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F2開幕戦に臨む福住仁嶺「今年はセッティング能力を学んで結果を積み上げていく」

2018年04月06日 22:21  AUTOSPORT web

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2018年のFIA F2に参戦する福住仁嶺
2017年シーズンはGP3に参戦しランキング3位を獲得した福住仁嶺。2018年シーズンはスーパーフォーミュラとFIA F2のふたつのシリーズに参戦。今週末から開催されるF2開幕戦バーレーンの手応えについてインタビューした。
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──開幕前テストの感触は?
福住仁嶺(以下、福住):南仏ポールリカールが最初のテストだったんですが、気温が低すぎてミディアムタイヤの方がスーパーソフトより速かったという異常なコンディションでした。なのでちゃんとしたテストができてない印象です。それといろんなチームで、エンジンが次々に壊れて。僕は大丈夫だったんですが、全部で8基ぐらい壊れたと思います。

──エンジンブロー?
福住:だったようです。他にもギヤボックスが壊れたりとか。僕は幸いトラブルには遭わずに新しいF2マシンにも馴れることができたんですが、でも全然満足できなかったです。

──速さが足りなかった?
福住:そうです。他チームに比べて、1~1.5秒遅い。それですごく不安な気持ちで、次のバーレーンテストに臨んだんですが、ここでは何と全然タイム差がない。どころか3日目午前中にはチームメイトがトップタイムを出すぐらいで、まったく違う展開でした。去年のアーデンも、バーレーンの開幕戦で2位になってるし、暑いコンディションが合ってるのかもしれません。

──単純に、コースコンディションの違い?
福住:だと思います。

──今季から導入される新しいF2マシンの印象は?
福住:去年までのに比べて、全然違いますね。重たい感じ。実際、車重も重いんですが、なんかキビキビ感がない。コーナリングスピードは、特に遅くないんですけどね。乗り心地も悪くないし。ハロのせいで、乗り降りはちょっと大変ですけど、運転中の視界は全然気にならないです。

──重いと、タイヤを持たせるのも大変?
福住:テストでのロングランでは、大丈夫でしたね。でも予選シミュレーションを去年と比較すると、今年のクルマは2秒くらい遅かったですね。ストレートがとにかく遅い。気温が高いからってのもあるでしょうけど。

─開幕直前の印象で言うと、今季優勝争いに絡みそうなチームはどこですか。
福住:ART、カーリン、プレマ。あと意外にトライデントが速い。でも正直、わからないです。タイム差もすごく接近してるし。

──その中で、アーデンは?
福住:バーレーンテストの感触では、全然上位で戦えますね。

──表彰台を狙える位置にいる?
福住:ええ。レースペースも悪くないし。課題だった予選の速さも、バーレーンでは大丈夫でしたし。けっこう、良さそうです。


──ドライバーの力関係も、同様ですか?去年のF2は、シャルル・ルクレールがぶっちぎりだったわけですが。今年のチャンピオン候補は?
福住:全然わからないです。

──飛び抜けた存在がいないってこと?
福住:今のところは。でも去年のルクレールも、テストは微妙だったけど、本番はコンマ5秒速かったですから。今年もほんと、わからないです。いざ本番で、ええ~?!ってヤツが出てくるかもしれない。何でこんなタイム出るの?みたいな。

──エンジニアとの共同作業もうまく行っている?
福住:ええ。ただ、ちょっとうまく行かない時とか、揉めそうになることがありますね。ちょっと焦るタイプで、性格がちょっと合わないかも(苦笑)。僕が合わせないといけないんですけど。

──クルマの仕上がりには、今のところは満足している?
福住:そうですね。単純に組んだばかりなので、意思の疎通の問題かもしれません。

──腕がずいぶん太くなったようだけど、意識して鍛えた?
福住:しました。今だから言いますけど、去年はGP3でも疲れることがあって。今回F2のテストでは、3日間ぶっ通しで走っても、全然大丈夫でした。

──トレーニングの効果が出た?
福住:そうなんでしょうね。F1はこんなもんじゃないでしょうし、しっかり鍛えないと。F2なら2時間走り続けても大丈夫です。

──スーパーフォーミュラとF2マシンの違いは?
福住:全然違いますね。SFの方がタイヤもいいし、ただ1回でいいタイムを出さないと、2回目がないところは同じですね。F2に乗って、すぐにSFに乗り換えても、すぐに適応できる自信はあります。SFはブレーキも同じカーボンなのに踏力まったく要らなくて、どこが限界なんだろうってわからないくらいですけどね。

 コーナリングは、F2は真っすぐの状態でしっかり止めて、くいっと曲げて行く。なるべくコーナリングしないみたいなイメージですね。いかに出口でスピードを乗せるか。それがSFは、進入で頑張って、ボトムを上げる感じです。


──違うクルマでふたつの選手権を戦うというのは、ドライバーとしては成長の糧になる?それともひとつに専念できるなら、その方がいい?
福住:ひとつがいいと思います。たくさん走った方が経験値は上がると思いますけど。たとえば8月9月には4週間、SFとF2を交互にぶっ通しで乗り換えるんですね。そういう時は本当は、できれば1種類だけにしたい。今回もSFのテストを終えたばかりで、バーレーンにきたんですね。F1のフリー走行をニュータイヤで走り出した時、もしタイムが出なかった場合、僕の走りが適応できてないのか、クルマがちゃんと仕上がってないのか、なかなかわからないと思うんです。

──今季に向けては?
福住:毎年同じ決意ですけど、最良の結果を出すことですね。今年もチームメイトが速いし、まずは彼の前を走りたい。

──F2の難しさは?
福住:SFもそうですけど、クルマをちゃんと作ることですね。もちろんドライビングでカバーできる部分もありますけど、基本はやっぱりセッティング能力ですから。なので今年の課題は、もっとクルマのことを勉強して、どうやったらどうなるのかをしっかり理解する。それができないと、F2ではやっていけないと思ってますので。

──今季の目標は?
福住:まずは第1レースで勝ちたいです。結果を積み上げて、上に行く。

──それができそうな感触は?
福住:テストの感触が続けば、はい。