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『ごくせん』『金田一』を生んだ「土9」消滅から1年 若手ジャニーズの登竜門ドラマはどこへ?

2018年04月07日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 毎週土曜日21時からの日本テレビ系列ドラマを楽しみにしていた方も多いのではないだろうか。数々の名作ジャニーズドラマを生み出してきた「土9」である。かつては若手ジャニーズメンバーの登竜門的存在だった「土9」だが、2017年3月末に「土10」に変更されてから少しずつ流れが変わってきた。


 今「土9」の流れを受け継いでいるのは、日本テレビで月曜日24:59~25:29に放送されている「シンドラ」ではないだろうか。ちょうど連続ドラマの転換期である今、「土9」と「シンドラ」の違いや共通点を探ってみたい。


 「土9」から生まれたジャニーズの人気ドラマはかなり多い。1995年に放送されたKinKi Kids・堂本剛主演の『金田一少年の事件簿』をはじめ、『銀狼怪奇ファイル~二つの頭脳を持つ少年~』(1996年)、『ぼくらの勇気 未満都市』(1997年)、『ごくせん』『野ブタ。をプロデュース』(ともに2005年)、『スクラップ・ティーチャー 教師再生』(2008年)など、数えればキリがない。こう振り返ると「土10」に変わるまでは若手ジャニーズが主演を務めることが多かった。比較的早い時間帯であることから、家族全員で視聴するケースも多く、若手ジャニーズが知名度を得るための登竜門となっていったのだ。実際、『金田一少年の事件簿』シリーズや『ごくせん』シリーズなどに出演した堂本剛、KAT-TUN・亀梨和也、嵐・松本潤などは本格的なブレイク前に出演をし、トップアイドルへと上り詰めていった。


 一方「シンドラ」は、2017年6月からスタートした深夜のドラマ枠だ。これまで『孤食ロボット』『吾輩の部屋である』『卒業バカメンタリー』の3作品が放送済み。主演はHey! Say! JUMP・有岡大貴、高木雄也、八乙女光→Sexy Zone・菊池風磨→ジャニーズWEST・藤井流星、濱田崇裕と、やはり若手メンバーが続いている。


 特徴は、メンバーのイメージにフォーカスした作品だということではないだろうか。例えば、『孤食ロボット』では有岡、高木、八乙女がかわいいロボット姿で出演。もともとキュートなイメージがあるHey! Say! JUMPのイメージにピッタリだ。『吾輩の部屋である』は、出演者が大学院生を演じる菊池のみ。他のキャストは“家具の声”としての出演というシュールなドラマだ。慶應義塾大学卒という菊池の“哲学っぽさ”が浮き彫りになった作品と言える。そして、『卒業バカメンタリー』で藤井・濱田が演じたのは、脱・童貞を目指す憎めないおバカ男子大学生。ジャニーズWESTの中でも天然で知られる2人だからこその“おバカ感”が絶妙だった。


 こうして比較すると「土9」は「家族で楽しめる学園モノドラマ」で、シンドラは「個性を活かした一癖あるドラマ」と違いはあるが、実は共通点も見受けられる。若手ジャニーズメンバーやグループ内の複数メンバーが1作品に出演するスタイルだ。例えば、KinKi Kids・堂本光一主演の『銀狼怪奇ファイル~二つの頭脳を持つ少年~』では、デビュー間もないV6・三宅健と井ノ原快彦が出演しており、『スクラップ・ティーチャー 教師再生』ではHey! Say! JUMP・ 中島裕翔、山田涼介、知念侑李、有岡大貴が出演している。このスタイルが「シンドラ」にも引き継がれているのだ。


 「土9」の血は脈々と「シンドラ」に受け継がれているのだろう。4月23日にスタートする「シンドラ」枠の『〇〇な人の末路』は、原作がビジネス書というドラマ。Kis-My-Ft2・横尾渉、宮田俊哉、二階堂高嗣、千賀健永がそれぞれ「仮想通貨で思わず大金を手に入れちゃった人」、「日本一顧客思いのクリーニング店を経営する人」、「田舎でのんびり暮らしたいと思った人」、「事故物件を借りちゃった人」を演じる。


 原作にはまだまだ多くの「〇〇な人の末路」が掲載されている。「土9」の代表作『金田一少年の事件簿』や『ごくせん』のように、シリーズ化となるのだろうか。そして、より多くの人がジャニーズメンバーを知るきっかけになるドラマ枠に成長することを願いたい。(高橋梓)