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門脇麦、演技の魅力は“共感力”にあり! 『愛の渦』から『トドメの接吻』まで代表作を分析

2018年04月02日 10:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 4月1日放送の『情熱大陸』(TBS系)に女優・門脇麦が出演する。2017年に6本の映画に出演すると、2018年も『サニー/32』、『ここは退屈迎えに来て』、『止められるか、俺たちを』と出演作が目白押し。1月クール放送ドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)のサイコこと佐藤宰子役でも強烈なインパクトを視聴者に残した。彼女の女優としての魅力はいったいどこにあるのか。ベテランライターの麦倉正樹氏は、同じ“麦ちゃん”の愛称を持つ者として、次のように語る。


「『トドメの接吻』のサイコは本当によかったと思います。序盤こそ、主人公・堂島旺太郎(山崎賢人)がターゲットとする並樹美尊を演じる新木優子さんがヒロインかと思いましたが、結果的に本作のヒロインは紛れもなく門脇さんでした。本作についてのインタビューでも語っていましたが、若手オールスターとも言えるキャスト陣の中で、菅田将暉さんと最年長組として自分たちが作品を引っ張っていく意識があったのも大きかったのでは。不気味な存在であったはずが、どんどんサイコが可愛く見えてくる。これまで“映画女優”としての側面が目立っていましたが、サイコ役を通して“ポップ”な作品にも対応できる印象を多くの方に与えたのでは。演技の幅を広げたのは間違いないです」


 世間にその名を知らしめした『愛の渦』の演技を観て以降、門脇の女優としての覚悟に魅了され続けていると麦倉氏は告白する。


「『愛の渦』の演技が象徴的ですが、彼女からは女優としての並々ならぬ“覚悟”が感じられます。バレリーナの夢を追いかけながらも怪我で挫折、そこから女優を志したそうですが、生まれもってのセンスを活かすというよりも、自分の目標に向かって努力をし続ける方なのでしょう。映画を勉強するためにレンタルビデオ屋に行って、“あ行”から1本ずつすべて観ていったというエピソードには度肝を抜かれました」


 続けて、門脇の演技の魅力はその“共感力”にあると麦倉氏は分析する。


「『愛の渦』『二重生活』『トドメの接吻』など、設定や人物造形が“あり得ない”ものであっても、門脇さんの演技を通すと視聴者が『本当にあるかも』と思ってしまう“共感力”がある。あり得ないキャラクターを演じていても、なぜか門脇さんが演じると親近感があるんです。だから、身近な人だと思っていたキャラクターが、徐々に劇中で変貌していくさまに思わず釘付けになってしまう。『闇金ウシジマくん Part2』や『太陽』もそうでした。主役ではなくとも、物語の中に存在するだけで、そのフィクションを説得力あるものにさせてしまう、非常に稀有な存在だと思います。昨年公開の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では歌声を披露していましたが、その声にも思わず引き込まれてしまうものがあります。唯一無二の共感力と声の良さで、これからもさまざま役に起用され続けるのではないでしょうか」


 2019年には岡崎京子原作・二宮健監督作『チワワちゃん』で主演を務めることが先日発表された。公開待機作の『ここは退屈迎えに来て』、『止められるか、俺たちを』に加えて、また新たな門脇の一面が垣間見えることになりそうだ。(石井達也)