数年前から、「クラウドワークス」をはじめとした仲介サイトによって、誰でも簡単に自分の特技を誰かに売れるようになった。この影響で、個人で副業を始めるハードルは非常に低くなっている。
働き方改革の後押しもあり、企業が副業を容認する動きも相次いでいる。3月29日、新生銀行が大手銀行で初めて4月から兼業と副業を解禁すると発表した。昨年はコニカミノルタやDeNA、ソフトバンクが副業解禁を発表。いずれも「人材育成のため」と打ち出しているが、では、個人にとって副業は、どんな意味を持つのだろうか。(文:okei)
「自分が主体になってクライアントとやり取りして、報酬を頂くという感覚はすごく新鮮」
3月29日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でも、副業の話題を取り上げた。紹介されたデザイナーのYさんは、3年前まで家具メーカーで働くサラリーマンだった。特技を売り買いするスキルシェアサービスの「ココナラ」でロゴデザインの実績を積み、今では企業のロゴデザインを10万円で請け負うという。デザイン会社に依頼することを思えば随分安い価格だろうが、自分で決めた価格設定に不満はない様子だ。
Yさんは、「自分のスキルがお金になったときどう感じたか」という質問にこう答えている。
「お金になったというより、自分が主体になってクライアントとやり取りして、それに対して報酬を頂くという感覚はすごく新鮮でした」
「自分の特技を売れる」ことは、会社で与えられた仕事をこなすより主体的に仕事ができる。楽しさや仕事に対する意気込みは随分違ってくるだろう。それなりに稼ぐには自分でスキルアップするなど相当な努力が必要だが、上手くいけば「単なる勤め人」よりも数倍楽しいはずだ。
副業するかどうかは別としても、いつでも波に乗れるよう準備しておくべき
ココナラは1回500円からという気軽さで発展してきたが、最近は品質が向上して価格も高額なものが多くなってきたという。例えば、MBA取得者がつくる「勝てるプレゼン資料」は5万円、フリーアナウンサーが2000円からナレーションを読むケースもある。ココナラの南章行社長は、「品質が前より全体的に上がってきた」として、
「個人が自分の名前で働くこと自体が、社会的に止まらない流れだと思っています」
と語る。もう会社に依存するだけの時代ではない、と言われているようだ。
そんな活発化するスキルシェア市場に、フリマアプリで圧倒的な会員数を誇る「メルカリ」も参入する。自分が身に付けたスキルを他人にレッスンするというコンセプトの「ティーチャ」を、今年4月~5月に開始予定だ。
こうした動きからは、改めて「ひとつの会社に一生一途に勤める時代は終わった」と認識させられるが、個人が持てる特技や才能をより活かせる時代になったともいえる。副業するかどうかに関わらず、この波にいつでも乗れるよう自己研鑽しておく必要があるのかもしれない。