2018年5月10~13日に行われるニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦するスバル/STIは3月22日、レースに投入するスバルWRX STIを日本航空(JAL)の旅客機に積み込み、ドイツへと送り出した。
ニュル24時間は“世界一の草レース”と呼ばれながら近年は欧州の自動車メーカーを中心にメーカー直下のワークス、セミワークスチームなどが多数参加し、レースのレベル、注目度が年々高まっている。
スバルは、このニュル24時間に2008年から参戦を開始。排気量2リッター以下のターボ車で争われるSP3Tクラスで連覇を飾るなど成績を残している。
迎える2018年大会に向けて、チームはエンジン出力の向上やギヤ比の最適化、トレッド拡大、ブレーキの大径化などを施した2018年仕様のWRX STIを準備。2月22日には雪が舞う富士スピードウェイでシェイクダウンしたほか、その後も耐久テストやナイトプラクティスなどが重ねてきた。
そんなWRX STIは4月14~15日に行われる予選レース、そして5月に控える本戦へ向けてドイツへ出発。JALのボーイング787に積み込まれ、3月22日11時30分に日本を飛び立った。
今回、スバルが車両の輸送に使用したのはJALが展開する車両輸送サービス『J Solution Wheel』。レース車両の海外輸送といえばコンテナ輸送や貨物機を使ったものを想像するが、このサービスでは貨物機ではなく、ビジネスや海外旅行などでおなじみの旅客機を使用する点が特徴だという。
JALによれば旅客スペース下部にクルマを格納するため、貨物専用機を使用するよりスペース効率が高いほか、車高が低く、大型のバンパーやリヤウイングが備えられるレース車両、コンセプトカーの輸送に向いているとのこと。
また、貨物機では着陸できない空港にもクルマを輸送できるというメリットや、チームにとっては貨物機より時間的な自由度が高く、間際までマシンに手が加えられるという利点があるようだ。
今後、このサービスが主流となっていけば海外でレースを堪能した帰りに、実はそのレースを戦ったマシンと同じ飛行機で帰国していた、ということが起きるかもしれない。
■STI辰己チーム監督「例年以上に走り込めていて、今のところ不安材料なし」
なお、マシンの積み込み作業に立ち会ったSTIの辰己英治チーム監督は「テストは予定通り終了し、順調に準備は進行しています。富士スピードウェイでのテストだけでなく葛生や太田のテストコースでも走り込みを重ねましたので、今年のクルマはこれまでにすでに1万キロくらい走れています。例年以上に走り込めているので、今のところ不安材料はありません」とレースへの展望を明かしている。
「ほとんどの走行は冷間で、路面温度も25度までと条件設定がニュルの現実にあっていました。昨年のように、異常に暑いということもあり得なくはないのですが、今年は熱対策を徹底的にやっているので、少しぐらいの温度上昇は問題ないはずです」
「現在載っているエンジンもギアボックスもすでに3000キロくらい走り続けていますが、何も問題はないです。現地入りしてから4月第2週末のQFレース、4月20日の走行テストを終えて、エンジン、駆動系を決勝レース用の新品に交換したらあとは本番を待つばかりです」
「日本人ドライバーのふたりも富士での耐久テストには参加しており、だいぶ今年のクルマには慣れてきています。特に今年のSUBARUで初めてニュル24時間を走る井口(卓人)は、決勝レースが相当楽しみの様子です」
4月14~15日の予選レースは、鈴鹿サーキットで行われるスーパーGT公式テストと日程がバッティングしているため、山内英輝と井口卓人のふたりは不参加。カルロ・バン・ダムとティム・シュリックのふたりがステアリングを握るという。