フジテレビ系の子ども向け番組『ポンキッキーズ』が、3月25日に放送終了を迎える。前身となった『ひらけ!ポンキッキ』の放送開始が1973年だから、約45年間にわたって放送されてきたことになる。
ガチャピンとムック、「ジャカジャカジャンケン」でおなじみのコニーちゃんなどのキャラクターを生み出したほか、数々のオリジナル楽曲が『ポンキッキ』シリーズをきっかけに誕生。出演者にミュージシャンたちも積極的に起用し、子どもたちの人気者にした。多彩なミニコーナー、凝った映像演出など、その変遷を追いかけるだけでも膨大な情報量になりそうだ。同番組が日本のカルチャーに及ぼした影響は大きい。
■あの人も『ポンキッキ』に出演。子どもたちの人気者に。
『ポンキッキ』シリーズの出演者で、誰が印象的だったか、という問いについては、視聴していた時期によって全く違う答えになりそうだが、やはり長く出演していたBOSE(スチャダラパー)やピエール瀧(電気グルーヴ)は外せないだろう。
スチャダラパーの楽曲“Welcome to Ponkickies”は1994年から約7年間にわたってオープニングテーマとなっていた。当時25歳の若手ラッパーだったBOSEは、「BOSEくん」として子どもたちの人気者になり、ピエール瀧の存在がお茶の間に広く認知されたきっかけの1つにもなった。この番組がなければ、ピエール瀧がNHKのドラマで主演を務めることも、ディズニーアニメで声優を務めることもなかったかもしれない。
BOSE、瀧と共演していた鈴木蘭々の存在感も忘れてはならないが、その鈴木蘭々と番組内ユニット「シスターラビッツ」を組んでいたのが、初登場時は17歳だった安室奈美恵。当時はSUPER MONKEY'Sと共に活動し、ソロデビューを控えていた安室だが、昨年デビュー25周年を迎え、今年には芸能界を引退する。
Bro.TOMも長期間にわたって出演。DAICHIこと三浦大知、HIKARIこと満島ひかりらを擁したFolderのメンバーたちが登場していた時期もある。爆笑問題はネズミの着ぐるみ姿で「爆チュー問題」として人気を博した。そのほか、市川実和子、あんじ、ケイン・コスギ、いのっちこと井ノ原快彦(V6)、ダンテことダンテ・カーヴァー、アッキーナこと南明奈、ウエンツ瑛士、鈴木福、谷花音などなど枚挙にいとまがない。現在のメインMCは春風亭昇々と藤原さくらが務めている。
■名曲の数々が『ポンキッキ』から生まれた。楽曲提供陣も豪華絢爛
番組の随所でタレント、ミュージシャンや俳優など、多様なジャンルの著名人が参加してきた『ポンキッキ』。中でも音楽は番組の核の1つとなっていた。450万枚以上のヒットを記録した“およげたいやきくん”をはじめ、“たべちゃうぞ”“いっぽんでもニンジン”“はたらくくるま”“ホネホネロック”“恐竜が街にやってきた”といったキッズソング、爆チュー問題による“でたらめな歌”など。
番組中で使用された楽曲も大量だ。オープニングやエンディングテーマには、スチャダラパーをはじめ、森高千里、山下達郎、斉藤和義、米米CLUB、藤原さくら、ミニコーナーなどの挿入歌には電気グルーヴ、矢野顕子、小沢健二、ホフディラン、つじあやの、TRFなどなど。洋楽のチョイスではThe Beatlesの多用が印象的だった。大人たちがセンスをフル稼働し、全力で子どもたちを楽しませようとしていた。現在の日本のカルチャーの土台を作った番組の1つと言っても大げさではないだろう。
■ガチャピンとムックの宝物。「ずっと大事にしていきます」
番組終了発表後の3月13日、番組の公式ブログで「ガチャピン・ムック『ぼくの宝物』」と題する記事が公開された。このように綴られている。
<ぼくには、宝物がたくさんあります。
たくさんのステキな人たちが、番組に出てくれました。
おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、そして子どもたち・・・たくさんの人たちに番組を見てもらいました。
チャレンジをするとき、なかなかじょうずにできなくて、くじけそうになったときは、みんなが応援してくれました。
いろんなところに遊びに行って、たくさんの子どもたちとお友だちになりました。
まだまだいっぱいあるけど・・・ぜーんぶ、ぼくとムックの宝物です。
「抱えきれないぐらいの宝物ですね!」
そうだね、ムック。
この宝物を、ずっと大事にしていきます。
みんな、ありがとう。(beblogより)>
『ポンキッキーズ』の最終回は、3月25日8:00からBSフジで放送される。しかし、ガチャピンとムックともこれで永遠のお別れ……というわけではないらしい。フジテレビの発表によれば、今後も何らかの形で彼らと会うことができそうだ。それになにより、『ポンキッキーズ』を見た人たちの心の中でいつでも、ガチャピンは果敢にチャレンジしているはずだ。そして私たちもガチャピンに学んだように、日々の生活の中で各々の「チャレンジ」に挑み続けていくべきだろう。もちろんムックも見守ってくれているはず……ですぞ。
ちなみにフジテレビによるYouTubeチャンネル「フジテレビKIDSチャンネル」では『ポンキッキーズ』の動画も多数公開されている。この機会に視聴してみるのもいいだろう。