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DAY6が語る、日本デビューにかける思いと音楽的ルーツ 「メロディやハーモニーは全世界共通」

2018年04月03日 18:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今世界中で話題沸騰中の5人組ボーイズバンド、DAY6がシングル『If ~ また逢えたら~』(3月14日リリース)で日本デビューを果たした。


 2015年に韓国でデビュー。1stアルバム『The Day』が米国ビルボードワールドアルバムチャートで2位を記録するなど、世界を視野に入れた活動を行っている。メンバー5人のうち4人がメインボーカルを担当。メンバー自身が作詞作曲に関わったジャンルレスな音楽性もこのバンドの魅力だ。


 リアルサウンド初登場となる今回はメンバー全員にインタビュー。バンドのコンセプト、シングル『If ~また逢えたら~』の制作、日本の音楽シーンの印象などについて語ってもらった。(森朋之)


■「全員が違うジャンルの音楽を好き」(JAE)


ーー日本デビューおめでとうございます!


SUNGJIN(Vo / Gt):ありがとうございます! これから日本でもいい音楽を届けていきたいですし、ライブもいっぱいやりたいと思っています。


ーーお、インタビュー慣れしてますね。


WONPIL(Key / Syn / Vo):彼は音楽に対する情熱がすごいんですよ(笑)。


SUNGJIN:そうです(笑)。


ーー(笑)。バンドの音楽性などについても聞きたいのですが、これまでの作品をチェックしてみると、ロック、エレクトロ、R&Bなど、ジャンルが多岐に渡っているのが印象的で。これは意図的なものですか?


JAE(Gt / Vo / Rap):特に意図しているわけではないですが、いちばん大きい理由は僕達自身が曲を作っているということでしょうね。歌詞はYOUNG Kが中心となって作っているんですが、メロディ作りには全員が関わっていて。全員が違うジャンルの音楽を好きで、それぞれに異なるテイストを持っているので、自然と多種多様な音楽が作られていくんですよね。


――なるほど。では、みなさんのルーツというと?


SUNGJIN:僕はジャンルというより、ボーカルの歌声が際立つ、エモーショナルな音楽が好きです。最近はエド・シーランをよく聴いてますね。


DOWOON(Dr):担当がドラムということもあって、もともとはジャズやインストゥルメンタルが好きだったんですが、DAY6を結成してからは幅広い音楽を聴くようになりました。ボーカル4人の歌声に魅力があるし、自然とボーカルものを聴く機会も増えて。メンバーたちからいろいろなアーティストを教えてもらっています。日本のバンドではRADWIMPSが好きです。映画『君の名は。』だったんですが、「前前前世」だけではなく、映画のサントラも素晴らしくて。『君の名は。』以前の楽曲も聴いてますね。


JAE:僕はアーティスト自身の感性が伝わってくる音楽が好きですね。いまはNothing But Thieves、ダニエル・シーザーなどが好きです。


WONPIL:バンド音楽を好きになったきっかけは、高校のときに聴いたRadioheadです。思春期は過ぎていましたが、内面的な葛藤を抱えた時期でもあって、そのときの気持ちにピッタリだったんですよね。その後はいろいろな音楽を聴きましたが、日本のバンドでは、まずONE OK ROCK。ワンオクはメンバー全員好きですね。あとは[Alexandros]、米津玄師さん、星野源さんなども聴いています。米津玄師さんの「灰色と青(+菅田将暉)」も素晴らしいですね。


YOUNG K:子供のときはいわゆる洋楽をよく聴いてました。カニエ・ウェスト、マルーン5、ジェイ・Zなどですね。その後、SUM 41、Bowling For Soupなどのポップパンクに興味を持って、さらにColdplay、ONEREPUBLICなども聴いて。いろいろですね(笑)。


ーー確かにかなり趣味がバラバラですね。バンドの活動がスタートして2年半くらい経ちますが、印象に残っていることは何ですか?


