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「残業の上限規制、中小企業は適用外に」元厚労副大臣の主張に批判の声 「過労死が増える」「働く人への配慮がない」

2018年04月06日 18:11  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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政府は、罰則付きの残業時間規制が盛り込まれた「働き方改革関連法案」を4月6日に閣議決定した。規制の中小企業への適用開始は、当初の予定から1年延期した、2020年4月からとなった。

中小企業への適用は当初、与党内にも反対する声があった。元・厚生労働副大臣で、自民党の木村よしお参議院議員は3月末、ツイッターに「本日の人生100年時代戦略本部の働き方改革の会議では、中小企業は残業の罰則から外すよう強く発言しました」と投稿している。

「残業まみれでないと経営を維持できない企業はブラック企業」

木村氏は4月4日にも、中小企業を残業規制の対象から外すよう求めるツイートをしていた。

「中小企業に残業の罰則を大企業と同じ様に厳しく課すと、ダメージが大きい。倒産もあり得ます。仕事があっても断るしかなかったりビジネスチャンスを失ったり」
「中小企業の実状に合わせ、繁忙期は罰則規定の例外を設けるなどの配慮が必要だと思います。中小企業を倒産から守るために反対しています」

中小企業に残業規制が適用されると、仕事が受注できなくなり、倒産してしまう恐れがあると考えているようだ。

これに対してツイッターで反論していたのは、「残業ゼロのIT企業」を謳う「アクシア」の米村歩代表取締役だ。米村代表は、キャリコネニュースの取材に対して、「企業規模で差を付けるべきではない。中小企業にしわ寄せがいってしまう」と指摘した。

「大手企業は、『働き方改革』で、自社の残業削減を進めています。それができるのは、仕事を下請けに押し付けているからです。もし大手企業に罰則付きの規制が課され、中小企業は対象外となれば、ますます中小企業にしわ寄せがいくでしょう。中小企業は、取引先の大手企業からの依頼を断れないことが多いからです。過労死が増える危険があるでしょう」

木村氏は倒産回避を理由に規制適用除外を訴えていたが、米村代表はこうした考えについてもおかしいと批判する。4月4日付けのブログ記事では、「残業まみれでないと経営を維持できない企業はブラック企業です。このような会社はこれからの時代は淘汰されて社会を新陳代謝するべきです」と記している。

働く人の健康や生活は、勤務先の規模に関係なく守られるべき

木村氏のツイートには、ネットで

「中小企業の労働者に対する配慮が全くありませんね」
「中小企業に勤務している従業員の健康を軽視されている理由はなんですか」

といった批判が相次いでいた。働く人の健康や生活は、勤務先の規模に関係なく守られるべきだ、ということだろう。

経済産業省の「中小企業白書」によると、中小企業は日本の企業の99.7%を占めている。内訳は、中規模企業14.6%、小規模事業者85.1%だ。大企業はわずか0.3%にすぎない。

従業員数は、大企業で計1433万人、中小企業で計3361万人。中小企業が罰則付きの規制から外されれば、働く人の多くが上限規制の恩恵を受けられなくなるところだったといえよう。