新入社員は「会社に新しい風を入れて欲しい」などと言われて採用活動されることがあるが、いざ現場で働きだしてみると「新人が生意気言うな」という話になりがちだ。
新年度を迎え、4月2日は各地で入社式が行われた。同日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)がその様子を伝えると、「プライベートを重視する新社会人の本音」がネットで話題になっていた。(文:okei)
今年の新入社員はプライベート重視「普段の生活から潤っていないと、会社やサービスにつながらない」
今年の新社会人はおよそ93万人。最近の新人は「プライベートを重視し、仕事はほどほど」が特徴だという。2017年にエン・ジャパンが行った調査では、20代が「仕事に求めること」の1位(およそ6割)は「プライベートを大切に働けること」だ。番組では、新入社員たちのこんな言葉を紹介していた。
「これからもプライベートの時間はバンド活動を続けて、仲間と音楽を楽しみたい」(東海東京フィナンシャル・ホールディングス/女性)
「会社に行くのを面倒と考える人も出てきていて、それは悪いことではなく個性」(ファミリーマート/女性)
「普段の生活から潤っていないと、会社やサービスにつながっていかない」(全日空/男性)
いずれもプライベートを重視した発言だが、過労死やブラック企業、日本の生産性の低さが話題になる中、これから働きだす若者が「仕事だけの人生」を避けたがるのはむしろ自然な流れだろう。
これらの発言は、あるツイッターユーザーが「今年度の新社会人」というコメントと字幕つきの画像を載せてツイートしたところ、9000以上リツイートされ広まった。リプライでも様々な意見が上がっている。「どんどん日本がダメになってくる」という批判もあったものの、概ね共感している人が多く、
「めっちゃ本音ぶちまけてると思うけど、考えている事は他の世代とさほど変わらない気がする。口に出して言えるか言えないかの違いだけだと思う」
といったツイートが代表的だ。
「プライベートも大事にできる環境が整ってきた、いい時代」ということ
一方で、「会社に行くのが面倒(中略)悪いことではなく個性」との発言だけはひっかかりを感じる人が多かったようだ。
「会社に行くのが面倒なのは個性じゃないだろ。基本みんな面倒なんだから」という声や、「面倒と思うのは普通だが、実際サボるのは問題」、「そんなものは個性でも何でもない」というツッコミが多数上がっている。
確かに、仕事に行くのが面倒と思っても、公言するのは如何なものかと感じるのは無理もない。だがこれは、発言を全部聞いていれば分かるのだが、恐らくリモートワークなど会社に出勤しない形での多様な働き方のことを指していると思われる。
実際には、「会社に行くのを面倒くさいなと考える人もどんどん出てきていて、それは悪いことではなく個性だと思いますし」の後に、こんな言葉を続けていた。
「今の時代、どんどん自由な働き方が進んでいっているので、とても適した世代なのかなという風に考えております」
つまり「プライベートも大事にできる環境が整ってきた、いい時代」ということだろう。実際に働きだしてみると、また違う考えが湧いてくるかもしれないが、未来を明るく捉えた若者の言葉として肯定的に見ても良いのではないだろうか。自分は滅私奉公で会社を支えてきたという自負がある上司の方々が、新人のプライベートを全力でつぶしたりしないよう祈るばかりだ。