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『スマスマ』『ロンバケ』1996年が転換点に 中森明夫×太田省一『テレビとジャニーズ』対談

2018年04月08日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 社会学者・文筆家である太田省一氏の書籍『テレビとジャニーズ ~メディアは「アイドルの時代」をどう築いたか?~』刊行を記念し、リアルサウンドではアイドル評論家の中森明夫氏と太田氏による対談を企画した。


 『中居正広という生き方』、『SMAPと平成ニッポン』などを著書に持つ太田氏の最新刊は、タイトルどおり「テレビとジャニーズ」がテーマ。長きにわたり共に歩んできた「テレビ」と「ジャニーズ」2つの軌跡を追った、現代メディア・アイドル論の最新版だ。同書の内容を軸として太田氏がテレビでのジャニーズの活躍から感じ取ることや、『スマスマ』と『ロンバケ』が始まった1996年について、さらにジャニーズと女性アイドルたちの活躍の違いなど、中森氏と太田氏双方の視点からの議論がなされた。(編集部)


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■SMAPのバラエティ展開と、ジャニーズのエンタメ哲学


中森:まずお聞きしたいのですが、SMAPの解散についてこの本ではほとんど触れていないですよね。執筆対象期間に起こった出来事だと思うのですが、どういう意図があるんでしょう?


太田:この本に掲載しているコラムは全て、一つのメディア論として書いているということですね。芸能界における諸事情ーー例えば、SMAPの解散の真相のようなことは僕には正直分からない領域でもある。あくまで「テレビ」と「ジャニーズ」の関係性がメインにある本なので、SMAPの解散云々には今回は触れないでおこう思いました。でも、そういった要素はなしにしても、SMAPがテレビの中で証明したジャニーズの存在意義については書かれていると思います。


中森:というと?


太田:別の本のなかで、僕自身、SMAPはジャニーズの正統なのか異端なのかと考えたことがあったんです。ジャニー喜多川社長が一貫した目標としてミュージカルや舞台での活躍を置いていたとするならば、SMAPはテレビで成功した存在なので異端と言える。一方で、彼らの成功がジャニーズ全体の活動にかなり大きく道を拓きましたよね。特に『SMAP×SMAP(スマスマ)』を代表としたバラエティの分野での活躍があったわけですが、その特徴は、音楽、コント、ダンス、フリートーク、さらにドラマやドキュメンタリーの要素まで「なんでもあり」ということです。原則がないことが原則というか。でも、そういった「なんでもあり」の部分は、ジャニーズのエンタメ哲学そのものであるという捉え方もできると思うんです。ジャニーさんプロデュースの舞台を見ていても、和と洋、新と旧、さまざまな要素をなんでも取り入れ共存させていく中で化学反応を起こさせていますからね。そう捉えると彼らはジャニーズの正統とも言えるんです。


中森:なるほど。本全体の印象としても、あまりネガティブなことが書かれていないと感じたのですが、これはご自身のスタンスなのでしょうか? 芸能記者がよく取材をしているタレントに対してネガティブなことを書きにくくなるということは稀にありますが、太田さんは記者ではないし、基本的には何でも書くスタンス。でも、その上でポジティブなことのみを取り上げるということに、やはり書き手としての太田さんの考え方が出ているのかなと思いましたね。


太田:それはこの本に限らず、自分の中にある考えですね。建前を書くということではなく、基本的に執筆対象の持つ可能性について書きたいという思いがあるんです。僕自身、ジャニーズもそうだし、広く言えば女性アイドルも含めたアイドル全般の存在に助けられている部分があって。また、社会学者として見た時に、今の社会・時代もアイドルたちの存在に助けられている面があるんじゃないかなと。そういうことが伝わるように書きたいという思いはずっとあります。


中森:読み進めるとわかるように、太田さんはジャニーズの各グループやメンバーの特色を微細に分析されていて、個々のテレビでの活躍や各グループの状況についても本当に詳しいじゃないですか。これは連載のためにチェックしていたんですか? 元々ジャニーズの番組を見るのが好きなんですか? 連載抜きで全部の番組をチェックするのはさすがにできないかなと思うのですが。


