飲食・フード産業の求人サイトを運営するクックビズは4月3日、「飲食店の店舗メニュー値上げに関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は今年2月にインターネットで実施し、飲食店109店から回答を得た。
2017年にメニューの値上げを実施した飲食店は23%。エリア別に見ると首都圏が19%、中京圏が21%、近畿圏が23%とどれも20%前後だが、地方圏では32%と多くなっている。東名阪より地方圏の方が、価格改定に積極的のようだ。
なお、調査では地方圏を、北海道、岩手、宮城、山形、福島、茨城、石川、新潟、富山、山梨、島根、山口、高知、福岡、沖縄の15道県の総称として扱っている。
「いきなり!ステーキ」や「てんや」など大手チェーン店では昨年から値上げラッシュ
2017年の業績は、黒字店が75.2%で、赤字店が24.8%。値上げ実施状況別に見ると、実施店のうち92%が黒字で、8%が赤字だった。一方、価格を据え置いた飲食店では70.2%が黒字で、29.8%が赤字という結果となった。値上げ幅は7割以上の店舗で10~15%で、価格改定は8~10月頃に行ったところが多い。
2018年の値段改定の予定を聞くと、全体の43.1%が「値上げする」と回答した。2017年の実施率と比べ20.1ポイントの増加となっている。特に、前年に値上げを実施した飲食店では64%が「値上げする」と回答している。
ちなみに、昨年3月から今年1月までに値上げした大手飲食店チェーンに注目すると、「いきなり!ステーキ」はリブロースステーキやハンバーグで100円、ドリンク類で20円値上げしていた。
他にも「リンガーハット」「日高屋」「すかいらーく(ガストなど)」でドリンクやサイドメニューが10~50円、「てんや」では天丼が40円、「鳥貴族」では全品18円の値上がりが見られる。
「過去、値上げを実施した後、数か月間は来店数が減った」
値上げの理由で最も多かったのが「食材費および人件費の高騰」。特に酒類の値上げ時期について、同社は「ビールメーカーの価格改定の時期に合わせて2018年3~4月を予定している飲食店が多い」としている。
実際に値上げをした飲食店からは、「値上げすることによって高単価の客層へと推移した」(日本料理/東京)と、経営にプラスに働いたという声もあがっているが、
「値上げをする理由に納得感がないとお客様は厳しい。過去に値上げを実施した直後数か月間は来店数が減った経験があるので慎重にならざるをえない」(洋食/東京)
という懸念もある。また「一気に上げず、年2回に分けて実施したい。そうすることで理解を得られると考えている」(ホテル・レストラン/石川)という人もいる。