2018年04月06日 11:02 弁護士ドットコム
不倫がバレた妻が、「セックスレスで夫婦関係は破綻していた」と開き直っている。困惑する男性が、弁護士ドットコムの法律相談に質問を寄せた。
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未成年の子どもが2人おり、妻とは同居している。妻は3年間にわたって不倫を続け、発覚すると素直に認めたという。ただ、妻は冒頭のように「(セックスレスで)夫婦関係は破綻していた」と主張。相談者は「セックスレスは約6、7年だと思います」という。
もし、相談者が離婚を望んだ場合、妻が主張する「セックスレスだから夫婦関係は破綻していた」という理屈は認められてしまうのだろうか。またその場合、離婚請求や慰謝料請求は認められないのだろうか。セックスレスは離婚請求や慰謝料請求にどのように影響するのか。長谷川洋一弁護士に聞いた。
相談者が離婚を望んだものの、妻が協議離婚を拒み、裁判となった場合には、どうしたらいいか。
「妻が拒んだ場合でも、訴訟では相談者からの離婚請求は認められるという結論になると思われます。
まず、離婚する方法としては、協議離婚と裁判離婚(調停離婚、訴訟離婚)の2つの方法があります。話し合いによって離婚が成立しない場合には、裁判離婚となります。
妻が離婚を拒んだとしても、相談者が妻の不貞行為の証拠を持っていたり、妻が不貞行為を行ったことについて訴訟で争わなかったりする場合には、訴訟で離婚が認められるでしょう。また、セックスレスであったことが理由で夫婦関係が破綻していたと判断された場合でも、夫婦関係が破綻しているとして、結局は訴訟にて離婚が認められると思います」
セックスレスであったことは、妻や不貞相手の男性に対する慰謝料請求に何らかの影響を与えるのだろうか。
「ケースバイケースとなり、難しいご質問ですね。不貞行為の時点で夫婦関係が破綻している場合には、不貞行為があったとしても、慰謝料を請求することができないと考えられているからです。
そこで、今回の相談では、セックスレスが夫婦関係の破綻事由と言えるかどうかが問題となります」
今回のケースではどうだろうか。
「世間には、セックスレスであっても円満な夫婦生活を営んでいる夫婦は数多くいますから、『セックスレス=(イコール)夫婦関係の破綻』とは言えません。
しかし、一方が性交渉を誘ったにも関わらず、他方が正当な理由なく拒絶を続けたためセックスレスとなり、その結果、夫婦仲が悪くなってしまったような場合には、夫婦関係が破綻していると判断される可能性はあるでしょう。
結論としては、妻が主張するように『セックスレスだから、夫婦関係は破綻していた』とは言えません。セックスレスに至った経緯、その後の家庭生活の状況など様々な事情を考慮して、夫婦関係が破綻していたか否かが判断されることになります。慰謝料請求は、個別具体的な事情次第といえます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
長谷川 洋一(はせがわ・よういち)弁護士
離婚、親権、財産分与・慰謝料等の金銭請求、子の引き渡し事件など離婚に関連する事件全般、男女問題に関する事件のほか、交通事故、不動産関係、労働事件、相続、破産・再生などの債務整理、管財業務、債権回収、企業法務など幅広い分野の事件を取り扱っている。
事務所名:横浜綜合法律事務所
事務所URL:http://www.breeze.gr.jp/