SUNGJIN:まず「まだ2年半なんだ?」と思いました(笑)。


WONPIL:もっと長く感じるよね。


YOUNG K:その前に練習生の期間が6年あったので。音源を発表して間もない頃に路上ライブをやったんですけど、そのときのことはすごく記憶に残ってます。まだテレビなどには出ていなかったのに、かなり人が集まってくれて、自分たちの曲を一緒に歌ってくれて。


SUNGJIN:いちばん大きいコンサートはソウルのオリンピックホールですね。たくさんの方に来ていただきました。


ーー約2年でそこまでいくのはすごいですね。


YOUNG K:運が良かったです。


SUNGJIN:僕たちも一生懸命がんばりましたけどね(笑)。


ーーでは、日本デビュー曲「If ~また逢えたら~」について。どんなテーマで制作した楽曲ですか?


YOUNG K:よく楽曲制作をする作曲家さんと一緒に作ったのですが、「ロックでエネルギッシュな曲にしたい」というテーマがありました。遊び心のあるアレンジを加えて、いままでにないサウンドを作りたかったんですよね。制作の途中でSUNGJINさん、WONPILにも協力してもらい、とても良い曲に仕上がったと思います。


SUNGJIN:すごくストレートで、ワイルドな感情が表現された曲になりましたね。


DOWOON:いままででいちばんビートが速いんですよ。がんばります!(笑)。


JAE:(笑)。間奏のパートのギターの演奏にもこだわっています。センシティブに表現しなくちゃいけない部分だし、楽曲全体の雰囲気を損なわないためにも、しっかりギターで聴かせたいなと。たくさん練習させてくれた曲ですね。


WONPIL:ブリッジの部分ではシンセとサンプリングの音を両方使っているんです。すごくユニークなサウンドになったし、新しい表現ができたなと思います。


ーー歌詞については?


YOUNG K:SUNGJINさんが言ったようにストレートな感情が伝わる曲なんですが、(歌詞で)そのまま表現するのはおもしろくないなと思ったんです。悲しみを真っ直ぐに描くのではなく、哀しみから抜け出そうとするときの気持ちを書いてみたいなと。この曲の主人公は別れた恋人と偶然再会しますが、「どうかそのまま通り過ぎてほしい」と思う。そうじゃないと「また戻ってほしい」と願ってしまうので……。そういうことを淡々とつづっているんです。その瞬間の切ない感情を込めたかったんですよね。


ーー「If ~また逢えたら~」はドラマ『リピート~運命を変える10か月~』(読売テレビ・日本テレビ系)の主題歌。いま話してくれた歌詞の内容は、ドラマのストーリーにも合ってますね。


YOUNG K:ドラマの主題歌の話をいただく半年ぐらい前から、もともとDAY6の曲として制作していたので。ドラマのテーマに合っていたのは不思議な感覚でした(笑)。


ーーちなみに日本のドラマはふだんから観てますか?


WONPIL:はい。最近だと星野源さんが出演していたドラマです。


ーー『逃げ恥』(『逃げるは恥だが役に立つ』)ですね。


WONPIL:そうです!


DOWOON:『ごくせん』のヤンクミちゃんも好きでした。


YOUNG K:僕はアニメをよく観ています。『Re:ゼロから始める異世界生活』とか。子供の頃はドラえもんの映画が大好きでした。もしドラえもんが友達だったら、僕の夢はカム・トゥルーですね!


■「日本はバンド文化が成熟している」(YOUNG K)


ーー(笑)。カップリング曲の「Baby, it’s okay」についても聞かせてください。「If ~また逢えたら~」とはまったく違う、R&Bテイストの曲ですね。


SUNGJIN:1曲目がエネルギッシュな曲から、違う魅力を伝えられる曲を入れたかったんですよ。


ーーこれだけ音楽性に幅があると、演奏面でもかなり広いテクニックが必要ですよね。


SUNGJIN:まさにその通りです(笑)。


YOUNG K:いつもチャレンジですね。


DOWOON:それがおもしろいんですよ! ……あれ? みんなはおもしろいと思ってないの?


