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『チョコレート工場』から13年 フレディ・ハイモアに聞いた、子役から俳優を続けられた理由

2018年04月04日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2005年に公開された映画『チャーリーとチョコレート工場』やドラマ『ベイツ・モーテル』シリーズに出演してきたフレディ・ハイモアが主演を務める『グッド・ドクター 名医の条件』がWOWOWプライムにて4月5日から放送される。韓国ドラマ『グッド・ドクター』をリメイクした本作は、自閉症でサヴァン症候群の青年ショーンが膨大な医学の知識を駆使して大病院に旋風を巻き起こすヒューマンメディカルドラマだ。


 今回リアルサウンド映画部では、主人公ショーン・マーフィーを演じるフレディ・ハイモアにインタビュー。自閉症という難しい役に挑んだ本音や、子供時代から俳優を続けられた理由などを聞いた。(取材・文・写真=阿部桜子)


【「今まで殺してきた分、たくさんの命を救わなきゃ」】


ーー子役時代、あなたが活躍し続けているのが嬉しい限りです。率直に聞きますが、今まで俳優を続けてこられたのはどうしてですか?


フレディ・ハイモア(以下、ハイモア):自分でもわからないんだ(笑)。でも、とにかくこの業界は“運”が大切なんだよね。僕は大学に行って少しの間俳優業を休んでいたのだけれども、卒業してすぐに『 ベイツ・モーテル』の話がきたんだよ。それから『ベイツ・モーテル』の撮影が終わって3日後に『グッド・ドクター 名医の条件』にオファーされたんだ。「なんというタイミングなんだ」と思うくらい運の良さを持っていたんだよね。


ーー『ベイツ・モーテル』であなたが演じたノーマン・ベイツは何人もの人を殺したサイコキラーでしたが、今回は人の命を救う医者という真逆の役柄でしたね。


ハイモア:今まで殺してきた分、たくさんの命を救わなきゃいけないから、製作総指揮のデイヴィッド・ショアには本当に感謝しているよ(笑)。全く違うキャラクターを演じられることは、僕にとっても非常に刺激的だった。観ている側にとっても、いろんな役柄を担当するのは面白いことだと思う。こうして、異なる2つの複雑な役を受けられたのは、とてもラッキーだったよ。あと、長く時間が取れるテレビシリーズは、キャラクターを掘り下げて成長させるチャンスでもある。なかなか映画ではできない体験だね。


ーー本作は韓国ドラマ『グッド・ドクター』のリメイクですが、役作りのためにオリジナル版は観たのでしょうか?


ハイモア:実はちょっと観始めたんだけど、僕たちのパイロット版(第1話)がオリジナル版と共通点があって、あまり観ないほうが良いと思ってやめたんだ。観ることで引っ張られてしまうこともあるし、本作を自分たちのバージョンにしたかったから、まねはしたくなかったんだ。でもすごく素晴らしいって聞いているから、今だったら観てもいいかな(笑)。


ーー今回挑戦したショーンは、自閉症で感情表現が苦手な役柄です。役者にとって表情が制限されるキャラクターは、難しかったのでは?


ハイモア:普通と違う手段であっても、僕はショーンの表情を理解していかなければいけないんだ。視聴者は、ショーンとともに感情の旅に出ていく。それを考えれば、脚本がとてもよくできていたよ。自閉症だから“感情がない”ということではなく、ショーンがどういうところで笑うのか、どんなユーモアのセンスを持っているのか、そして恋愛という人への気持ちをいかに芽生えさせていくのか……。いろんな価値観を見直しながら、ショーンとともに歩んできたね。


ーーお気に入りのシーンはありますか?


ハイモア:第1話の最後にショーンが「どうして医者になりたいか」を語るシーンかな。彼の気持ちがよく分かるし、葛藤も感じることができる。全体を通してだったら、ショーンと アーロン・グラスマン先生(リチャード・シフ)との場面は特に好きだ。ショーンが隣人の女性と、初恋に芽生えるところもお気に入りだね。


ーーショーンを演じてみて、あなたの考え方に変化はありましたか?


ハイモア:彼からとても影響を受けているし、学べることがたくさんあった。普通の人ではできない質問をショーンはずばっと聞くことができる。また、あまり考えたことがないような非常に興味深いせりふを投げかけることもある。彼はとても楽観的で希望を持っているので、ネガティブなことが多い世の中にショーンのような人物がいるのは新鮮だと思う。とても大切なことだね。


ーー多様性重視の時代に、本作は意味のある作品になったと思います。最後に、ショーン役を通して伝えたいメッセージがあれば教えてください。


ハイモア:多様性を認めることや人を見た目で判断しないというメッセージもあるのだけれど、それと同時にアクティブに考える力を養ってほしい。世間の常識とされていたことに異議を唱えたり、改めて考え直したりすることを、この作品は奨励していると思っているよ。単に受け入れるのではなくて、より自分も学べて、世界が価値のあるものに変わっていくと考えることが大切なんだと思うな。