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道徳教科書の内容に室井佑月「すごいやだ」と嫌悪感「長いものに巻かれろという人たちが何を教えるの」

2018年03月29日 17:01  キャリコネニュース

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作家の室井佑月さんが3月28日放送の「バラいろダンディ」(TOKYO MX)に出演し、中学校の道徳教育に関して「すごいやだ」などと嫌悪感を示した。

番組では、産経新聞の「平成29年度の教科書検定結果」の記事を紹介。道徳の教科書は、これまでの読みもの中心ではなく「考え、議論する道徳」への転換が促されている。議論するきっかけとしてマンガを採用するものもあり、例えば手塚治虫の『ブラック・ジャック』から、患者を手術で救うブラック・ジャックと、安楽死を施そうとするドクター・キリコのそれぞれのセリフについて、気になる場面を抜き出して議論させる等の内容だ。(文:okei)

「時の権力の意向によって正義なんてコロコロ変わる」


他にも、『北斗の拳』から悪役サウザーのセリフ「愛ゆえに人は苦しまねばならぬ!!愛ゆえに人は悲しまねばならぬ!!」を紹介、生徒に「愛とはどういうことなのか」と問いかける。『3月のライオン』からは、高校を留年しかかっている主人公に対する担任のセリフから、「誰かに頼れ」「でないと実は誰もお前にも頼れないんだ」を紹介し、「お気に入りの言葉があれば、それを友達に紹介してみよう」と提案している。

3月のライオンはともかくサウザーのセリフには、ラッパーの宇多丸さんも「分かりづらい!愛を問うときになぜこのセリフ」などと苦笑しつつ突っ込んだが、「議論させてみるってのはいいんじゃないですか」と肯定した。

しかし室井さんは「すごいやだ」と声を荒げる。

「だって自分でこう思ってるっていうのがあって、10年後にそのお気に入りを読み直してみたら解釈が違ったりとか自分の発見が正しいから、教師の言葉なんて必要ない」
「どうして道徳で教えなきゃいけないの」

と嫌悪感を示した。

室井さんは、漫画云々よりそもそも学校で道徳を教えること自体に異を唱えている。番組がコメンテーターに"道徳教育で教えるならこれを見よ"とお薦めアイデアを求めたフリップに、「道徳は教えるな!」と書くほどだ。室井さんは、「私は学校とか教師とかをあんまり信用していない」「その上の教育委員会も文科省も信用してない」として、

「長いものに巻かれろって考え方の人がどうやって教えるの。時の権力の意向によって正義なんてコロコロ変わるわけじゃない。教えてもらいたくないと思う」

などと抗議した。前文部科学事務次官の前川氏の件に触れ、「(文科省は)何かあったときに決して立ち上がらなかった組織なのに」とも批判している。

ウルトラセブンも議論の材料になるが、「授業になっちゃったら良くない」?

一方、「議論させるという目的」自体は何度も肯定している宇多丸さんは、『ウルトラセブン』の「ノンマルトの使者」という回をお薦めしていた。地球人は実は先住民を駆逐し侵略して住んだ者たちの末裔で、ウルトラ警備隊はそれを知りつつ先住民の街を滅ぼしてしまうという、重いテーマを含んだ話である。「そういうものを議論のモトとしてやるのであれば、よろしいんじゃないですか」と意見していた。

日本はこれまで、学校教育の中で子どもたちに自分の意見を議論させる機会が少なかったが、これからは、異なる意見・文化・人種の人たちと共生していかなくてはならない。そういう部分を養う必要はあり、「考え、議論する」という方向は間違ってはいないように思う。

しかし室井さんは、「議論って言っても授業になっちゃったら良くないよ」と反対意見を貫いた。確かに、道徳が「教科」として採用された以上、先生が求める「正解」に偏る危険性はあるかもしれない。宇多丸さんも、「まあ先生が議論を誘導するスキルはまだないかもしれないけれど」と答えていた。