トップへ

立花理香、バースデーイベントで示した“タレント”“アーティスト”としての強い二面性

2018年04月01日 10:32  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 立花理香が3月11日に行った『立花理香 Birthday event 2018 ~Flora~』は、立花理香という声優の“タレント性”と“アーティスト性”の両面を味わうことのできるイベントだった。


「私は一般家庭で育って、特に面白い人生を歩んできたわけではないので、『立花理香として何を歌いたい?』と言われても、『何なんでしょうね……?』という感じだったんですよ」(参考:立花理香が語る、“6つの強い表現”を手に入れるまで


 先日公開したインタビューでは、アーティストデビューにあたって自分に自信がなかったこと、デビュー作『Flora』の制作を経て、6つの強い表現を手に入れたことを明かしてくれた彼女。この日の公演は、それらの表現を見せつけるにうってつけの場所だった。


 ライブの冒頭は、トロピカルハウス→ドラムンベース→ダブステップと凶暴なSEを経て、アルバムのオープニングナンバー「REALISTIC」からスタート。MVでも見せていた妖艶なダンスと歌声で、力強い一面を打ち出してみせた。


 かと思いきや、そこから早くもトークコーナーへ。ステージでは、以前に共演経験もあり、同じ“ハロヲタ”でもあるフリーアナウンサー・五戸美樹をMCに迎え、「前日はアルコールを絶ったので終わったら浴びるほど飲みたい」や「衣装はお腹が出ているので、最近は食べる量を抑えるためにバナナばかり食べてて……ゴリラかな?」といった、どこか中年感のある立ち振る舞いへと変わる。これぞ、“様子のおかしい関西人”とも評される立花の本領発揮である。


 そこからは観客との円滑すぎるコミュケーションを図りつつ、ゲームコーナーや交友のあるタレント・作家・声優からのメッセージが読み上げられる。一旦話し始めるとお茶目な立花だが、この日寄せられたメッセージの大半に書かれていたのは彼女がいかに「真面目で芯の強い人間」かということ。スタッフとの意見交換や、ゲストで出た番組を綺麗に回すなど、言いたいことはハッキリと言いながら結果を残す、立花のストイックさが現れたエピソードのように思えた。


 そのストイックさ、芯の強さはもちろんパフォーマンスにも表れる。2曲目の「Flaming Rose」では、力強さとはまた違った、しなやなか強さを表現してみせる。この日初披露となった振付も、キレを重視するというよりは腕の動きやくねらせ方など、艶かしさも感じるパフォーマンスだった。


 ここまでアルバムの曲順通りに進んできたため、次は「赤いアネモネ」かと思いきや、フューチャーベースのポップナンバー「marguerite」へ。一気にフロアは沸き、観客も踊り狂うなか、キュートな声で手を振りながら歌い、雰囲気もぱあっと明るくなる。続く「gradation」では、オリエンタルなストリングスサウンドとメロウなトラックに合わせ、切ない歌を届けてくれた。


 中盤では、観客からリクエストを募ったカバー曲を披露。開演前のSEも候補曲だったそうで、すでに流れていた大塚愛「ロケットスニーカー」のカバーも聴いてみたかったと思いながら、歌われたのはHysteric Blue「春~spring~」。名曲中の名曲を、まるで自分の曲かのように歌いこなしたあとは、インタビューで「そういう雰囲気の楽曲を歌えるのは、おこがましいですけど私だからこそ」と誇らしげに話してくれた「赤いアネモネ」へ。確かに、立花のビジュアルが持つ“妖しさ”や“強さ”を、存分に引き出しているように感じる1曲だ。


 最後は、衣装替えを挟んでバースデーケーキのプレゼントと井澤詩織のサプライズ登場を挟み、彼女の好きな80年代歌謡の要素も盛り込まれた「Say Goodbye」を披露。アンコールではもう一度「REALISTIC」をパフォーマンスしたが、冒頭は少し緊張があったのかと感じるくらい、2度目の歌唱は表現力がぐんと増していた。


 今回の公演は持ち曲の少なさやバースデーイベントという性質も影響し、トークとライブの割合が半々くらいだったが、それが功を奏し、冒頭に記した“タレント性”と“アーティスト性”の両面を程よく味わえる時間になっていた。ただ、欲を言えば、楽曲が増えた際には「立花理香のアーティスト性だけを打ち出すライブ」も見てみたい、と思ったりもした。(中村拓海)


■セットリスト
1.REALISTIC
2.Flaming Rose
3.marguerite
4.gradation
5.春~spring~
6.赤いアネモネ
7.Say Goodbye
En1.REALISTIC