SNSは個人間のコミュニケーションだけでなく、企業と消費者を結びつけるための重要なツールになっている。うまく利用すればブランディングや知名度向上というメリットをもたらすが、使い方によっては炎上する可能性も孕んでいる。
企業のSNS運用支援などを手がけるホットリンクは3月28日、SNSの炎上対策の実態と、炎上が消費者の購買心理に与える影響の調査結果を発表した。対象は一般消費者、経営者など合わせて2129人。
調査からは、経営者層がSNS炎上の影響を軽視していること、充分な炎上対策を行えている経営者・管理者層は少数であることが分かった。
社員の5人に1人は「働く企業の不満をSNSに書き込みたくなる」炎上予備軍
一般消費者の中で、炎上した企業の商品やサービスの利用を気にせず利用する人の割合はわずか8%と少なく、「利用しよう・買おうと思わない」は40%にも上る。企業のSNS炎上は消費者の購買意欲を低下させ、売上にも影響を与えている可能性がありそうだ。
一方、経営者層は企業SNSの炎上対策を軽視している。社内に「SNS炎上対策の専門チームを設けるべきだ」と回答した経営者・管理者は26.7%と3割程度に留まる。消費者と経営層との間には、SNS炎上に対する認識に大きな溝がある。
SNSの炎上対策への取り組み度は、会社の業績も左右する可能性がある。企業の経営者層に対し、社内で炎上対策を担当している部署・役割が存在しているか聞いたところ、業績がプラス成長している企業とマイナス成長している企業では、炎上対策の導入状況に10%以上の差が生まれた。
成長率が100%を下回る企業では、担当部署・役割があると答えたのは20%に満たない。一方、成長率が101%以上の企業では、101~120%の企業で26%、121~150%の企業で32%、150%以上の企業で25%と、どれも20%以上で導入していた。
プラス成長企業には、SNSの炎上対策に力を入れている経営者が数多く存在していると分かった。
炎上対策をしているプラス成長の企業では、56%が炎上対策を内製化していた。マイナス成長の企業で内製化しているのは48%と9ポイントの差がついた。こうした結果から、調査を実施したホットリンクは「業績伸長のキーポイントは、社内で炎上対策を行なう事と強く関係する」と分析している。
炎上のリスクは企業内にも潜んでいる。非経営者・非管理職に、自分の企業の不平・不満をSNSに投稿したことがあるかどうか訪ねたところ、17%が「よく書き込む・たまに書き込む」と答えた。「書き込みたくなるが、書き込んだことはない」という不満投稿潜在層は22%いる。39%の社員は、企業の炎上を招くリスクを持っているといえるだろう。