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Sexy Zone 佐藤勝利のメモリアルな作品に? 『Missデビル』“新入社員”役がハマる理由

2018年04月03日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 Sexy Zoneの佐藤勝利が、2018年4月期の新土曜ドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)に登場する。土曜ドラマといえば、過去にジャニーズの先輩たちによって多くの名作が生み出されてきたドラマ枠。


参考:松本潤&佐藤勝利、『99.9』第6話でついに共演! Sexy Zoneが“ポスト嵐”の可能性見せる


 ジャニー喜多川からも「Youは特別カッコいい」「永遠の0番(センター)」と、その容姿と将来性に期待をかけられている佐藤だけに、その活躍に注目が集まる。だが、彼が今回演じるのは完全無欠なヒーローでも、学園のアイドルでもない。菜々緒演じる型破りな人事コンサルタント・眞子に翻弄される新入社員役。非情かつ大胆なやり口でオフィスの問題を解決していく痛快オフィスドラマで、佐藤が見せる新しい顔が実に楽しみだ。


 この数年、佐藤は演技に関して飛躍的な成長を見せてきた。そのターニングポイントとなったのは、2013年に放送された野島伸司脚本の深夜ドラマ『49』(日本テレビ系)だったように思う。初主演にして、息子とその身体に魂が乗り移った父親という2役を演じた。男子高校生の見た目に、家族を残して逝く大人の男性の哀しみの表情がちらつく。自分ではどうしようもない運命に打ちひしがれるさまは、佐藤自身が芸能界で急激に大人の階段を上っていったからこそ表現できたのではないだろうか。


 佐藤は2010年にジャニーズ事務所に入り、翌年にはSexy Zoneでデビューすることが発表され、センターに抜擢された。そこには想像もしていなかったスピードでことが進んでいく戸惑いや、大きなプロジェクトの中心にいる重圧があったことだろう。そんな荒波に揉まれた数年間で、心の成長がそのまま演技力へとつながっていったのではないか。ドラマや舞台で描かれる多くが、理不尽な運命に翻弄される人々なのだから。


 2016年、舞台『JOHNNY’S ALL STARS ISLAND』で、佐藤は最愛の父親が亡くなったことをセリフに取り入れ、ドキュメント作品にしたことでも話題を呼んだ。「勝利って名前をつけてくれた父さんのためにも、負けるわけにはいかねーんだよ。俺の父さん、死んじゃった……本当に死んじゃったんだよ……」絶叫するように発したセリフは、演技と本音の境目がほとんどない。人生の根底にある逃れられない哀しみや憂いを、佐藤は演技という形で昇華しているように見えた。


 昨シーズン、嵐の松本潤主演『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)に、尾崎舞子(木村文乃)の弟・雄太として出演した際も、姉のキャリアを守ろうとした結果、冤罪に巻き込まれるという不遇の青年を見事に演じきった。実際に姉と兄を持ち、家族との絆が強い佐藤だけに「俺のこと信じてなかったってことだろ。俺はそれが一番つらかったんだよ!」と涙を浮かべて訴えるシーンは、真に迫るものがあった。佐藤の演技は、自身の経験や感覚とリンクして、強烈な化学反応を起こすのだ。彼が経験を積み重ねるほどに、その演技の幅は広がりを見せていくに違いない。


 佐藤がいわゆるビジネスパーソンを演じるのは、『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』が初めて。佐藤は現在21歳。同世代の大学生は就職活動に挑む時期だ。彼がパーソナリティを務めるラジオ『VICTORY ROADS』(bayfm)では、「自分の気持ちって思った以上に伝わらないから。文言だけでいうよりも、感情で言わないと面接官に響かないと思うんだ」と語るシーンも。それは、佐藤自身が人に何かを伝える、つまり演技をするときの心構えに近いのかもしれない。着慣れないスーツ、ぎこちない名刺交換……新入社員らしいフレッシュ感は、今のタイミングならでは。そんな初々しい演技が見られる本作は、佐藤の俳優人生にとってメモリアルな作品となるかもしれない。(佐藤結衣)