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豪州SC:史上初の週末4レースF1併催戦は4戦4勝者、裁定持ち越しの波乱に

2018年03月28日 10:11  AUTOSPORT web

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今季からF1併催戦メルボルンを正式なシリーズの1戦としたVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー
F1開幕戦オーストラリアGPが開催されたアルバートパークの週末に、今季からエキシビジョンではなく正式なシリーズの1戦として組み込まれ史上初の週末4レース開催となったVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの第2戦は、4戦で4人の今季初優勝者が誕生するなか、最終レースで4台が絡むクラッシュが発生。そのペナルティ裁定が次戦に持ち越される波乱の展開となった。

 今季開幕戦から新たにGen2規定を採用した新型ホールデン・コモドアZBの連勝劇で幕を開けた2018年シーズンは、この“コートハイア・スーパーカー・メルボルン400”で第2戦を迎え、フォード、ニッサンのライバル陣営がどこまでホールデンに迫れるかが焦点に。

 その週末セッション開始を前に、メルボルンのパドックではこのコモドアZBが採用するコンボジット素材のルーフ、ボンネット、専用リヤバルクヘッドに対し「規定の理念に反する」と意義を提出していたフォード、ニッサン陣営にも軽量パーツへの置換が許可され、すでに製作済みのパネル類を持ち込んでいた両陣営はさっそく新パーツへの換装を決行。

 予選から早くもその効果が現れ、ホールデン・ワークスとしてコモドアZBの開発を担当したトリプルエイト・レースエンジニアリングの王者ジェイミー・ウインカップ(レッドブル・レーシング・オーストラリア/ホールデン・コモドアZB)がふたつのポールポジションを獲得するかたわら、フォード系のトップチームであるDJRチーム・ペンスキーのスコット・マクローリン(シェルVパワー・レーシング/フォード・ファルコンFG-X)も同じくレース1、レース3に向けふたつの今季初ポールポジションを分け合うなど、反撃ののろしを上げる最速タイムを刻んだ。

 そして迎えた25周の決勝レース1は、先頭スタートのマクローリンが順当にホールショットを奪うも、フロントロウのチームメイト、ファビアン・クルサード(フォード・ファルコンFG-X)がウインカップにかわされ3番手に後退。

 スタートで幸先良くライバルの背後に浮上した王者は、その後もマクローリンの背後からプレッシャーをかけ続け、11周目にピットへ飛び込んだフォードを尻目にアンダーカットを敢行。これが功を奏し、翌周にピット作業を終えたレッドブル陣営は王者をトップでコースへと送り出すことに成功する。

 今度は攻守交代となったマクローリンは、諦めることなくフォード・ファルコンFG-Xを左右に振ると、17周目に王者のインに並びそのままサイド・バイ・サイドでターン5へ突入。ここで首位奪還に成功し、見事に今季初勝利をもぎ取ってみせた。

「僕は本当にジェイミー(・ウインカップ)と激しくバトルする運命にあるみたいだ。それはいつだって真剣で本当に楽しい瞬間だ。チーム全員が素晴らしい仕事をして、僕に速いマシンを与えてくれた。だから僕も頑張ったよ」と笑顔を見せたマクローリン。

 2位ウインカップ、3位クルサードの表彰台に続き、4位には開幕2連勝の2016年王者SVGことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(レッドブル・レーシング・オーストラリア/ホールデン・コモドアZB)が入り、この時点でポイントスタンディング上のリードを大きく拡大している。

 続いて土曜のF1予選セッション開催日に行われたレース2は、13周のスプリント戦ながら雨の影響でセーフティカー(SC)先導によるスタートとなり、レース開始後もウエットトラックでの有利な視界を確保したポールシッター、ウインカップが盤石の勝利を飾り、マクローリン、クルサードのペンスキー勢を退ける結果となった。

「それほど悪くないドライブだったと思う」と、レース直後にもかかわらず落ち着いた表情で振り返った王者ウインカップ。

「グリップがかなりルーズで、実際何度もコースオフしかけたほどだった。ウォームアップラップ中にもスピンしそうになり、恥ずかしい思いをするところだったよ(笑)。午後のレース3もさらに雨量が増えそうだし、どう戦うか様子を見ていこう」

 そう王者が予想した25周の土曜レース3は、なんとかドライのラインが見える状態でのスタートとなったが、ポールシッターのマクローリンがまさかのミスでワイドラインとなり、3番手から好スタートを切っていたスコット・パイ(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/ホールデン・コモドアZB)が一躍トップに躍り出る。

 さらに9周目に入ったところで雨脚が強まり、スチュワードからウエット宣言が出されると、今後も天候が崩れるとの予報からレインへの交換を決断したマクローリン、SVGがピットへ。

 これが運命の分かれ道となり、トラック上はトリッキーなコンディションながらドライ路面が残ったまま雨脚が弱まり、ギャンブルは不発。パイがなんとかマシンをコース上に留めてウインカップ、ニック・パーキャット(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)をコンマ2秒差で抑えきり、アンドレッティ・オートスポート、ユナイテッド・オートスポーツの新生ジョイントチームにうれしい初勝利をもたらした。

 そして快晴の日曜開催となった11周のスプリント・レース4は、ポールポジションから出遅れたウインカップをかわして、エレバス・モータースポーツのデビッド・レイノルズ(ホールデン・コモドアZB)が、前日表彰台のパーキャットを抑えて今季初勝利をマーク。

 しかし、レース中にビッグブレーキングのターン3ではそのレイノルズのチームメイトであるリー・ホールズワースらを含む4台のマシンが絡んだインシデントが発生し、その裁定が次戦4月6~8日のシモンズ・プレインでの週末に持ち越されるなど、波乱の結末に。

 その要因となったのは、すでにターンインを開始していたウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドのエース、ジェームス・コートニー(ホールデン・コモドアZB)のリヤバンパーに、ジェームス・ゴールディン(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)がヒットしコートニーがスピン。

 しかし、そのゴールディンをティム・ブランシャード(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)、アントン・デ・パスカーレ(エレバス・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)の2台がプッシングしていたことが遠因と判断したスチュワードは「34号車ゴールディン、21号車ブランシャード、99号車デ・パスカーレ、そして25号車コートニーのインシデントに対し、審議を次戦に持ち越す」と発表。

 また、このクラッシュを回避したニッサン・モータースポーツのリック・ケリー(ニッサン・アルティマ)と、当事者のコートニーがリタイアを喫している。