今年の開幕戦は、長年F1界で慣例化されていたグリッドガールが廃止され、グリッドキッズが登場した最初のグランプリでもあった。
FIAによれば、子供たちの起用は単にグリッドガールとの変更だけにとどまらず、F1界として未来のスターを作り出そうというもので、その新たな取り組みとして、オーストラリアGPから『F1フューチャースタープログラム』が発足。オーストラリアモータースポーツ連盟が選出した7歳から10歳の20人の子供たちが、20台のマシンの前に立った。
グリッドガールたちがドライバーの名前が書かれたプラカードを持っていたのに対して、彼らは『ただ立つ』というシンプルなスタイル。それでも、混乱はほとんどなく、グリッドガールからグリッドキッズへの変更は自体はスムーズに移行されたように見える。
だが、それ以外の部分では、今後再考しなければならないシーンが見受けられた。それはグリッドの混雑だ。じつはレース前のグリッドには20人のグリッドキッズ以外の子供たちもいたからだ。彼らは国歌斉唱するドライバーの前に整列。さらにドライバーの後ろには国旗を持った子供たちも並んでいた。
フォーメーションラップのスタート15分前から始まる国歌斉唱に参列するため、午後3時50分を前に続々とドライバーがスタートラインに集まり出すと、スタートライン周辺は大混雑。結果、遅刻するドライバーが相次いだ。
正確な数は発表されていないが、60人程度の子供たちがいたと考えられ、さらに子供たちの保護者、さらに子供たちに指示を送るスタッフたちも含めると普段よりかなり多くの人々がグリッド上にいたはず。そして、それが結果、ドライバーの遅刻を誘発させた可能性は十分ある。
そのためか、今回はFIAは遅刻に関して、不問に付した。その判断は常識的に考えて妥当だと思うが、バーレーンGP以降は、少し見直した方がいいだろう。
もちろん、グリッドキッズそのものを廃止する理由はない。スタートラインに整列する子供たちは正直、招待しなくてもいいのではないか。ドライバーが国歌斉唱のためにスタートラインへ向かうときに、自らのグリッドキッズと手を繋いで一緒に歩いていくというのはどうだろう。
そうすれば、グリッド上の子供たちの数が減るだけでなく、未来のスターにとっても素晴らしい思い出になると思うのだが。