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King & Prince 平野紫耀、勝負の1年スタート! 『honey』『花のち晴れ』で見せる新たな一面

2018年04月04日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 5月23日のCDデビューに先駆け、King & Princeの平野紫耀が初主演を果たした映画『honey』が公開された。目黒あむの原作コミックを実写化した本作で、平野は髪を赤く染め、まわりから不良と怖れられている高校生・鬼瀬大雅を演じている。鬼瀬は眼光鋭く学内で浮いた存在だが、ひと目惚れした奈緒(平祐奈)に赤いバラの花束を手渡して告白したり手料理をふるまったり、強面なのに実はピュアで好きな子にはとことん尽くすというギャップの持ち主。


参考:『花のち晴れ』キンプリ平野紫耀は、第2の“花男ブーム”を起こせるか? 松本潤との違いから考察


 これだけでもすでに女子ウケするキャラクターだが、奈緒の親代わりである叔父の宗介(高橋優)に奈緒との交際許可を求めて直談判するシーンでは、大雅の真摯さが伝わり、さらに好感度が増す。同じく少女漫画を実写化した『ピーチガール』でもタッグを組んでいた神徳幸治監督と脚本の山岡潤平は、原作の世界観を守りながらも新たなシーンを加え、より平野に合う鬼瀬像に仕上げた。特に、“今”を懸命に生きる若者を体現した土砂降りのなかの乱闘や海沿いを全力疾走するシーンでは、平野の抜群の運動神経が活かされ、映画だからこそ表現可能な躍動感を生んでいる。


 今回、デビュー前に主演映画が公開となった平野だが、映像作品での演技経験は多くない。2014年、17歳のときにドラマ『SHARK』(日テレ系)の主演に抜擢され、バンドメンバーとぶつかり合いながら成長していくボーカリスト・倉田瑞希を演じた。ジャニーズWESTの濱田崇裕、藤井流星、神山智洋、Snow Manの岩本照、SixTONESの松村北斗らと共演した『SHARK』は、メジャーデビューという夢に向かって突き進む姿を平野自身と重ねて観たファンもいたことだろう。まだあどけなさが残る顔で、ややたどたどしい台詞まわしではあったが、自信家で毒舌、でも憎めない瑞希を若さと存在感で乗り切った。


 同年に映画『忍ジャニ参上!未来への戦い』にメインキャストとして出演し、アクロバティックに殺陣のシーンをこなしていたが、台詞量はそれほど多くなかった。2016年には舞台『ジャニーズ・フューチャー・ワールド from帝劇 to 博多』で最年少座長を務めた。ほとんどのJr.がそうであるように、平野も多くの舞台で積んできた経験を久しぶりの映像作品の出演となった『honey』で発揮した。年を重ねてぐっと引き締まった顔つきになり、表現力が増し、『SHARK』のときと比較して格段に芝居がうまくなっている。


 今月17日から放送が始まるドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)は、大ヒット作『花より男子』の10年後を描き、平野は伝説のOBである道明寺司にあこがれる高校生・神楽木晴役を演じる。年内には星森ゆきも原作の映画『ういらぶ。』の公開も決まっており、平野が今年出演する3作品はいずれも人気コミックの実写化。今さら言うまでもないが、人気コミックの実写化は賛否両論が巻き起こり、役者がいくら入念に役作りをして撮影に臨んでも「イメージがちがう」と、作品を観てもらえないことすらある。『花晴れ』にいたっては説明不要の人気ドラマの新章で先輩の松本潤から引き継ぐ作品でもあり、さらに『花男』と同役で出演する俳優も先日発表され、シリーズファンからはことさら厳しい目が向けられそうだ。イケメンのドS男子で超セレブといういかにも少女漫画的なキャラクターにリアリティを持たせられるか。平野がどう演じていくのか注目したい。


 ジャニーズ事務所ではジャニーズWEST以来4年ぶりのデビューグループとなったKing & Prince。平野は永瀬廉、高橋海人とともにMr.KINGという3人組のユニットに所属し、Jr.随一の人気を誇り、長らくデビューが有望視されてきた。そのころからCMや歌番組にも出演していたが、Jr.ファンには有名人でも一般の視聴者や観客にとっては無名の存在に等しかった。しかし、CDデビューが発表され、さらに『honey』の公開と『花晴れ』の出演が同時期に重なり、メディアへの露出が一気に加速した現在、イケメン俳優好きなどジャニオタ以外にも続々と“見つかって”きている。Jr.時代から平野を応援してきたファンはうれしさと遠くへ行ってしまう寂しさが入り混じる複雑な心境かもしれないが、とは言え仕事の幅が拡がり、目に触れる機会も増えることで新たな一面を見られるのはやはり喜ばしいだろう。


 歌とダンスにさらに磨きをかけ、天然キャラを武器にバラエティ番組でも活躍し、メンバーカラーの赤を背負ってグループを大きくしていくのと同時に、平野には役者としての成長も望まれている。主題歌も担当する連続ドラマ、初主演映画が公開したばかりなのにすでに2本目の主演映画も待機中というこれ以上ないほど贅沢なスタートを切ることからも、各方面からいかに平野に大きな期待が寄せられているのかがわかる。


 洋服の上からでもわかるほど筋肉質な身体やハスキーな声は平野の魅力を際立たせている要素ではあるが、甘い王子様的な役柄を演じるには弱みになり得る個性でもある。同世代にはルックスがよく、すでに演技力も評価されている俳優が多数いる。そのなかで大きな役を勝ち取っていくには、自分の魅せ方を知り、すべての個性を強みに変えていかなければならない。5年後、10年後、多くの映画やドラマで活躍する俳優となれているかどうか。21歳の平野紫耀にとって勝負の1年がはじまっている。(古閑万希子)


※高橋海人の「高」は「はしごだか」が正式表記
※濱田崇裕の「濱」は異体字が正式表記