キミ・ライコネンは、2018年F1オーストラリアGPで、フェラーリの戦略によって自分がセバスチャン・ベッテルの後方に下がったことに怒りを示したという説を否定した。
ライコネンは決勝序盤、ルイス・ハミルトンに続く2位を走り、それをベッテルが追っていた。この3人のなかでピットストップをライコネンが最初に行い、これをカバーするためにハミルトンが次の周にピットに入った。これで首位に繰り上がったベッテルは、タイヤ交換を遅らせた。すると、ロマン・グロージャンがコース上にマシンを止めるというアクシデントが発生、バーチャル・セーフティカーが導入され、ベッテルはこれを利用してピットストップを行うことができ、これにより首位のままコースに復帰し、勝利を飾った。
ベッテルがピットインする前に、無線でライコネンとレースエンジニアであるカルロ・サンティとの間で緊迫した会話がかわされていた。ライコネンにはベッテルの戦略が知らされておらず、自分がポジションを落とすことに腹を立てているようだった。
サンティが、ライコネンにペースを上げるよう指示した際に、ライコネンが「彼はまだピットに入っていないのか?」と尋ね、サンティは「まだだ」と答えた。
「さっきは急いでいないと言ったじゃないか。台無しにするなよ!」とライコネン。サンティは「大丈夫だ」と言ったが、結局ライコネンはベッテル、ハミルトンに続く3位でフィニッシュする結果になった。
しかしライコネンはレース後、チームがベッテルを優先したとは考えていないと語った。
「チームが彼が何をしているのかを教えてくれなかったから、驚いただけだ」
「レース前に(戦略については)話をしていた。山ほど選択肢があり、あれが彼にとって最良の選択肢だった」
「彼は誰かに抜かれる心配はなかったから、ポイントを失うリスクがなかった。3位は保証されていたため、チャンスをつかみにいくことができた。それがうまくいったんだ」
「あの戦略に驚いてはいない。あの時、知らされていなかったから驚いただけだ」
「セーフティカーは純粋に運だ。僕らにはあまり運がなかった。セブは幸い、運に恵まれた。チーム全体としては運がよかった」
「もちろん、いつだって優勝が目標だ。(3位は)僕にとって理想的な結果ではない。でもシーズンは長い。まずまずのスタートを切ることができたと思う」
「ノーポイントよりは3位の方がいいからね。この結果を受け入れて、先に進むよ」
しかし、ライコネンを早めにピットインさせたのは、それによってハミルトンも動かざるを得なくなり、ベッテルにチャンスが訪れるのを期待した、フェラーリの戦略であるとの説もあり、ニコ・ロズベルグは、フェラーリは完全にライコネンをナンバー2として扱っていると発言した。
「気の毒なキミ。彼はセバスチャンを助けるために利用されている」とロズベルグはSpeed Weekに対して語った。
「でもいずれにしてもキミに勝つチャンスはなかった。だからフェラーリがああいうやり方をしなければならなかったというのは理解できるよ」