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清々しいにも程がある! 永野芽郁×星野源『半分、青い。』オープニング、朝ドラに革命起こす

2018年04月02日 08:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 電気が走るような衝撃を覚えた。4月2日から始まったNHK連続テレビ小説第98作目『半分、青い。』。永野芽郁演じるヒロイン・楡野鈴愛(にれのすずめ)が高度経済成長の終わりから現代までを七転八倒で駆け巡る本作だが、くろやなぎてっぺい氏が手掛けたオープニングもといタイトルバックはそれだけで作品として完成されている。


参考:永野芽郁&佐藤健ツーショット【写真】


 主人公を幼少期からではなく胎児から描く異例の朝ドラとして放送前から注目を集めているが、その設定のみならず本作のタイトルバックは良い意味で朝ドラっぽくない。朝ドラのタイトルバックといえば『わろてんか』『べっぴんさん』『とと姉ちゃん』などを思い返しても、イラストと主人公の融合がこれまで多かった。スローテンポな楽曲が起用され、寝起きを邪魔しない優しい演出でドラマの幕を開けていく。


 もちろん、『ひよっこ』では主人公・有村架純なしで田中達也氏によるミニチュア、『あまちゃん』では主題歌を使わず岩手県の町並みを中心とした映像など、これまで“あるある”から逸れたタイトルバックはあったが、優しさという意味での“朝ドラらしさ”というのは少なからずあったように思う。しかし『半分、青い。』からは、カーテンをシャッと開けるようなインパクトと民放ドラマの雰囲気すら覚える。


 星野源による楽曲「アイデア」をバックにテーマカラーの青を基調とした映像が、永野のパッと明るい笑顔とともに繰り広げられるタイトルバック。一度『真田丸』(NHK)で父娘役として星野と共演したことのある永野は、第1週完成披露試写会で「なんとなく『半分、青い』、源さんだったらいいなと言っていたので、そんなことあるんだと思って……」と喜びを語っていたが、映像としての永野と音としての星野の2人の相性は抜群。歌い出しのドラムのハイハットと星野のやわらかい歌声は、ふんわりしながらもパッと明るい永野の笑顔と似ており、眠い目をこすり、朝にくすぶっている視聴者の手を取り、太陽の元へ引っ張っていくようだ。


 また作中での天真爛漫な鈴愛のキャラクターを全面的に押し出した点も斬新。女優が微笑むだけだったこれまでと違い、トースト、目玉焼き、窓ガラス、食器棚、テーブルなど日常生活のありふれたものに、鈴愛がサランラップとペンで魔法をかけていくという非常に動きのある映像に仕上がっている。イラストと主人公のコラボレーションという点で朝ドラの精神を受け継ぎながらも、2016年に発売されキャラ弁づくりの救世主として人気を博してきた「サランラップに書けるペン」を取り入れる“アイデア”にも驚愕した。今まで食べ物にしか主に使用されてこなかった同ペンを風景写真に用いる手法は、まだまだSNS映え重視が続きそうなこの先の流行になっていく予感さえする。


 こんなに何度も繰り返し見たくなるようなタイトルバックも珍しい。異例だらけのチャレンジ精神に溢れた『半分、青い。』は、新たな1日の始まり方を提供し、もうすぐ100作目を迎える朝ドラ史の中でも記憶に残り続ける作品になっていくのではないだろうか。(阿部桜子)