残念な有休消化率からも分かる通り、日本人はなかなか休まない。勤勉さは良いことだが、働きづめでは本人の健康リスクが高まるだけではなく、家族も不満を抱えることになる。
たとえば、結婚を考えている恋人が仕事づけで、「挙式のために休暇を取れない」と言い張ったらどう思うだろうか。
ヤフー知恵袋には昨年7月、「彼の仕事が休めるかわからないから結婚式が挙げられない」というタイトルの悲痛な相談が寄せられた。相談者の彼氏の口癖は「休めるかわからない」。仕事熱心なのは感心しても、結婚式よりも仕事を優先するのは寂しい。
休みを「言いづらい」のか、結婚式を「やりたくない」のか
相談者の悩みはこうだ。結婚式なのだから、急に休むわけではなく、予め申し出れば休めるはずだ。ましてや自分の結婚式。さすがに会社も休みの申し出を拒否しないはず。既婚者も社内にいる。
彼は「休めない会社」と言い張るが、誰かが休んだ時はカバーする体制を整えておくのが組織。彼氏が一方的に「自分の結婚式すら休めない」と思い込んでいるだけではないか。結婚式や新婚旅行は人生で大事なイベント。その大切さがわからず仕事優先なので、「悲しくなってきました」と書いている。
なんだかんだ言って、彼氏は会社に休暇申請するのを嫌がっているようにも受け取れる。多くの会社では冠婚葬祭の際は慶弔休暇で休めるのが普通だし、有給休暇だってある。使用者は原則として申し出を拒否できない。
トピック内でも、彼氏が結婚式のやる気がないだけでは、と指摘する人が多い。
「彼の本音を聞いてください。『言いづらい』のか?『結婚式じたい面倒くさい』のか?」 「会社でこれまでに挙式した人はいないのですか?(中略)個人的には会社に掛け合ってまで挙式する気がないだけに思います」
結婚後も仕事優先で寂しい思いをするのでは?
ほかにも彼氏の真剣度を疑う回答が多く、「その相手でいいのか」という意見が寄せられた。語弊はあるが、「社畜と結婚して幸せか」という考えだろうか。
今後子どもができた際、夫が常に仕事優先の環境では、相談者に家事・育児の負担がのしかかる。これでは相談者が仕事を続けるのは厳しい。様々な意見に触れ、相談者がベストアンサーに選んだのは、次のような回答だった。
「貴方より仕事のほうが大事ですから、結婚式なんて無駄金使ってまでしたく無いんでしょう。
真底貴方を求める方と結婚をお考え下さい。結婚したって、仕事仕事で、貴方は無視されるだけ」
相談者がその後どうしたかは、不明である。
相談文だけを見れば、彼氏が冷たい人間に思える。しかし、「休むのが悪いこと」「会社の意向が一番」という世の中の風潮にも大きな原因がありそうだ。彼氏の会社は、自分の結婚式すら休めない雰囲気なのかもしれない。
仕事には頑張りどきがあるので、根をつめる時期はあるだろう。しかし、休むときは休まないと良いパフォーマンスを維持できない。オンとオフのメリハリがつけやすい社会が望ましいだろう。