トップへ

2020年クラス1実現に向け動き本格化。“ファイナル”はGT500も統一エアロ

2018年04月08日 13:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

スーパーGT500クラスの3台とDTMの3台によるデモランが、ツインリンクもてぎでついに実現した。
スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表は、第1戦岡山の決勝日に行われたGTA定例記者会見のなかで、GT500クラスとDTMドイツツーリングカー選手権との間で進められている“クラス1”についての将来図を示した。坂東代表によれば、2019年にはGT500とDTMによるエキジビションレースが行われる方向で動いているという。

 DTMとスーパーGT500クラスは、長年『クラス1』と呼ばれる車両規定統一化に向けて交渉が進められており、2014年からはGT500クラスがDTMとモノコックを中心に多くの部分を共通化。2017年には、より目に見える形での交流を印象づけるべく、DTM最終戦ホッケンハイムとスーパーGT第8戦もてぎでそれぞれ両シリーズの車両がデモランを行った。

 常々GTA坂東代表と、DTMを運営するITR e.V.のゲルハルト・ベルガー代表は、両シリーズの交流のゴールが“交流戦”と両者のマシンによるレース“ファイナル”の実現にあると語ってきており、それに向けて両シリーズでは、さまざまな規定統一に向けた交渉を重ねてきた。

 ただ、両シリーズでは文化的・歴史的側面に差があり、思うように統一に向けた交渉は進んでいなかった。2018年に向けて、GT500では3メーカーが開発可能なデザインライン下部に新たな開発を行ってきたが、一方でDTMでは、「ファンがより多くのバトルを楽しみ、スリルを味わえるシーズン」とするべく、フロントフリックのカナードの縮小化、ラテラルダクト部分のパネル/カナードの廃止、リヤフェンダー後端下部のフリックの廃止などが決定した。

■コストダウンを目指し空力を凍結したいDTM
 この両者の規定に対し、GTA坂東代表は8日に行われた定例記者会見のなかで、将来のGT500について語った。坂東代表は改めてGT500の「どこに将来図を置くか」という点に対し、DTMとのコラボレーションによるファイナルの実現を挙げた。

 ただDTMでは、このクラス1を争うマシンはすべてメーカー製のワークスマシン。「海外のメーカーにとってはワークス活動なので、コストを削減したい。メルセデスが今年でDTMの活動を終えるが、残ったアウディとBMWがいかに継続性をもってやっていくのかを、2019年に向けてこの半年で決定していく」と坂東代表。

 そのなかで、坂東代表は2016年限りでLMP1の活動を終えたアウディの空力エンジニアたちがDTMに携わり、その効果があってアウディがタイトルを獲得したことを挙げ、「コストパフォーマンスの削減に向けて、ある程度空力を一定にしなければならない」という新たなクラス1のコンセプトを語った。これに従って策定されたのが、2018年のDTM規定の空力変更なのは間違いない。

 ただスーパーGTでは、速さを増すGT300との混走が前提であり、各メーカーとも車両開発を続けたい希望がある。コストを下げたいDTMとは平行線だ。

 そこで坂東代表は、2020年に向けて「スーパーGTでは、開発領域を維持する。その一方ファイナルでは、ひとつの規定でやるということを決定している」と語った。

■GT500はスーパーGT用とクラス1用のパーツを使用へ
 つまり、スーパーGTのシリーズ戦では、今まで同様に各メーカーがデザインライン下部で空力開発が可能となる。ただ2020年以降DTM車両と戦うレースでは、18年にDTM車両が取り入れるシンプルな空力処理のパーツを装着しなければならないということだ。またこれはエンジンについても同様で、GT500も開発が凍結されたものを使用しなければならない。

 また、坂東代表はオートスポーツの取材に対し、2019年にDTMとGT500による交流戦を「年に2戦」開催する考えであることを明かした。場所は富士もしくは鈴鹿、そしてドイツではホッケンハイムが有力。時季はシーズン開幕前後の可能性が高いが、細かい内容は「まだ話をしていない」という。

 そしてGT500では19年も現行規定を維持した上で、この車両がそのままエキジビションの交流戦に用いられるが、2020年からGT500では、“スーパーGT用の空力/エンジン”と“交流戦・ファイナル用の空力/エンジン”を用意、換装する必要が出てくる。

 なおこの2019年の交流戦に向けて、ミッドシップレイアウトを採用するホンダNSX-GTについては、「クラス1規定はあくまでFRだが、性能調整をGTAが行い、スーパーGT規則の車両として参加を可能とするようだが、2020年に“ファイナル”が開催されたときは、FR車両の開発が必要になるかもしれない」と坂東代表。

 2017年の両シリーズのデモランに続き、いよいよ具体化しはじめたGT500×DTMの“クラス1”。レクサス、ニッサン、ホンダ、アウディ、BMWという5社がそろうレースを目にする日が近づき始めた。