2018年シーズンからWorldRX世界ラリークロス選手権に投入されるプロドライブ製の『ルノー・メガーヌR.S. RXスーパーカー』が、公式テストの開催されているシルバーストンでお披露目された。
今季からイギリス・ラウンドの舞台となるシルバーストンの新トラックで、WorldRXは第2回となる開幕前公式テストを開催。イギリスの名門コンストラクターであるプロドライブと、GCコンペティション(GCK)のジョイントにより開発が進められてきた『ルノー・メガーヌR.S. RXスーパーカー』が、ようやく公の場に姿を現した。
2017年当初からプロジェクトがアナウンスされ、当初は年内の9月にもシェイクダウンを行う予定が明かされていたこの『ルノー・メガーヌR.S. RXスーパーカー』は、のちに開発作業の遅れからデビューを延期。
プロドライブの本拠地であるバンベリーでコンストラクションが完成したのはつい最近のことで、その後は南ウェールズのベンブレイや、GCKと開発ドライバー契約を結んだ元DTMドイツツーリングカー選手権王者のティモ・シャイダーが参加してのプライベート・セッションなどで動作確認を進めてきた。
GCKチームは、この週明けにもフランス・パリで正式なラウンチイベントを開催する予定ではあるものの、それに先立ちカモフラージュの施された2リッター4気筒ターボ搭載の4WDマシンをシルバーストンに持ち込み、いよいよ本格的シーズン参戦の準備に入ることとなった。
チームオーナーであり、エースドライバーも務めるエクストリームスポーツ界の第一人者、ゲラン・シシェリは「今日は本当に重要な1日で、この日を迎えるためにチームはこの2年以上にわたって本当に苛酷な努力を続けてきた」と、その胸の内を明かした。
「ついに僕らのマシンをこの公式テストの場に運び込み、こうして他のマシンとともにトラックを走行することができた。相対的に僕らが今、どんな立場にあるのかを知る良い機会になるはずだ」とシシェリ。
「単独でテストを重ねていても、本人は速く走ろうとしているし、実際その場で“速い”と感じるのは当然だ。でも、それはあくまで自己評価にしか過ぎないわけだからね」
シルバーストンテストの現場では、この新しいルノー・メガーヌに関する技術詳細はベールに包まれたままとなったが、シシェリとそのチームメイトであるジェローム・グロセット-ヤニンが交互にドライブを担当。
テスト初日の午前には、そのグロセット-ヤニンが最速タイムを記録。元WorldRX王者で昨季のチャンピオンチームであるPSRXフォルクスワーゲン・チーム・スウェーデンのポロR RXスーパーカーを0.399秒上回る好タイムを叩き出した。
この好記録に対し、代表のシシェリは「開発の成果で、技術的イノベーションも数多くあるけれど、まだマシンの詳細をつまびらかにするのは時期尚早だ」と、自信をのぞかせる。
「我々はこのまま進むつもりだし、シーズン開幕はもうすぐそこだ。もしライバル陣営が我々のメガーヌに施されたいくつかのアイデアを取り入れたいと思うなら、それはゼロからマシンを再構築する必要があるほどの大仕事になるだろう」
「でも同時に、それをことさら重要視したり、隠し立てしたりする気もないんだ。我々は来週パリで公式ラウンチを開催する予定で、そこでは我々のパートナーやプロジェクトに賛同してくれた多くのサポーターにも、このマシンの詳細を見てもらう機会を設けるつもりだよ」
GCKチームのマネージャーを務めるカール・オサリバンも、メガーヌの初期テスト成果にポジティブな感触を得たと明かした。
「プロドライブの伝統と仕事ぶりには一切、疑いの余地がない。彼らがラリー界で成し遂げた栄光と、近年のGTカテゴリーでの活躍を見ればそれは明らかだろう。彼らの技量と経験の深さは本当に素晴らしいものがあるね」とオサリバン。
「ここまでのテストは上手くいっているし、今後はドライバーたちの走行時間を稼ぐべく可能な限りマイレージを重ねたい。初日のタイムを見る限りはハッピーだが、これがすぐそのまま開幕戦バルセロナで再現できるとは思っていないよ」
2日間を通じて開催されたシルバーストンの新トラック最後の走行機会となる公式テストには、2018年のパーマネントエントリー全チームが参加し、全体を通じてEKSアウディスポーツ・チームのマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクアトロ)が最速タイムを記録している。