大手広告代理店の東急エージェンシーは4月4日、「留年採用」を開始した。対象は2019年4月に入社可能で、浪人・休学を含め何らかの理由で留年した29歳以下の男女。最終学歴、既卒、中退などは一切問わない。
これまで留年は、一般的な就活シーンではネガティブなものと捉えられてきた。しかし公式サイトには「留年は、財産だ。」というキャッチコピーのもと、「留年をした人は"やりきった人"が多いはず」という文章が掲載されている。
「まわり道してでも挑戦し、何かを夢中になってやりとげた。結果としての留年であれば、それはじぶんだけの魅力になり、武器へと変わっている可能性が高い。そんな他の人にはないオリジナリティある経験をされた方とじっくり向き合いたいと考え、東急エージェンシーでは留年採用をはじめました」
「惰性じゃなくて、『夢中になれるものがあったから留年しちゃった』ものはいいよね」
4月5日には「留年だらけの会社説明会」も実施。また、公式サイトには留年経験者によるコンテンツも掲載されている。「留年対談」では、元電通で「PARTY」設立者の中村洋基さんに、留年経験のある2人の東急エージェンシー社員が話を聞いている。
中村さんは「惰性の留年じゃなくて、『夢中になれるものがあったから留年しちゃった』ものはいいよね。目の前の面白いことをやっていたら、気づけば仕事につながっているということもある」と語る。現に自身も、留年時代の仕事が現在につながっているという。
ただ「ストレートで社会に出ていないことで逃しているチャンスは絶対にある」といい、「だからこそ留年という逆境をフックに『ここで根性見せないとヤバイぞ』と自分を追い込める人間には、むしろ留年も価値のあることかも」とコメントしている。
内定者には、入社時期を延長できる「留年パスポート」を配布
また同社は「留年パスポート」という仕組みも導入した。2019年度採用の内定者で、家族や周囲も納得しておりどうしてもやり遂げたいことがある人を対象に、入社時期を1年延長できるというもの。同社は、
「何かをやり抜きたいという想いを尊重し達成するための機会をご提供します。留学、企業、学問の追求などなしとげたいことを終えてから1年後に入社できるパスポートです」
と説明している。