BTCCイギリス・ツーリングカー選手権との関係性が憂慮されながらも、いよいよ単独の国内選手権としてスタートを切ったTCR UKシリーズ。その開幕戦がシルバーストンを舞台に開催され、ウエスト・コースト・レーシング(WCR)のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブするダン・ロイドが2連勝を飾り、栄誉あるシリーズ初代ウイナーとしてその名を刻んだ。
2017年シーズン前半戦はトリプルエイト・レースエンジニアリングのMG6 GTをドライブしBTCCに参戦、後半はクラフト・バンブー・ルクオイルに移籍し、TCRインターナショナル・シリーズにエントリーしたロイドは、世界的なツーリングカー選手権の再編に伴い、2018年の主戦場をTCR UKにスイッチ。
4月1日の初年度開幕戦は全13台という少々物足りないエントリー台数となるなか、予選ではそのロイドが同じくTCRインターナショナルに参戦していたWCRのゴルフGTI TCRでポールポジションを獲得。
フロントロウには、こちらもBTCCから転向のレーザー・ツールズ・レーシング、エイデン・モファットのアルファロメオ・ジュリエッタTCRが並んだ。
シリーズのこけら落としとなるレース1スタートでは、そのロイドがホールショットで1コーナーのコプスへ突入し、モファットがゴルフGTI TCRのテールをぴたりとマーク。
その背後にはエセックス&ケント・モータースポーツのルイス・ケント(ヒュンダイi30 N TCR)がつけるも、オープニングラップでオリバー・テイラーのFK2型シビック・タイプR TCRにかわされ、その後はジリジリとポジションダウン。
2周目にはWCRのもう1台、アンドレアス・バックマンがケントをかわして4番手に浮上し中段のポジション争いが激化するなか、カール・スイフト(セアト・クプラTCR)がスピンオフし車列後方までドロップ。
ダレル・ウィルソン(ボクスホール・アストラTCR)とのバトルでポジション奪還を狙ったケントは、ブルックランズの進入でヒュンダイi30のノーズをボクスホールにヒットしてしまい、ここでウィルソンのアストラTCRはコースオフ。そのままレースを終えることとなってしまう。
31周のレースはその後落ち着きをみせ、ロイド、モファット、テイラーの順でフィニッシュ。しかし、レース後にスチュワードからトラックリミット違反の裁定で数名のドライバーがタイムペナルティを受け、カール・スイフト(セアト・クプラTCR DSG)、フィンレイ・クロッカー(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)らは順位に変動がなかったものの、2位入賞のモファットにも同様の裁定が下され4位にドロップ。
しかしチーム側は「トラック制限違反に対し、すぐに警告旗が掲示されなかった」としてアピールし、その主張を認めた運営側がペナルティを取り消し。これで21歳のスコットランド出身ドライバーは表彰台を取り戻すこととなった。
そんなドタバタ劇のレース1同日午後4時過ぎから開催のレース2は、リバースポールにBTCC参戦組のマキシマム・モータースポーツ代表、スチュワート・ラインズのクプラTCRがつき、レース1勝者のロイドは9番グリッドから上位進出を狙う展開となった。
そのオープニングラップ。ロイドのゴルフGTI TCRとモファットのジュリエッタTCRは驚異的なアタックを見せ、ともに2周目突入のコントロールラインまでに3番手、4番手に浮上。
そのまま次のラップで2番手をいくLMSレーシングのオリー・カンガス(セアト・クプラTCR)をかわしたロイドは、首位を行くチームメイトのバックマンを猛追。5周目のホームストレートでスウェーデン人の僚友に並びかけたロイドは、1コーナーのコプスまでに首位浮上。そのまま31周のレースを一人旅で制し、栄えあるシリーズ初戦で2連勝を飾ってみせた。
一方、そのロイドとともに猛烈な勢いで上位進出を果たし2番手を走行したモファットだったが、レースが残り2周となった最終盤にまさかのマシントラブルでスローダウン。
これでロイドに続き、バックマンが2位でフィニッシュラインを通過し、WCRがワン・ツーを達成。最後の表彰台には、レース1と同じくテイラーのFK2型シビックが入っている。
週末、大量91ポイントを稼ぎ出したロイドがランキング2位テイラーに25ポイントのリードを築き、タイトルに向け視界良好。TCR UKの第2戦は5月13日の週末にノックヒルで開催される。