝を逃したウィケンスだったが、フェニックスでは残り4周を切ったところでニューガーデンのパスを許した。しかし、今回はクラッシュでレースを終えることはなく、2位で初の表彰台登壇を達成した。
3位はロッシ。ウィケンスとの因縁対決が始まる前にレースは終了となった。
「今日の勝利はチームの力によるものだ。ピットストップで多くのポジションゲインを果たしたし、作戦も完璧だった。ゴール前のウィケンスとのバトルもエキサイティングだった。特に、トップを奪うアウトからのパスがスリリングだった。タイヤを新しくしていたからこそ可能なパスだった」とニューガーデンは喜んだ。
ウィケンスは、「トップと同一周回でゴールするのが目標だったから、2位フィニッシュを喜んでいる。僕にとって初めてのオーバルレースだしね。今日のこの好結果を土台にして更に頑張っていきたい」と話した。
琢磨は粘り強い戦いを続けたが、その奮闘にあまり見合わない11位でのフィニッシュとなった。最後のピットストップでチームメイトのレイホールにパスされ、リスタート後にはパジェノーの先行を許し、シングルフィニッシュを逃した。
「テストが良かったことで、自分たちはセッティングを逆に変更できなくなっていた面がある。予選前のプラクティスで自分たちのセッティングが合っていないとわかったけれど、そこからすぐに変更をして修正することはできなかった。その後はもうすぐに予選で、その後にファイナルプラクティスが行われました」
「そこで得られた情報を基にレース用のセッティングを決めたのだけれど、レースでの僕らのマシンは、安心してドライビングができるものには最後までならなかった。イエローでアドバンテージを得ることに期待したロングスティントも、結果論ではあるけれど、欲張り過ぎだったと思う。最後のイエローでタイヤ交換のためのピットインした作戦も、当たっていなかった」と琢磨は話していた。
インターバル無しで次は第3戦ロングビーチグランプリ。2013年に琢磨がインディカー初勝利を挙げたコースだ。