SUNGJIN:(笑)。おもしろいけど難しいという感じかな。


JAE:ギターのことでいうと、ハードな曲では腕を使って強くピッキングする必要があって、ソフトな曲では手首を柔らかくして弾かなくちゃいけない。そのギャップが大きすぎて、いまだに慣れないですね(笑)。スポーツにたとえると、テニスをやってるときにいきなりバトミントンをはじめて、またテニスに戻るような感じです。


DOWOON:(笑)。1曲のなかにもいろんなジャンルが入ってますからね。


YOUNG K:「If ~また逢えたら~」もロックとポップとヒップホップが混ざっていて。ミックスです。


ーー意図的にいろいろなジャンルを混ぜているんですか?


WONPIL:少し意図しているところもあると思います。


SUNGJIN:楽曲がずっと同じ方向に進んでいくのではなくて、違う要素が入っていたほうが新鮮だし、おもしろいですからね。


ーーなるほど。日本の音楽シーンに対しては、どんな印象を持ってますか?


YOUNG K :日本の音楽シーンはすごく大きなマーケットですよね。そこに向かって一歩踏み出し、最初のシングルをリリースできるのはとても光栄です。しかも日本はバンド文化が成熟していて。そのなかで活動させてもらうことで、吸収できることもたくさんあるでしょうし、成長できるきっかけになると思います。


ーー「If ~また逢えたら~」は日本のロックファンにも人気の出そうな楽曲ですね。


YOUNG K:日本の音楽は以前から聴いていますし、自然と影響も受けていると思いますね。


ーー目標はやはり世界で活躍するバンドになることですか?


SUNGJIN:多くの人たちに共感してもらったり、癒してあげられるような音楽をやっていきたいと思っています。


YOUNG K:メロディやハーモニーは全世界共通だし、言葉や国境を越えますからね。それこそが音楽の魅力だと思います。


WONPIL:いろんな国の曲をカバーすることもありますね。


ーー今回のシングルでDAY6の音楽に初めて触れたリスナーも多いと思います。メンバーが考える、DAY6の魅力を教えてもらえますか?


YOUNG K:まずはメインボーカルが4人いることでしょうね。こういうバンドはあまりいないだろうし、特色の一つだと思います。


WONPIL:先ほどもJAEさんが言いましたけど、それぞれ好きなジャンルが違うのもDAY6の特徴ですよね。メンバー全員で曲作りに関わることでいろいろな歌詞やメロディができるし、テンポやサウンドを含めて、僕たち自身も次にどんな曲が生まれるか想像できない。それはファンのみなさんにとっても「次はどうなるだろう?」という楽しみにつながっていると思います。アコースティックな曲、ロックテイストの曲もあるし、シンセパッドを使った曲もあって、いろんなチャレンジを続けてますからね。いまはネオソウル、R&Bをバンドで表現することもやってみたいです。The Internetなども大好きなので。


ーー楽しみです。音楽性だけではなく、メンバーみなさんの性格もそれぞれ違いそうですね。


YOUNG K:ぜんぜん違います(笑)。バランス的にはちょうどいいんですけど。


DOWOON:平和に過ごしてますよ(笑)。


YOUNG K:練習生の時期を含めて、一緒に過ごした時間も長いですからね。いまはお互いのことを理解しているし、配慮もできる。ぶつかることはないですね。


WONPIL:音楽的なことで衝突したとしても、それは決して悪いことではないと思うんですよ。


SUNGJIN:うん。あと、意見が分かれた場合は、過半数以上の意見を採用するシステムがあるので問題ないです(笑)。


ーー最後にファンに向けてメッセージをもらえますか?


SUNGJIN:本格的に日本での活動が始まりますが、これからも期待を裏切ることなく、素敵な音楽を届けていきます。たくさんの愛と応援をお願いします。


JAE:子供の頃から日本のバンドの音楽を聴いてきて、多くの影響を受けてきました。今度は僕たちが、他の誰かに影響を与えるバンドになりたいですね。


WONPIL:こうやって日本で活動できるのは、ファンのみなさんのおかげだと思っています。感謝します。これからさらに音楽的な幅を広げていけると思うし、ファンのみなさんと頻繁に会えるように活動したいですね。


YOUNG K:DAY6にどんな未来が待ち構えているかはわかりませんが、いまは期待で胸がいっぱいです。ファンのみなさんにも期待していただいて大丈夫です。


DOWOON:一生懸命がんばります! 応援よろしくお願いします!


(取材・文=森朋之)