太田:もともと好きでしたが、連載用にさらに見た、というのはあります。信じてもらえないかもしれないけれど、基本は全部チェックしようという気持ちはあります(笑)。


中森:同書のメイントピックでもある「テレビとジャニーズの55年史」の結論が「ジャニーズという世界の深堀りになっていった」という見立ては面白いですよね。ジャニーズって、そこがやっぱりジャニーズなんですよ。例えば女性アイドルではAKB48グループや坂道シリーズといった秋元康プロデュースのグループが巨大ではあるけれど、それ抜きでも「女性アイドル論」は書けると思うんです。ところがジャニーズは「男性アイドル」を独占している。「ジャニーズ」が一つのジャンルになって、ジャニーズ自身がジャニーズを深堀りするようになっていった。その見立てがこの本の中でも一番面白かった部分ですね。


太田:そこをピックアップしていただけるのはすごく嬉しくて、なぜならそこに結論を持っていくのが自分の中での狙いだったんです。僕はジャニーズファンというか、ジャニーさんファンみたいなところがあって(笑)。社会学的な観点から見ると、ジャニーズは戦後日本そのものであり、もちろんその中にはテレビの発展が同時にある。その二つの関係はどういうものなんだろうというのが、この本で一番追求したかったことなんです。「ジャニーズの深堀り」は、僕の「ジャニー喜多川とはどういう人なのか」という思いにもつながっている。「YOU、◯◯しちゃいなよ」というフレーズにもあるように、ジャニーさんの存在はジャニーズのタレントたちによって一種ギャグ化されている一方で、神秘化もされているじゃないですか。でも僕にとっては、ジャニーさんがずっとやってきたこと、あるいはこれからやろうとしていることって、実際なんなんだろうという思いがずっとあるんです。


中森:ジャニーさんって不思議なありようですよね。ジャニーズのタレントたちが番組でモノマネをすることがネタになっていて、見たこともないのにそれを見て我々がウケるという。テレビという媒体がなければそういう状態にはならなかったわけですし、不思議なカリスマ性というか。


太田:彼の本質にはすぐにはたどり着けない気がしているんだけれど、細部を見ていく中で、「ジャニーさんが目指すエンターテインメント」のヒントが掴めるんじゃないかという思いはありますね。だからこそ、ジャニーズのテレビでの活躍を細かく追っているのかもしれません。


■『スマスマ』と『ロンバケ』が始まった1996年


中森:あと注目したいのが、本の中で指摘されていた『スマスマ』が1996年4月15日の月曜夜10時に始まって、同日、月曜夜9時にドラマ『ロングバケーション(ロンバケ)』が始まったということ。テレビ史的には1996年は『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』と『めちゃ×2イケてるッ!(めちゃイケ)』が始まった年でもあります。しかし、2018年の今、月9はかろうじて残っているけれど、『スマスマ』はない、プラスして『めちゃイケ』『とんねるずのみなさんのおかげでした』もなくなった。考えてみるとSMAPのみならずフジテレビの一番良い時の活気がSMAPによって作られ、SMAPとともに終わったということなのかもなと思いましたね。


太田:つい先日、1980年生まれの編集者とアイドル話をしていたんですよ。1989年に昭和が終わり平成が始まった。そのあたりから大きく歌番組が変わったよねと言ったら、彼が平成だと感じたのはそれよりも1995年。要するに阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が起こったところで初めて「ああ、昭和が終わるんだな」と思ったと言っていて。


中森:西暦のディケイドってありますよね。前半と後半に分けて考えると1番大きいのは1945年の終戦ということになるんですけど、その後「55年体制」に入り、85年には「新人類」という言葉が出てきた。95年の手前まではその85年の空気が残っていて、95年に切断があった。そういう意味でも、この本に書かれている96年の『ロンバケ』と『スマスマ』が同時に始まったというのは、案外大きな出来事なのかもしれない。巻末に資料として掲載されている年表はテレビ史とジャニーズ史と社会の動きが並列で揃えられているので、そういった見方の参考にもなりますね。


