ひきこもりが長期化、高年齢化しつつある。「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が3月23日に発表した資料によると、ひきこもり本人の年齢は、2004年の27.6歳から上昇を続け、18年には34.4歳になったという。30代が41.2%と最も多いものの、40代も24.1%に上っている。
同連合会の担当者は、
「ひきこもりを『恥ずかしい』ものだと思い、世間体を気にして隠してしまうことが多い。相談につながらず、長期高年齢化してしまう」
と話す。
80代の親と50代の子どもが孤立して生活に行き詰まる「8050問題」
同連合会は、全国各地にある家族会の全国組織。家族会の設立やサポート、調査・研究を行っている。今回は、会員であるひきこもり家族544人と当事者85人、または家族会の各支部を対象にアンケートを行った。
初めてひきこもりになった年齢は、2004~09年には20~21歳だった。しかし2010年以降、19~20歳とやや低年齢化している。
同連合会は、自治体に設置されている生活困窮者の「相談窓口」215か所にも調査を実施。窓口で対応したことのあるひきこもりの年齢層は、40代が60.9%で最も多く、次いで30代が60.3%だった。50代も51.0%に上っており、高年齢化が進んでいることがわかる。
相談窓口が対応した中高年のひきこもりのうち、ある50代男性は、次のような状態だったという。
「父母とも高齢。親の年金で生活できており、親も本人も困り感があまりない。相談員と一緒にハローワークに行く。しかし採用面接に落ちて後ろ向きな気持ちになってしまった。本人が希望する就職の内容が現実とかけ離れている」
こうした長期化・高年齢化について、同連合会の担当者は、
「80代の親と50代の子どもが孤立し、生活に行き詰まることを『8050問題』と言います。中高年のひきこもりがいる世帯は、親の年金で生活している場合が多く、親が病気になったり、介護が必要になったりすると共倒れする危険があります。ひきこもりを抱えた家族を孤立させないためにも、そうした家族を探し、支援していく必要があるのです」
と話した。
自治体には「実態に則した支援をしてもらいたい」
伊藤正俊共同代表は同日、同連合会のサイトに声明を掲載。今年1月、札幌市内のアパートで母親(82)と長期間ひきこもり状態だった娘(52)が衰弱死した事件に触れた上で、
「ひきこもりは恥ずかしいことだからといって、子供の存在を地域で知られないよう隠したりして、誰にも相談できない、『助けて』と言えない、そんな家族が、全国にはたくさんいます」
と指摘。同連合会では、「家族が元気を回復していくための活動をし、地域共生社会の構築を推進したい」といい、自治体に対しては、「本人や家族が地域で、どういう課題に直面しているのかを丁寧に聞いて、そうした実態を知ったうえで、実態に則した支援をしてもらいたい」と要望した。