痛恨のミスで予選最下位に沈んだピエール・ガスリー。しかし、日曜日のレースでは絶好のスタートを決め、ザウバーのシャルル・ルクレールとウイリアムズのセルゲイ・シロトキンを抜いて18番手にポジションアップ。
その後、チームメイトのブレンドン・ハートレーがスタート直後のブレーキングをロックさせてタイヤにフラットスポットを作って1周目にピットインしたため、ガスリーは17番手に浮上した。
その後も、ガスリーはペースを上げて前を走るマシンを追っていたが、14周目の12コーナーを立ち上がった直後に、後方から白煙を上がってスローダウン。なんとかピットに帰ってきたが、そのままリタイアとなった。
「突然、MGU-Hに問題が発生しました。テストではMGU-Hにまったく問題が起きていなかったので、完全に想定外でした」と田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクターは険しい表情でこう続けた。
「原因はまだパワーユニットを開けて問題があった部品を特定できていないのでわかりませんが、ソフトではなくハードに異常が出たことはわかっています」
今年に入ってからのホンダのトラブルは、合同テスト最終日に、ハートレーのPUに起きたのが最後だった。しかもそれは今回のようにMGU-Hに起きたのではなく、電気系に変なデータが出たために止めたというものだった。それだけに、ホンダにとっては想定外のトラブルだった。
「テストで(信頼性を)見極めてきたものと基本的に同じ仕様のPUを開幕戦に持ってきて、それがトラブルを起こした。この結果を厳粛に受け止めなければならない」と語る田辺TDは、HRDさくらにPUを戻した後、トラブルが起きたMGU-Hだけでなく、PUのすべてのパーツを全部見直して、きちんと解析して、対策を施すという。
「1台完走したので、いろいと学んだこともありますが、レースは走り切らないと評価に値しない。今回は1台リタイアさせてしまった」と厳しい評価を下した。
開幕戦に向けて信頼性を確保することを最優先にして、シーズン初戦に臨んでいただけに、スタッフたちの落胆ぶりは大きかった。
「この結果は非常に残念と言うしかありません。研究所でPUをきちんと解析して、対策を施したい。もう一度、仕切り直しです」
初日33点、2日目66点と、グランプリが開幕して徐々に上がっていた田辺TDの評価は、日曜日0点と、再び振り出しに戻ってしまった。