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呉服小売市場の微減続く レンタル市場は好調に推移

2018年03月27日 22:42  Fashionsnap.com

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矢野経済研究所が3月27日、2018年版の国内呉服市場に関する調査結果を発表した。

 2017年の呉服小売市場は前年比97.3%の2,710億円で、2014年から4年連続で減少。少子化の影響や着用機会の減少傾向が背景にあり、訪問着や留袖などの日常着ではなく七五三や成人式、結婚式などの儀式や趣味嗜好における着用が多いことから、今後も市場の急激な拡大は難しいとみられている。
 一方で、レンタルきものやリサイクルきもの、浴衣などの市場が拡大。レンタルきものは訪日外国人観光客が牽引役となり、きものの着付けとセットで作法や書道などの日本文化講座を提供したり、タクシー事業者との協業できものを着用して観光地を周遊するといったサービスが奏功している。リサイクルきものおよび浴衣においても「価格のやすさ」「利用の気軽さ」が支持につながっているようだ。
 また、織りや染めにこだわった特別な商品や逸品など、高額なきものに対する富裕層を中心にした需要があるほか、七五三ではモスグリーンやベージュ色が購入されるなど、消費者の嗜好が多様化している傾向がある。
 販売チャネルにおいては、呉服小売市場で約4割を占めるチェーン専門店チャネルは積極的な新規出店を行う企業と店舗の統廃合を進める企業に分かれている。一般呉服店チャネルはローカルチェーンとの競合が厳しくなり、市場規模は年々縮小基調。催事・訪問販売は一定の市場規模を維持しながら、横ばいが続いている。好調なのはチェーン展開する大手企業によるリサイクル販売チャネルとインターネット通販をはじめとする通信販売チャネル。通信販売チャネルでは背景に実店舗の展開に着手するなどの動きもある。
 なお、2018年の市場規模は前年比99.8%の2,705億円と予測されている。
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