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GT300予選《あと読み》:気温と雨が生んだ波乱のグリッド。決勝の展開もお天道様次第……!?

2018年04月08日 09:31  AUTOSPORT web

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2017年チャンピオンで昨年の岡山ラウンドを制したグッドスマイル 初音ミク AMGはQ1敗退の憂き目に
「寒いね!」

 いよいよ春も到来し、迎えたスーパーGT第1戦岡山の公式予選日。会う人会う人、交わす言葉はまずはこの4月とは思えないほどの冷え込みだ。まさかのグリッドとなった第1戦岡山の予選は、この季節外れの寒さと不順な天候が生んだのは間違いない。

 前日から冷たい雨が降り、この日も早朝こそ晴れ間も見えていたものの、公式練習時にはまさかのひょう混じりのみぞれが降った。さらに、公式予選ではGT500の予選Q1終了後、強い雨が降り路面は瞬く間にウエットになってしまう。

 GT300のQ1では、さまざまな波乱が起きた。なんと2017年チャンピオンであるグッドスマイル 初音ミク AMGが、谷口信輝のドライブにもかかわらずQ1脱落となったのだ。また、富士での公式テストでも好タイムをマークし、岡山でも速さをみせてきたD'station Porscheもまさかの20番手という順位で予選を終えてしまっている。

「この気温にドンピシャを持ってきているチームがいるとも思えない。午前はタイヤが温まりきらず、セットアップも進められなかった」というのは、谷口の相方である片岡龍也。また、D'station Porscheのスベン・ミューラーも「アタックラップは良かったと思うけど、残念ながら想定したタイムは出なかったね。コンパウンドが気温にマッチしていなかった。テストではずっと良かったのにね」と語っている。

■波乱のQ2
 これら“波乱”の中心になったのは、GT3のヨコハマ勢。いずれも開発を担っているであろうチームで、逆に開発を担っていなかったチームがQ1突破を果たしていたりするのも面白い。この岡山では、開発チームが苦しむことは以前にもあった。

 そして、さらなる波乱となったのはQ2だ。いきなりウエットになったことで、昨年からウエットを得意としていたダンロップ勢やブリヂストン勢が躍進。「マシンのセッティングが決まっていたからだ」というマルコ・マッペリが好走をみせたマネパ ランボルギーニ GT3がポールポジションこそ奪いヨコハマの溜飲を下げたものの、2~4番手をDL、BSのGT3勢が占めている。

 ただ「ポールを狙えるタイムも見えていました」というのは、Hitotsuyama Audi R8 LMSのQ2を担当した富田竜一郎だ。「個人的には好きなコンディションでしたが、アウディでウエットを履いたのが初めてだった。攻めきっていないところを攻めて、アタック中に引っかかっていなければ、同じくらいのタイムは狙えたと思います」という。

 また富田は、「ウエットであれドライであれ、ロングランのタイムはいい。個人的には今回2番手につけられたのは100点に近いと思いますし、移籍初戦でこういうスタートを切れたのはフロック(まぐれ)だと思っていないので、楽しみです」と決勝に向けて自信をみせている。

 富田の言うとおり、このオフは鈴鹿メーカーテスト以外、あまりウエットコンディションがなく、今回が今年初めてのウエット経験というドライバーも多い。その点ではマッペリのアタックは、初めてとは思えない素晴らしいものだっただろう。

■決勝はドライならJAF-GT勢が復権!?
 また、GT3勢が上位につけたのは、ウエットになったから……という部分も大きい。JAF-GT勢はウエットを苦手としている部分があり、Q1で圧倒的な速さをみせたHOPPY 86 MCが4番手だったのは、雨のせいもあっただろう。

「でも準備してきたことはしっかり出せたし、開幕の予選としては今まで以上に落ち着いていた。Q1でもベストを出せたし、ウエットでもベストを出すことができた」というのは、つちやエンジニアリングの土屋武士監督。

「(マッペリ選手のタイムは)今まで知らずにスイマセンでしたって感じ(笑)。アグレッシブだし、気持ちいいアタックだった。また役者が増えたなと」

 さて、土屋監督がうらなう決勝はどうなるだろうか。「ドライでは上に来なかったチームもいると思うし、セーフティカーも出ると思う。ドライバーも頼もしいし、いろんな準備もできているので、勝てるチャンスはぜんぜんある」と自信をみせる。

 実際、この岡山ではJAF-GT勢が有利と見ているチームが多い。LEON CVSTOS AMGの黒澤治樹も「現状はウチができることをやり切った予選でした。ドライではJAF勢が速いですからね。どうなるかは分かりませんが、厳しいレースになるかもしれないです。ウエットになってくれた方がベターです」という。

 さまざまな予選後のコメントを聞く限り、すべては明日の気温と路面温度、そして天候によるだろう。気温が上がれば喜ぶチームもいれば(これがほとんどと想像する)、雨を望むチームもいるだろう。開幕のゆくえは、例年以上にお天道様次第なのかもしれない。