F1開幕戦オーストラリアGP、F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。
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☆ シャルル・ルクレール
ルーキーは率直に「難しいコース」と認め、金曜FP1から予選までマーカス・エリクソンに先行された。ラインなどを学習していたからだ。そしてレース、32周目に“2年生”ランス・ストロールを抜き、ラスト10周を安定したペースで13位ゴール。この結果は昨年のストフェル・バンドーンと同じ、新人の『健闘賞』。
☆ バルテリ・ボッタス
痛恨の予選クラッシュ、結局15番手スタートとなったのは昨年のダニエル・リカルドと全く同じ。開幕からいきなりメンタル力を問われる闘いに向かい3人をパス、ヒート気味のPUをいたわり8位。攻めと守りを使い分けミスを償う。
☆☆ セルジオ・ペレス
ここでのチーム連続入賞がストップ。期待したアップデート効果は小さく、最高速重視セッティングで臨むほかなかった。惜しまれるのは、彼には(セバスチャン・ベッテルのように)ロングスティントを託しエステバン・オコンと異なる『2段戦略』を用いたらどうだったか……。
☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ
ルノーPU勢はストレートで伸びを欠き、それを補うセットアップが強いられた。苦戦必至、それでも7位を得てカルロス・サインツJr.ともどもダブル入賞。ワークスとして3年目、初めてのことだ。
☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
終盤、マックス・フェルスタッペンがラインを変えながら攻めてくるのに対応、PUモードを駆使して57周目に自己ベスト。諦めさせる駆け引きこそ勝負強さ。まだMCL33のポテンシャルは発展途上、5位発進に株主たちはほっとしたことだろう。
☆☆☆ ロマン・グロージャン
合同テストからのペースをキープ、VF-18のスイートスポットを把握、編隊走行を見せた。あのピットアウト後、前輪異常をすぐに察知し2コーナー出口で止めた判断は悪くない。『サドン・デス(急死状態)』に落ち込むスタッフを慰労したエース、小さなチームだからこそ結束しなければと……。
☆☆☆ケビン・マグヌッセン
予選ではブレーキングポイントを攻め、昨年のルイス・ハミルトンPPタイムを1000分の1秒上回った。6位スタートから外側に抜け出るように4番手奪取は見事、開幕戦・序盤のヒーローは彼だ。
☆☆☆☆ ダニエル・リカルド
“アタック・モード”で54周目に最速ラップ、これはRB14現有戦力を確認する意味があった。8位グリッドから4位フィニッシュ、レースペースではフェラーリと同等、セクター3ではメルセデスに匹敵。“1強時代”は崩れかけ、三つ巴時代を実感させる最速ラップだった。
☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
ありえないことだがもしリーダーがベッテルではなく、かつてのニコ・ロズベルグであったなら彼は遮二無二ピットアウト後、追い詰めて行ったのではないか。チーム無線など聞かずに、ギャップを11秒以下に削ろうとしたに違いない。それにしても5年連続PPは圧巻、セクター1の早道を知り尽くしている。
☆☆☆☆ キミ・ライコネン
ウルトラソフトの作動温度域は90~110度、このスペックにキミは好感触を持っているようだ。立ち上がり発熱性に苦しむ傾向がない。それは合同テスト時点から見てとれた。予選2位を獲得、決勝スタート直後はハミルトンより明らかにグリップがまさり、攻撃ラインをとっていた。今後も状況でいけるなら、対メルセデスのチーム戦はさらに緊迫するだろう。
☆☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
初日段階ではリヤのスタビリティを欠き、何度か高速コーナー出口で不安定な挙動があった。それを改善した土曜、予選アタック中の13コーナーでのミス(ブレーキング)が惜しまれる。ハミルトンとは0.674秒の大差になったものの、自分自身のタイムロスを差し引けばそこまでではない。闘志満々、26周目までのタイヤマネージメントが運を呼び込んだのは確か。そしてバーチャルセーフティカー状態で勝機をつかんだストラテジスト・グループもいい仕事を実行、逆転勝利に今年のフェラーリの緻密さを見た――。