トップへ

V6 井ノ原快彦、『あさイチ』での8年間を振り返る「厳しいご意見のおかげで、3人の絆が深まった」

2018年03月30日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

「みんな大好き! ありがとう! 4月からもシクヨロ!」


 有働由美子アナウンサー、井ノ原快彦(V6)、柳澤秀夫解説委員がキャスターを務める情報番組『あさイチ』(NHK総合)。3月30日放送回では、彼ら3人の“卒業生”が、“新入生”である新しいキャスターたちの門出を祝い、笑顔で背中を押す姿が印象的であった。


(関連:V6 井ノ原快彦、なぜ『あさイチ』視聴者から愛される? 想像力を活かした誠実なMCぶり


 約8年間、私たちの朝に元気と勇気を与えてくれた有働アナ、イノッチ(井ノ原快彦)、ヤナギー(柳澤秀夫)の3人。シビアな話題にも臆せず向き合い、視聴者の目線に立ってわかりやすく解説。さらに、納得いかないことや疑問点が生まれると「わからない」「おかしい」とハッキリ口にし、視聴者の気持ちを代弁してくれた。問題に対して逃げずに真っ正面からぶつかってきた有働アナ、イノッチ、ヤナギー。様々な人の立場に立って真剣に“想い”を発信してきた。だがその傍で、“朝ドラ受け”やマスコットキャラクターのぶーちゃん・あんまんちゃんとの戯れなど、思わずクスッと笑ってしまうような“ユルさ”も忘れない。真剣なところは真剣に、外すところは外す。そのメリハリが心地よく、毎朝通勤通学する私たちの背中を押してくれる。


 そんな彼らが本日3月30日に『あさイチ』を卒業した。「引き継ぎの極意」をテーマに話題を展開したこの日、ゲストに迎えたのは、来週4月2日から同番組のキャスターを引き継ぐ博多華丸・大吉、近江友里恵アナウンサー。そしてスタジオには、副島淳(「スゴ技Q」「ぽちポチまつり」プレゼンター)、篠山輝信(「ピカピカ☆日本」などリポーター)らはじめ、かつてレギュラーだったメンバーも含めた“『あさイチ』オールスターズ”が集結し、カメラの向こう側から最後の収録を見守った。


 いつも通り3人の「おはようございます」という挨拶から始まるも、なぜか声を発さない有働アナ。そんな有働アナに向かって「ちょっと酒焼けしてる感じ?」とヤナギーが切り込むと、イノッチが「これでもね、頑張って、5日間お酒抜いてるんですよね」とすかさずフォローを入れる。しかし次の瞬間、イノッチはヤナギーとともに「昨日ちょっと(お酒)引っ掛けちゃったから」と有働アナの声がかすれている理由を暴露。それに対し、有働アナは「あなたたちのせいよ!」とツッコミを入れ、3人で笑い合う。スタジオが和やかな雰囲気に包まれる中、彼らの最終回が始まった。


 イノッチが「今日は引き継ぎがテーマなんですけど、仕事とか家庭内の引き継ぎって何かありましたか?」と尋ねると、大吉は「家庭とか仕事はあんまり……。だって、番組をこうやって引き継ぐっていうケースもあんまないですよね?」とコメント。続いて「本当にすみません」と前置きし、「なんでこの、最後の最後で声出ないんですか? 有働さん」と有働アナを早速いじり出す。


 そんな中、番組の前半でやるべきことがすべて終わってしまい、後半はフリートークを展開。イノッチが「どうですか? 8年間続いた番組なんですけども。よく(キャスターの引き継ぎを)OKしてくださったなって、お三方。俺だったら嫌だなと思って」と口にすると、華丸は「わかりますよ」と呟き、大吉を指差して「するって言うから~!」と冗談交じりに嘆いた。すると大吉は、相当のプレッシャーを感じているようで、「井ノ原さんが思ってる5倍くらい嫌です」と赤裸々に告白。その気持ちを汲み取ったイノッチが、「まずお三方のことが大好きだったから、“え、やるんだったら俺もやりてぇよ~”って思っちゃったくらい、一緒に番組やりたくなっちゃった」と言うと、大吉は食い気味に「じゃあ、やりましょう?」と身を乗り出す。イノッチは笑いながら「やんない、やんない」と否定しつつも、「僕らも大好きな番組なので、このお三方に引き継いでもらえるって聞いた時、嬉しかったですね」と『あさイチ』への愛と引き継いでもらえる喜びを語った。


 またアナウンサーは一つの番組を何年もやり続けることがないため、有働アナは毎年「たぶん私、今年でサヨウナラします」と予想し、イノッチに伝えていたという。そのたびに「そうなんですか? でも、一緒にやりましょうよ」と言い続けて来たイノッチ。だが、一昨年ぐらいに「たぶん私来年で……。今度は本当だと思います。どうします? みなさん続けてくださいね」と有働アナから告げられ、イノッチは「じゃあ、僕やめます」と迷わず答えたのだとか。そして、ヤナギーもまた「俺もやめるよ!」って気持ちいいほどハッキリと言い切ったという。ヤナギーは「降りるときは三人一緒っていうのはね、始まったときからそういう気持ちだったからね」と8年前から抱いていた想いを語った。


 また番組が始まった当初は、「セットがNHKらしくない」や、どんなテーマを扱っても「そのネタはやらないで」などと言われ、世間からバッシングを受けて来た過去を明かす。だがイノッチは、「そういう厳しいご意見、本当ありがたいなと思った」と言い、「そのおかげで、3人の絆が深まったので、それでここまで来れた」とネガティブな意見も自分たちの糧になったことを振り返る。


 さらにイノッチは、8年間も同じメンバーでやって来た番組で、メインの3人が変わることに対して、視聴者が気持ちを切り替えるのは難しいのではないかと推測。さらにこの時期は、オリンピック、パラリンピックに続いて、朝ドラも終わってしまい、何かと〇〇ロスを抱えやすい気がすると口にした。そしてイノッチは、誰かが「有働アナ、イノッチ、ヤナギーロス」と口にするとみんながこぞって言い始めることを危惧し、「視聴者のみなさん、一緒に頑張りましょうよ」と呼びかける。


 続けて「ここでちょっとチャレンジしてみようよ。ロス……」と言いかけると、横からヤナギーが「そうだよ。ロスじゃなくてニューヨークって言ってみるんだよ、たまには」といつものダジャレを放り込んだ。コメントを遮られたイノッチは、バンッと勢いよく机を叩き、「いい加減にしろー! 最後の最後だから言わせてもらうぞー!」と笑いながら声を荒げたかと思ったら、画面に向かって指をさし「子供たちも一緒にチャレンジしてみよう! ロスじゃなくて、ニューヨークだ!」とおちゃらけ、「柳澤さん、俺は大好きだよー!」と声を弾ませる。そして番組の最後にコメントを求められたイノッチは、「みんな大好き! ありがとう! 4月からもシクヨロ!」と笑顔でゆるく締めくくった。


 番組放送中に届いたファックスの数は、2,800通以上。このファックスの数からも有働アナ、イノッチ、ヤナギーの3人がどれだけ視聴者に愛されていたのかがうかがえる。この日、多くの人たちに見守られながら、彼らはキャスターを卒業した。そして後継者となる華丸、大吉、近江アナウンサーにしっかりとバトンを受け渡し、『あさイチ』を引き継いだ。来週4月2日からは新しい『あさイチ』が始まる。私たち視聴者も気持ちを新たに、彼ら3人が大好きな人たちに引き継いだ『あさイチ』を楽しみたい。(文=朝陽空)