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永瀬正敏、栗原類、西川美和、大九明子らが絶賛 『心と体と』各界著名人コメント

2018年03月26日 10:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 4月14日に公開される映画『心と体と』に、各界の著名人がコメントを寄せた。


 本作は、第67回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)など4冠を受賞し、第90回アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされたヒューマンドラマ。ハンガリー・ブダペスト郊外の食肉処理場を舞台に、代理職員として働くマーリアと、片手が不自由な上司のエンドレが同じ夢を見たことで、急接近していく模様を描く。


 イルディコー・エニェディ監督来日時に対談も行った映画監督・大九明子は、「私が20年間、映画を撮るときに意識的かつ無意識的にやってきたことが全て詰まった作品」と、同じ女性監督という立場から本作を絶賛。そのほか、永瀬正敏、西川美和、名越康文、辛酸なめ子、栗原類、深田晃司など、各界の著名人がコメントを寄せている。


■コメント(五十音順)
●石井陽子(鹿写真家)
些細な行き違いや小さな諍いで簡単にかき乱される私たちの日常。森の中で寄り添って生きる二頭の鹿の世界はなんと清らかで美しいことか。でも、映画を見終わると、この世界で不器用に生きることも愛おしくなった。


●大九明子(映画監督)
人との距離の取り方、女性ゆえの性の描き方など、私が20年間、映画を撮るときに意識的かつ無意識的にやってきたことが全て詰まった作品で、あらゆるところに共感しました。これからも偉大な、しかも女性の監督の背中を追っていけるというワクワク感もあり、エニェディ監督は私にとって特別な人だと感じました。


●岡部えつ(小説家)
不器用な女と男の「触れ合いたい」という痛々しい欲望が、深淵な森の風景に溶けるように佇む鹿の姿となり、神々しさをまとって描かれる。人が繋がっていく様をこんなふうに表すことができるのかと、ため息が出た。


●沖田×華(漫画家)
鮮血の日常、銀白の夢を追い、愛を見つめる物語。
孤独な二人に突然訪れた、寡黙で優しい夢――


●金原由佳(映画ジャーナリスト)
『心と体と』は主な登場人物の数が、両指に収まるような小さな人間関係の物語である。だが、そこで展開する出来事とそこでの発見は、私たちの生活の風景を一変させるような示唆に富んでいる。


●栗原類(モデル・俳優)
目的はどうであれ男女が無意識に互いを求め合う、
その時に感じる気持ちはどうであれ深く考える必要なんてない、
だって自分に正直でいる事が一番の愛情なんだから。


●辛酸なめ子(漫画家、コラムニスト)
ネットやSNSよりも毎晩の夢に注目した方が良いと、現代人にとって重要なメッセージを受け取りました。スマホをオフにして、早寝します。


●永瀬正敏(俳優)
孤独な者同士の美しく切ない“同じ夢”の先にみる、新しい形のラブストーリー。
後半まさに心も体も震えた。


●名越康文(精神科医)
間違いなく、素晴らしい映画
氷は熱によって溶かされるけれど、凍った感情は情熱だけでは決して溶けない
自分の中に相手と同じものを見つけることで、初めて心は溶け出すのだから


●西川美和(映画監督)
屠場で肉牛の処理される場面を、呼吸が止まるほど美しく感じたのはなぜか。寡黙な表現が続くのに、観る者はまばたきもせず、人に、関係性に、その変化に見入ってしまう。「映像に文体がある」という表現があるならば、まさにこんな作品をいうのではないか。


●樋口毅宏(作家)
チラシのデザインを見て、「これ面白いんだろうなあ」と思っていたら、予想を遥かに超えていた。観終わってから何日経っても、主人公のふたりのことを考えてしまう。
こんな「ボーイ・ミーツ・ガール」、見たことない。予測不可能のクライマックス。


●深田晃司(映画監督)
日の光が食肉工場の一角に陰陽の線を引き、影の際に潜むように立つヒロインの爪先を淡く照らす。彼女はすっとわずかに足を引き全身を影へと沈める。この素晴らしく繊細なショットに心を撃ち抜かれ、あっという間に『心と体と』が好きになってしまった。


●山田あかね(映画監督・作家)
食肉工場で殺される牛がとにかく衝撃的で、死の前では人間の愛や恋がちっぽけに感じられる。が、人はそのちっぽけなものがないと死に至るのだ。絶望の淵にいた男女がケモノに導かれて愛を見つける異色のドラマ。


●早稲田みか(大阪大学教授〈ハンガリー語専攻〉)
今夜いっしょに寝よう。
そう言ってふたりは、それぞれのベッドで、同じ時刻に眠りにつき、同じ夢をみる。
夢のなか、ふたりは鹿になって肌をふれあわせる。
ところが現実のふたりときたら……。
こじらせカップルのピュアで不思議なラブストーリー。


(リアルサウンド編集部)