そこで、研究プロジェクトでは、薬効をより正確に速く調べるためのプラットフォームとして、ヒトの器官の機能を模した人工組織を培養し、相互に作用させあうことのできる「Body on a chip」を開発。
肝臓や肺、腸、脳、心臓、皮膚、骨格筋などの組織を置き、流体を流し込んだ上で、薬を拡散させ、それぞれの組織にもたらす作用や代謝プロセスなどを調べる仕組みだ。
・免疫療法の評価にも応用可能 「Body on a chip」は、複雑な薬の副作用が正しく予測できるのみならず、ヒトの免疫システムと作用し合うよう設計されているため、動物では実験しづらい、抗体医薬品やその他の免疫療法の評価にも活用できるのが利点。
研究プロジェクトでは、「Body on a chip」の成果を活かし、今後、「腸内のバクテリアがパーキンソン病の進行に影響を及ぼしているのではないか」との仮説のもと、脳、肝臓、胃腸組織を含むパーキンソン病のモデルシステムの構築をすすめていく方針だ。(文 松岡由希子)