3月25日、富士スピードウェイでスーパーGT公式テストの2日目午後のセッション3が行われたが、MOTUL AUTECH GT-R、フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rという2台のニッサンGT-RニスモGT500、そしてDENSO KOBELCO SARD LC500にトラブルが起きストップ。三度の赤旗が提示された。開幕前のこの時期のトラブルは、熾烈さを増すGT500の開発競争を示唆しているものなのかもしれない。
12月から行われてきたスーパーGTのオフシーズンテストも、第1戦岡山を前にしたテストはこの富士が最後。新規定導入初年度となった2017年はレクサスLC500が強さをみせ、今季はニッサン、ホンダとも捲土重来を期する年となるが、ここまでの公式テストのタイムを見ると、3メーカーの実力差は昨年よりも大幅に拮抗していると言える。今回の富士公式テストでも、ほぼすべてのセッションでトップ10~12台が1秒差以内というタイム差だった。
そんななか、富士公式テストの2日目午後になって、GT500車両にトラブルが相次いだ。開始から17分過ぎに、松田次生がドライブしていたMOTUL AUTECH GT-Rが100R立ち上がりのランオフエリアでストップしてしまう。
また開始から1時間2分頃には、小林可夢偉がドライブしていたDENSO KOBELCO SARD LC500がメインストレート上で白煙を上げストップ。可夢偉が自ら消火剤をマシンにかけるシーンも見られた。さらに、その赤旗中断再開後にはフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rがピットロード出口でストップしまう。
これらのトラブルの原因については、いずれも「解析中」との回答で定かではないが、23号車MOTUL AUTECH GT-R、39号車DENSO KOBELCO SARD LC500はエンジンだった可能性が高い。また、24号車フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rはピットに戻った後、エンジンがかかっていたようで、その他の駆動系トラブルだった可能性がある。
2台がストップを喫したニッサン陣営だが、田中利和ニッサン系チーム総監督に話を聞くと、「23号車も24号車も、まだ原因を解析している最中です」と答えてくれるとともに、3メーカーの競争が激化したことにより、各陣営とも少しでもパワーを絞りだそうとしていたことがトラブルに繋がったのではと示唆する。
「開幕前のこの時期にいやなトラブルですが、レクサスさんも岡山とここ(39号車)で、おそらくエンジンと思われるトラブルがありましたよね」
「やはりみんな開発競争がギリギリの、際どいところでやっているということではないでしょうか。楽じゃないです(苦笑)。しっかり直して開幕戦に臨みたいと思っています」
ちなみにこの田中総監督の意見は、前ニッサン系チーム総監督の柿元邦彦アンバサダーも、別々に取材したにも関わらず異口同音に語ってくれた。今季に向けては、昨年12月のセパンテストから各陣営ともピリピリとした空気が漂っていた。ファンにとってはウエルカムな競争激化ではあるが、各陣営の“苦労”が垣間見えたのがこのセッション4だったのかもしれない。