エン・ジャパンは3月27日、2018年度新入社員の特徴と育成ポイントについて発表した。調査は2018年新卒採用で適性テスト「3Eテスト」を受検した学生500人の回答を抽出し、特徴や過去との変化、育成ポイントをまとめたもの。
2018年度新入社員のコミュニケーションの特徴は「慎重に空気を読み、出る杭になりたがらない」というもの。同社によると、SNS上のコミュニケーションが主流で、年代や属性の違う人と対面で話す機会は希薄だという。
「気心が知れた仲間内での交流は得意なものの、相手をよく知り関係性が築けるまで、自ら進んで発信することは苦手なタイプが多い。(略)調和を保つことに長けている」
3年前の新卒と比較して「主体性」や「競争性」「ストレス耐性」が低下
例えば、打合せの場などでは円滑な進行を重んじ、意思表示やリアクションを控えがちになる。一方で、根拠をもとに納得して行動に移したい特徴から、質疑を大量に書き留め、後日問い合わせに来ることが多いという。同社は「物事への理解度や関心度が周囲は読み取れない可能性が高い」と指摘。
また仕事へのスタンスは「安定したキャリアを望み、私生活を重んじる」というもの。プライベートな時間を何よりも大切にし、仕事はほどほどに取り組む傾向がある。管理職や経営層へのキャリアアップには関心が薄いことが多く、人との競争を好まない。他者との比較や順位付けされることに抵抗感を覚えやすいようだ。
社会人4年目の2015年度の新入社員と比較すると、コミュニケーションの取り方は「協調性」が上昇したが、「主体性」「外向性」は低下している。仕事へのスタンスは「安定志向」「私生活重視」が上昇した一方で、「行動性」「競争性」「仕事の負荷量に対するストレス耐性」などは低下している。
育成には「丁寧なヒアリング」と「具体的に提示」が重要?
では、こうした新入社員はどう育成すればいいのか。同社はポイントを3つ提案している。1つ目は「コンディションを把握し、自主的な報連相を促す」。2018年度卒は組織への貢献意欲が高いが、周りから遅れを取ることや足を引っ張ってしまうことを恐れがちなので、コミュニケーションを促すことが大事なようだ。
また悩み事を相談できず抱え込む傾向もある。そのため意図的に新人のコンディションを把握する時間を作ることが重要になる。同社は「行動の変化を承認・称賛し続けることで、次第に自ら率先してアクションできるようになる」とコメントしている。
2つ目は「理不尽さを排除し、具体的な目標設定の提示を」。逆算思考で効率的な仕事の進め方を好むが、成果が出るイメージが持てないと取り組みが鈍くなる。曖昧ではなく、定量的で具体的なゴールを提示する方が好ましい。成長実感をもたせると目標達成の意欲もさらに芽生えるようだ。
3つ目は「将来のキャリアプランと重ね、新たなミッションを任せる」。安定したキャリア形成の意欲が高いが、重要なミッションや未経験の業務へ挑むことは消極的。目標設定の場では将来のキャリアプランを丁寧に聞くことが重要だとしている。