太田:僕の個人的感覚だと、90年代はバラエティの最盛期だったと思うんですよ。80年代は『オレたちひょうきん族』が始まって、漫才ブーム以降のビートたけしさん、タモリさん、明石家さんまさんら“お笑いビッグ3”が活躍しましたが、本当にテレビがバラエティを完成させたのは90年代だと思っていて。1992年には『進め!電波少年』も始まりましたね。偶然の巡り合わせだとは思うのですが、SMAPがそこにうまくハマったというか。今指摘していただいたように、歴史的な偶然の面白さがある。1996年はテレビ的にもいろいろなことが起こっている年で、そこから約20年余りが経って、今、80年代もひっくるめた終わりを迎えそうな雰囲気があるわけですけど。


中森:もっと言うと、平成ごと、ということになるんですよね。


太田:おっしゃるとおり。不思議なもので、昭和のバブルがはじけたのが平成になったあたりで、それから30年くらいなのでちょうど一世代ほどになりますね。


中森:さらに今年は安室奈美恵さん、小室哲哉さんの引退というトピックがある。平成に入ってビックヒットとなるエンターテインメントを築いた存在が続々と引退したり解散したりする。時代が終わる時ってこういう感じなのかなと思いました。


太田:そのお話は中森さんに詳しく聞きたいのですが、昭和の終わりと平成の終わり、雰囲気の違いを感じることはありますか?


中森:平成は天皇の生前退位ですが、昭和はみんなまさかあんなかたちで終わるとは思わなかったわけですよね。ただ、昭和の終わりで考えたいのは、たまたま80年代の終わりと重なったということ。しかも、80年代の終わりってバブル真っ盛りだったわけですよね。その後まさかバブルがはじけて長期不況になるとは誰も思っていなかった。ただ、世の中が暗くなったというよりは、むしろ浮かれていた感じがありました。その反面、音楽番組が立て続けに終わっていった。『夜のヒットスタジオ』『ザ・ベストテン』など各局の番組が終わっていき、アイドル歌手がテレビに出るための番組がなくなっていったんです。特に女性アイドルにとっては路線変更の大きなきっかけになったと思うんですよ。ちょうどその頃がSMAPのデビューでもあって、彼らはドラマやバラエティに積極的に出ていくようになっていった。女性アイドルも同じ頃にグラビアアイドル、バラエティアイドルといった感じで分業化していきました。歌って踊ることがアイドルの本業だったんだけど、披露する場がなくなっていったので。それが昭和末から平成の初めの光景だった。30年前と今との違いで思うのは、この後アイドルがどうなっていくのかが見えないこと。奇しくも今回は「テレビとジャニーズ」という話なので、一つはテレビ以外のところにどう拡散していくか。実際に女性アイドルの場合はAKB48が象徴的ですけど、最初は舞台やライブから始まって、それがインターネットに広がって、逆にテレビに乗っていくみたいなかたちでしたからね。でも今は平成の後の元号に女性アイドルがどうなっているのか全然分からないです。それが30年前と大きく違うところかなと思いますね。


■転換期、印象に残るのは安室奈美恵


太田:1995~1996年の転換期、女性アイドルやエンタメ界にとっての象徴的な出来事や存在はなんだったと思われますか?


中森:安室奈美恵さんですね。95年のブームの頃、僕は18歳の安室ちゃんに取材で会っています。彼女を育てたすごいスクールがあると聞いて、沖縄へ行って沖縄アクターズスクールを訪ねました。そこでマキノ校長に「これから出るうちのエースです」とSPEEDになる前のメンバーたちも紹介されました。秋に篠山紀信さんと再び行って撮ってもらった写真を今見ると、11歳の山田優さんと9歳の満島ひかりさんが映っていたのも驚きでしたが。あとはプロデューサーの存在ですよね。小室哲哉さんが出てきて、アイドルというよりもダンスグループになってきた時代というか。


