F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンが、2018年開幕戦オーストラリアGPでオーバーテイクがほとんどみられなかったことに失望を示し、問題解決のためにすべての関係者が努力を行うべきであると語った。
オーストラリアGPでは、オーバーテイク促進のため、F1史上初めてDRSゾーンが3カ所設置された。しかし決勝2周目以降になされたオーバーテイクはわずか5回であり、マックス・フェルスタッペンは、自分がファンなら、あまりに退屈でテレビを消しただろうと発言している。
「重要な要素が欠けていた。それはオーバーテイクだ」とブラウンは決勝後に語った。
「開幕戦でオーバーテイクのシーンがほとんど見られなかった」
「前のマシンに近づき、ホイール・トゥ・ホイールのバトルをすることが可能なマシンにする必要がある」
「2台のスピード差が小さいと、アタックできるほど接近することがほぼ不可能だ」
「(ルイス・)ハミルトンと(セバスチャン・)ベッテル、フェルスタッペンと(ケビン・)マグヌッセン、フェルスタッペンと(フェルナンド・)アロンソ、(ダニエル・)リカルドと(キミ・)ライコネンの状況を見ればそれが分かる。ホイール・トゥ・ホイールのバトルができない。オーバーテイクの回数を増やすために、初めてDRSゾーンを3カ所設けたにもかかわらずだ」
オーバーテイクがほぼ不可能だった原因のひとつは、アルバートパークのコース特性であるが、2021年のF1テクニカルレギュレーション変更に取り組むブラウンは、マシンの問題を重要視している。ブラウンは、エキスパートに分析を依頼し、オーバーテイクとバトルを促進するための対策を探しているという。
「この問題に対して体系的なアプローチをとらない限り、状況は改善しないだろう」
「FIAやチームとともに、2021年に向けて目指していることのひとつは、ドライバーたちがコース上で他のマシンとバトルできるようなマシンにすることだ」
「そのために、FIAとF1は2台のモデルを使って空力面のリサーチプログラムを実行し、風洞とCFDで研究を行っている」
「今のパフォーマンスレベルを落とさず、ホイール・トゥ・ホイールのバトルができるようなマシンデザインを開発する必要がある」
ブラウンは、ファンの関心を引き付けることが何より重要であると強調した。
「F1ファンは優れたショーを見たがっている。コース上で見られる、最もエキサイティングで観客の目を引き付ける要素はオーバーテイクだ」
「F1のコミュニティー全体がこのニーズを満たすための努力をしなければならない。ファンこそが我々にとって最大の財産なのだから」