トップへ

「時短勤務の女性を退職に追いやったらしい」に注目集まる 時短がダメなのではなく、時短をうまく回せない会社がダメなのだ

2018年03月29日 06:41  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

企業はマタニティハラスメントの防止が義務付けられているが、育児休業明けの「時短勤務」に理解が足りない職場はまだまだ多いようだ。人手不足の昨今、難しい面もあるだろうが、運用方法を誤れば大きな損失になりかねない。

取引先のマタハラに間接的に関わってしまったかも…と気に病む人が3月23日のはてな匿名ダイアリーに投稿をした。「一人の時短勤務女性を退職に追いやったらしい話」というタイトルで注目された。(文:okei)

「マタハラと言われそうな気がして」担当の変更は要望できず

投稿者は1年前にA社への発注業務を引き継いだが、A社の担当者が育休明けの時短勤務だったため、急ぎの用事やトラブルに対応してもらえず負担に感じるようになった。

担当者と連絡がつかないときのA社の対応は「(分かる者が)すみません、いません」だけ。

「担当者変えてくれ、と口から何度も出そうになったが、なんかそれいうと、マタハラとか言われそうな気がして言えなかった」

投稿者は結局、取引先を変えてしまった。大口の取引先を失って慌てたのはA社である。青い顔をして事情を聞きに来たが、「時短社員と連絡つかなくて困るから」とは言えず適当に誤魔化したという。

だがその後、A社では時短勤務の女性が自主退社してしまった。大口の取引先を失ったことで、何らかの推測がされたらしいと投稿者は思いを巡らしている。そうした事態を怖れて黙って取引先を変えたのだが、「どうすればよかったんだよ…」と後味が悪そうだ。

ブックマークは400以上つき話題になっている。コメントは、A社に対する非難が圧倒多数だ。

「大口取引先に組織として対応しないで放っておいたA社が全然ダメだし、(中略)もともと会社としてイケてなかっただけだよ。かえて正解」

投稿者も同じ主旨のことを書いており、筆者も同感だ。「A社はその担当者にも増田(投稿者)の会社にも甘えてたんだよ。煩雑な調整や破綻するリスクから目を逸らし続けてたの。増田は悪くない」とフォローする声もある。

「時短=やっぱりダメ」では短絡的 不在時の対応に要望を出すべきだった

一方で、もう少し違うやり方もあったとする感想も出ている。

「担当者がいないときは他の社員がフォローできるようにしてくれ、という要求はしても良かったのではないかという気もする」

確かに、不在時の対応を検討して欲しいと要望くらいは出せたかもしれない。

この件で危険なのは、「時短勤務=やっぱダメ」と短絡的に決めつけることだ。ダメなのは、時短勤務をうまく回せなかった組織である。周囲がフォローするというだけでなく、時短勤務の人も周囲と連携する姿勢がなくてはならないだろう。まあ、 出来ない雰囲気があったらダメですが。

以前、「部下が全員働くママになったら残業時間が減った」ということを書いたブログが話題になったことがあった。時短勤務の部下2人と女性上司が、凄まじい勢いで仕事の効率を上げ続け、その上司の残業が月70時間から10時間以下に減ったという話だ。LINEで休みの不安定さをフローし合い、上司は部下が仕事に集中できるよう社内折衝に力を入れていた。

これはかなり理想的な例だが、時短勤務に限らず、今は1人の担当が丸抱えではなく、すべての仕事を共有し誰でも対応できることが求められている。そうすることで誰でも休みを取りやすくなるし、働きやすくなるのだ。時短勤務の人を切るという対応だけでは、他の社員も苦しいままだろう。