太田:『夜のヒットスタジオ』『ザ・ベストテン』以降、音楽番組も変化していきましたよね。


中森:『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP(HEY!HEY!HEY!)』はそれまでの他の音楽番組と明らかに違いましたね。本でもお書きになられていますけど、ダウンタウンの二人というお笑いのMCとJ-POP系のアーティストのトーク部分、そしてライブをちゃんときちんと見せるという、歌謡番組とは雰囲気が違った。あと、90年半ばに夕方の『DAIBAッテキ!!』という番組から出てきたチェキッ娘というアイドルグループがいて、フォーマットはおニャン子クラブと同じなんですよ。彼女たちが『HEY!HEY!HEY!』に出たことがあったんですが、全然知名度がなかったのを覚えています。90年半ばには『夕やけニャンニャン』スタイルが全く通じないんだなと。チェキッ娘はメンバーが20人もいましたが、今でも多くの人に記憶されているのは歌手の下川みくにさん、タレントの熊切あさ美さんくらいでしょうか。90年代半ばは女性アイドルが低迷していった時代だった。でもジャニーズ、特にSMAPはテレビとの融合によって90年代後半に進化していった。SMAPでいえば『スマスマ』の「BISTRO SMAP」で料理に進出しましたが、太田さんの本を拝読すると、いまやV6坂本昌行さんやKis-My-Ft2横尾渉さんのような料理好き、ジャニーズJr.阿部亮平さんのような気象予報士、嵐櫻井翔さんやNEWS小山慶一郎さんのようなニュースキャスターもいる。ジャニーズ事務所のタレント揃いの感覚はすごいですよ。でも僕はそれを吉本にも感じていて。芥川賞のピース又吉直樹さんがいたり、絵本作家としても活躍するキングコング西野亮廣さんがいたり。ただ吉本にはジャニーさんがいないし、もっとアナーキーで放任的ですが。


太田:それでいうと、とんねるずが典型なんですが、80年代の途中から芸人がアイドル化しましたよね。芸人とアイドルがある意味で融合したような流れが80年代の後半くらいからあった。その中にジャニーズや吉本、その他の事務所があった。もちろん歌とダンスのプロであるジャニーズと、ネタのプロである芸人という区別はあるものの、基本はテレビにおいてある種の一芸や得意技を持ってやっていくというのは90年代頃から本格的に進んできて、今それが全面化してきているということなのかもしれません。


中森:本にも“アイドルと芸人の融合がテレビの中で起こっている”とありましたが、その中で僕らが約束事として見ていた、お笑い芸人は水泳大会でジャニーズのスターに勝っちゃいけなかったという暗黙のルールみたいなものがありますよね。よくビートたけしさんがネタにするパターンですけど。それがSMAPチームが負けて土下座するなんて相当な変わり様ですよ。SMAPはそこで土下座することが良かったんですよね。嘘で勝っても何かを変えることにはならない。


太田:要するに“普通である”ということだと思うんです。メディア上の“普通”って意外に難しいわけで。その“普通であること”の才能に、特にSMAPのメンバーたちはすごく長けていた気がしますね。


中森:テレビからインターネットの時代になって、テレビ番組が平然と多くの人たちに共同でツッコまれるものになったじゃないですか。昔はナンシー関さんのようなテレビ批評家がいましたけど、今はみんなが同時的にネットでハッシュタグをつけてツッコむような時代。結構大変だと思うんですよね。ちょっとのことがあっという間にニュースになるなんて、昔ではありえなかった。そういう時代にテレビに向いている人と向いていない人って明らかにいますよね。


太田:最近面白かったのは、ジャニーズJr.のユニットたちがYouTubeに動画をアップし始めたんですよ。YouTubeの動画の下のコメント欄は今のところ熱心なファンの人たちが絶賛するような内容が書かれてることがほとんどなんですが、その中でHiHi Jetsというユニットの一人が、動画のなかで「つまらなかったらつまらないって言ってくれた方がいいよね」ってすっと言ったんですよ。それを見て、時代が変わりつつあるなと。テレビは視聴者から直接ツッコまれることを想定していないエンタメじゃないですか。でもデジタルネイティブの世代はツッコんでもらうことが前提にある。時代はいよいよ変わりつつあるのかなという気がしましたね。やはりSMAPは普通の男の子でありつつも、テレビのエンタメとして完成されたものを見せようとしていたと思うので。


■“平成の終わり”に迎える変化


中森:まもなく平成が終わりますよね。ジャニーズもジャニーさんが引退を迎えて現役でなくなったらどうなるのかなと思うことがあります。


太田:ちょっと大げさで恐縮なんですけど、ジャニーさんがもし直接関わらなくなったら、ジャニーズのなかにある戦後民主主義的なものがかなり変わることになるんじゃないかなという気がしています。ジャニーさんが以前蜷川幸雄さんのラジオで「アイドルづくりは人間づくり。成長しない子どもは一人もいない」と断言していて、それが僕にとってはすごい衝撃だったんですね。そこまで断言できる自信がすごいなと。どんな子でもいいところがあって絶対成長できる。その考え方は、平たく言えば、戦後民主主義なんですよ。ジャニーズが野球チームから始まったというのもそうなわけで、野球は適材適所、どこかのポジションで活躍できるというスポーツじゃないですか。


中森:戦前からあったにせよ、野球は民主主義ですよね。戦後のGHQの瀬戸内少年野球会はまるっきりそうだし、寺山修司さんもキャッチボールで民主主義というボールを受けて、そこから始まったというのは象徴的です。


太田:おそらくジャニーさんの中では少年イコール日本人というか、みんなが成長していく社会という理想を持っている。あるいはそういうものに自分の力を使いたいというのが強い人なんだろうという気がしています。ジャニーさんが今のジャニーズに関わらないようになるならば、組織、集団としても必然的に相当違ってくると思っています。


中森:ある意味テレビに関してもそうですよね。もともとテレビができたおかげで視聴者としての平等が生まれ、1家に1台という時代がなんとなく変わりつつあって。今ではテレビを持っていない人だっていますからね。


太田:僕もテレビは戦後を象徴するメディアだと思っているので、ジャニーズとテレビは基本的にはとても相性がいいものだというのが書きながら感じたことですね。


■ジャニーズは今後テレビでどう活動を広げる?


太田:最後にお聞きしたいのですが、2000年代後半以降、AKB48がブレイクしてから女性アイドルブームが続いてきたわけじゃないですか。でも、例えばTOKIOが『ザ・鉄腕!DASH!!』でお茶の間人気を獲得したように、テレビにおいてそういったポジションを築いた女性アイドルが出てきていないのはなぜだと思いますか?


中森:AKBグループはじめ、女性アイドルはメンバーがコンスタントに卒業していく、宝塚のようなスタイルだということがあるのかなと。だからといって人気メンバーが卒業後女優など個人で活動したとしても、グループにいた時のポテンシャルは保てていない。ジャニーズのようにグループにいながらーーTOKIOの長瀬智也さんのように宮藤官九郎作品でおなじみ、というようにもならないんですよ。また握手会がなくなるのことでのファン離れが激しいということもありますね。アイドルの寿命が長くなったという話をよく耳にしますけど、長く生きていくためには自らのポジションをしっかり取っていくということがとても重要なんだと思います。V6なんかすごいですよ。井ノ原快彦さんが『あさイチ』でさらに人気が出たように、メンバーたちは結婚後もさらに活躍の幅を広げていますから。


太田:ジャニーズはテレビにおいて今後どのような場に活動を広げていくと思いますか?


中森:ジャニーズが進出していないのはどの分野だろうと考えると、スポーツに詳しいメンバーはいるけれど、相撲はいないので出てくる可能性があるかとか。探せばまだまだあるとは思いますけど、一定の限界はあるんじゃないかとは思いますね。例えば政治。キャスターはできるけど、『朝まで生テレビ!』に出られるようなメンバーは現れるかとか。お笑いであれば、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんが出ていますけど、どこかの政治家に肩入れしたり、今だったら森友問題を語らないといけなくなる。やっぱり政治的なバイアスがかかるような発言は求められないじゃないですか。そのへんですよね。ただ、頭のいい人もたくさんいるし、これから政治家を目指す人が出てきてもおかしくはない。都議会・県知事くらいなら可能性もありますよね。能力も人気もある人たちが集まっていますから。